マイ・ライトノベル・ベスト50
序文
近頃ラノベベスト100なるものが流行っていたので、この機に乗じて自身の読書記録・書籍整理という意味でもまとめてみようと思う。
しかし纏め始めてみると、直ぐに100を選出するのは難しいと気づく。150ぐらいになってしまったのだ。
そこで、完全に自身の嗜好だけで選出して50に絞った。
また、併せて作品ごとのコメントも少々挿入していく。メジャー作品については、語るまでもないとは思うのでコメントを省く。
選定基準は以下の2点を特に重視した。
・作品単体として面白いかどうか。長編作品ならば引き延ばしであったり、序盤から終盤まで一貫して面白くなければ減点対象である。
・一度読んだ後、再読に耐えうるかどうか。つまり物語構成を知っている状態でも楽しめるかどうか。長く手元に残すのならば、やはり何度も読み返せる方が良い。
あと補足として、順位を付けてはいるが殆ど大差はない。強いて言うならば1〜10、10〜30、30〜50ぐらいが目安だろうか。
1.異世界迷宮の最深部を目指そう(2014年)
聖書。もはや聖書である。だが書籍版は16巻が発売されてから続刊情報無し。かなしみ。
内容に関しては何も言えない。ネタバレ厳禁作品である。
書籍版の六巻まで…は流石に酷なので、まずはweb版で読んでほしい。そちらなら完結もしている。
2.Monument あるいは自分自身の怪物(2015年)
聖書。これも聖書。だが作者先生曰く、続刊の意思こそあれど、二巻はまったく出ない。かなしみ。
序盤はラノベ的な学園もの、それこそ石鹸枠を彷彿とさせる展開である。しかしラノベ的設定はあくまでも外付けであり、本質はSFである。
序盤の怪物といい、セレーネとの衒学的問答といい、終盤で明かされる真実といい、読者の思考を拡張してくれる要素が満載である。なお繰り返しではあるが、続刊はない。
3.ストレンジボイス(2009年)
聖書。第三の聖書。余談ではあるが、この作者先生の著作はほぼ当たりである。6作品読んだうち、合わなかったのはデスペラだけだった。残り5作品も今回の50に入れるほどには面白い。
鬱屈としていて、オチも弱く、爽快感も何もない。読了後は気持ち悪さしか残らない。だが面白い。
それはこの作品が狂人たちの思考を余す事なく、日常行為に対しての省察に地の文を費やしているためである。
誇張かもしれないが、純文学的といえる。
4.吸血鬼に天国はない(2019年)
『賭博師は祈らない』の作者先生が書いた二作目。解釈を読者に委ね、余韻を感じさせる文章が心地良い。
4巻以降の続刊情報は無いが、一巻だけでもハッピーエンドで綺麗に纏まっているので、上位作品の中でも特にオススメ。
5.花守の竜の叙情詩(2009年)
全3巻、完結済み。風景や色を用いての心情描写がとても上手い。こちらも1巻で綺麗に終わっている。だが少々ほろ苦い終わり方ではあるので、もし「彼ら」の行く末を見守りたいのなら、3巻まで読むことをオススメする。
6.付喪堂骨董店(2006年)
全7巻、完結済み。1〜5巻までは短編3章とラブコメ1章の四章立てで構成されている。正直なところ、ラブコメは読んでいて結構キツイものがあった。よく分からない男女が何故か互いにクソデカ感情をぶつけている構図が耐え難かった。
しかし6、7巻を読んだ時、その考えは否定された。要らない話はひとつもなかった。
最後に、これはネタバレ厳禁作品である。
7.冬にそむく(2023年)
『ヴァンパイア・サマータイム』とで悩んだが、こちらを上に置いた。盛り上がりに欠ける青春ものだが、動作に際しての衣服や小物の描写が細かく、地の文が良いというそれだけで気に入った作品である。
8.烙印の紋章(2008年)
全12巻完結済み。続編があるものの、そちらは未完で、面白くなる前に打ち切られたので今回のランキングからは除外した。
一言で言うならナルサスもダリューンも不在の、ラジェンドラしかいない『アルスラーン戦記』である。
登場人物は悉く悪どい人物ばかりで、王族に成り代わった主人公ですら復讐という一点で、責務を顧みることなく行動する。架空戦記の登場人物として割とテンプレっぽいのはビリーナ姫ぐらいである。
9.スカーレット・ウィザード(1999年)
全5巻完結済み。『ディルフィニア戦記』の作者だが、あちらは戦記ものとして読んだせいか、あまり好みでない。
一言で表すなら、極上のB級映画である。なろう系主人公顔負けのチートスペック持ちのメインキャラたち。チャージに半日かかる砲台にデ◯・スターな要塞。終盤の味方たちが集結する展開と、男の子が好きそうなものを上手い文章で味わせてくれる作品である。
10.ハムレット・シンドローム(2009年)
内容を説明するのは難しい。というか出来ない。
だが敢えて例えるならば、映画『パプリカ』を更に複雑なものとした作品である。
パプリカでは現実と夢の境界線が曖昧になるが、登場人物たちは何処かのタイミングで夢か現かを判断し確信する。だがこの作品にはそれがない。何処までが演劇であり、何処までが実際の出来事なのか。その全てが読者の解釈に委ねられている。
11.ボーパルバニー(2015年)
『ストレンジボイス』の同作者。文章だけならこちらの方が好み。
12.AURA 魔竜院光牙最後の戦い(2008年)
13.銀河英雄伝説(1982年)
14.ウィザーズ・ブレイン(2000年)
全20巻完結済み。個人的にはSF要素をこれでもかと盛り込みつつも、ラノベ的文脈や王道展開を逸脱しなかった2巻が一番面白い。
15.十二国記(1991年)
16.この闇と光(2003年)
ネタバレ厳禁作品。最近読んだ『竜胆の乙女』
があまり面白くないと思ってしまった元凶でもある。
17.脱兎リベンジ(2012年)
青春+バンドならこれが一番好み。1巻で終わっているが、ニューハーフや元漫画家、才能に脳を灼かれた先輩と、ここから色々派生した作品を読んでみたい気持ちもある。
18.流れ星が消えないうちに(2008年)
橋本紡作品だと半月よりこれが面白い…面白くないです?
