「自分絵心無いから」は失礼? 絵心・語彙力・物理的の意味と使い方

「絵心が無い」の意味

絵心とは
・絵を描く趣味
・絵への理解や技術があること
・絵を描きたい気持ち

×画力(絵の上手さ)
×センス(才能・感覚)

「絵心」は絵の巧拙より、絵が好きか、普段描くかを表し、「絵心が無い」は、絵が下手というより嫌いという意味になる。

好きで絵を描いてる人に、「自分は絵心無いから(あなたは絵を描けるなんて凄い、羨ましい)」と言うと、「絵なんて嫌いで描きたくもない、よく描いてられるね?」という嫌味になりかねない。
また、「絵のセンスが無い」と言うと、あまり描いていないうちから才能が無いと諦めていることになってしまう。

普段絵を描いてる人(絵描き)は「絵心が無い」ではなく「画力が足りない」と言う(少なくとも周囲では)。
因みに任天堂のDSソフト『絵心教室』の「絵心」は本来の意で使われている。

それらしい用語を使おうとせず、「絵心が無い」は単に「絵が下手」と言うのが無難。


「語彙力が無い」「(語彙力)」の意味

語彙力とは
・語彙をどれだけ知っているか(理解語彙)、扱えるか(使用語彙)

×文章力(分かりやすい文章を書く能力)

(語彙力)は、感動を伝える語彙力が無い、感極まって語彙力を失った、つまり小並感すぎてヤバいという意。
ボキャブラリー不足、ボキャ貧とも言った。

(語彙力)を文章数行の内容すら伝えられそうにない、「文章力が無い」の意味で使うのは間違い。
感動を伝える凝った語彙表現は、分かりにくく説明に向かない。
語彙力と文章力は別物。
「文章力が無い」ことを表すには、(語彙力)ではなく(文章力)か(伝われ)となる。

しかし、文章が分かりにくいことを予め言い訳するのは、書き手としての責任の放棄である。
また、著しく読解力が無い受け手や、相手の気持ちを考えない揚げ足取り(クソリプ)への謝罪は必要ない。
努力しても話が上手く伝わらなかったときの言葉は「説明が下手ですみません」。

SNSと文章力


「物理的」「(物理)」の意味

物理的とは
・物理学的に
・空間・時間・重量などの数量の条件によるもの
↔精神的、心理的

・身体的(↔精神的、心理的)
・物質的(↔精神的)
・実際に、現実に(↔仮想上、ネット上)

△(慣用句など)文字通り
×科学的、薬品で
×直接的(↔間接的)
×理論上(↔実際)
×単なる強調

「物理的」は、物理学の範囲かどうかは判断しかねるが、意味が派生し誤用も多い。
対義語を参考に、より狭義な言い換えを検討すべき。

使用例
物理的に行けない=時間が無く距離が遠い(気持ちは行きたい)
物理的に会えない=現実では会えない(オンラインで会える、心は繋がっている)
物理的距離=現実の身体の距離(↔精神的距離)
物理的強さ=身体的強さ(↔武器や魔法の強さ)
物理的な贈り物=物質的な贈り物(↔実在の無い気持ちや言葉)
物理的な疲れ=肉体的疲労(↔精神的疲労)

誤用例
△物理的に可能か→実際に可能か(理論上、仮想上は可能)
×物理的に可能→理論上可能(実際は不可能)
△物理的に重い→文字通り重い(↔比喩として気持ちや愛が重い)
×物理的に駆除→手作業で駆除(↔化学薬品で駆除)
×素手で物理的に攻撃→直接素手で攻撃(↔飛び道具で間接的に攻撃)
×物理的に大きい→とても大きい

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