19.ほうかごのロケッティア(2009年)
20.ペイルライダー(2011年)
21.滅びゆく世界と、間違えた彼女の救い方(2019年)
2巻同時刊行された命数世界シリーズ。レーベル廃刊のせいか、続刊はない。王道寄りのダークファンタジーではあるが、独特の設定や世界観と、気になる要素が各所に散りばめられている。
個人的には過去編→現在の順で読むことをオススメする。話順だと、鬱屈とした雰囲気で読み終えることになるので。
22.電波的な彼女(2003年)
23.魔獣調教師ツカイ・J・マクラウドの事件簿(2016年)
『B.A.D.』の作者。レーベル廃刊で続刊はない。ラノベ的要素が削り取られ、ライト文芸的な作品となっている。またそのせいか、この作者の特徴的な血液や臓物の描写が、より具体的かつ耽美に描かれている。
24.ビスケット・フランケンシュタイン(2009年)
ライトノベルというよりかはSF。ハヤカワで出てそうな作品である。
25.イリヤの空、UFOの夏(2001年)
26.賭博師は祈らない(2016年)
27.あんたなんかと付き合えるわけないじゃん!ムリ!ムリ!大好き!(2017年)
タイトルや表紙からは想像できないぐらいには重かった。ネタバレ厳禁作品である。
28.紅(2005年)
一巻だけなら名作。ついでに、自分がラノベにのめり込んだ元凶である。
キャラや話こそテンプレ的・ラノベ的でありながら、鬱屈とした世界観を入れ込むことで陽陰の対比をこれでもかと感じさせてくれる。
29.ヴァンパイア・サマータイム(2013年)
30.眠り姫(2004年)
『12月のベロニカ』の作者。短編集だが、ハズレ無し。ここに収められている中だと、「さよならアーカイブ」と「探偵真木」が好みである。
31.異世界拷問姫(2016年)
なろうっぽいがなろうではない。作者の個性を出しつつ、なろうテンプレに上手く整合性を持たせた良作である。
32.我もまたアルカディアにあり(2015年)
33.バッカーノ(2003年)
34.半分の月がのぼる空(2003年)
35.ブギーポップは笑わない(1996年)
36.彼女のL(2018年)
37.マルドゥック・スクランブル(2003年)
38.転生ごときで逃げられるとでも、兄さん?(2020年)
web版未完。書籍も未完と、とても中途半端な作品。よってあまり勧められない。
だがコミカライズ版も上手く出来ているので、まずはそちらで一読。合うと思えば買うのはどうだろうか。
39.パニッシュメント(2011年)
40.血翼王亡命譚(2016年)
全3巻、完結済み。正直一巻は微妙なのだが、それさえ乗り切れば、後はスイスイ読める。
3巻読んで初めて、良かったと思える作品である。
41.やはり俺の青春ラブコメは間違っている(2011年)
42.妹さえいればいい(2015年)
43.幻獣調査員(2016年)
44.紫色のクオリア(2008年)
ラノベSFの名作と呼ばれている作品。だが個人的にはかなり読み辛く、展開を知っていると楽しめないと考えているので、順位をかなり下げた。一度読むだけならオススメできる。
45.エスケエプ・スピヰド(2012年)
46.ある日、爆弾が落ちてきて(2005年)
47.霊能探偵・藤咲藤花は人の惨劇を嗤わない(2021年)
48.戦う司書と恋する爆弾(2005年)
49.こうして彼は屋上を燃やすことにした(2011年)
50.ひだまりで彼女はたまに笑う。(2021年)
最近流行りの甘々系ラブコメである。この系統はかなり苦手なのだが、この作品だけは楽しめた。キャラ付けこそラノベ的だが、主人公もヒロインもサブキャラも不快感は無く、常識的である。
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