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オルガナイザーGX藤本進という男 2

「ライブ喫茶亀」「オルギア視聴覚室」などでオルガナイザーGXのパフォーマンスを観るという僥倖に見舞われ「せ、世界観〜!」と絶叫エクスタシーに達したサブカル諸兄に伝えるのは心苦しいが、オルガナイザーGX藤本は元ヤンである。

出身は「さぁ!俺たちの夏(ショー)が始まるぜ!」でお馴染み『湘南爆走族』の舞台、神奈川県藤沢市である。もう、この時点で「アウト!」だ。家の周りには養豚場が4つくらいあり、そのオーナーも全員が地元卍の爆走族勢だという。そんなにひしめいて、豚の価格競争など起きないのかと思うがなにせ田舎の自営業だ、元ヤンでならではのなあなあな仲間意識でうまくやっているのだろう。ちなみにというか当然というか、そのエリアは滅茶苦茶臭い。

藤本はそこの養豚場のガキや貧乏団地のガキとつるみ、イジメイジメられの青春時代を過ごしたらしい。子供のイジメの対象がルーティーンで変わるというのは有名な話であるが万年イジメられっ子であった私には俄かに信じがたい話、しかし本当にイジメたり、イジメられたりしていたそうだ。しかも無視とかの地味なヤツではなく、ボコる、カツアゲ、落とし穴、万引き強要、アンパン買ってこいという「ヨッ!さすが藤沢とおる先生」と喝采を浴びせたくなるタイプのイジメである。

また、近所には鉄骨置き場(まずそんなゾーンはクローズでしか見たことがない)があり、タイマンのステージといえばそこだったという。夫は見ての通り身長に完全に体重が追いつかないタイプのヒョロガリだが何せその身長がえげつなかった(現在192cm)ため、目をつけられすんでのところで回避したと聞いた。

小学校高学年のある日、夫は養豚場のガキに家に遊びに来ないかと誘われた。同級生の女子数人も来るという。ゲームがやりたかったのか習い事があったのか、夫はそれを断った。すると、翌日、養豚場メンバーの女子から涙目で怒られたのだという。

「なんで来てくれなかったの!?」

何やら甘酸っぱいエピソードになりそうな雰囲気だが、全裸待機は思い止まってほしい。怒った理由はひとつ。養豚場のガキは小学生であるにも関わらず、同学年女子で室内ハーレムを作り、その一人一人の服を脱がせて無理矢理猥褻行為に及んだのだという。やっぱり全裸待機で良かったじゃないか、という者もいるだろうが普通に強姦だ。今からでも訴えれば勝てる案件であるが、養豚場は儲かっていたため金で解決したらしい。

そういうイカれたメンバーとご陽気にウンコ座りが夫の小中学校生活だということだ。ちなみに彼には3歳下の妹さんがおり、本人とは似ても似つかぬ美少女だが、幼少期は二段ベッドの梯子で殴り合いの喧嘩をしたという、家庭内でも爆走族だったらしい。

そんな夫氏に転機が現れたのはベタな話だが、高校受験の折だ。ヤンガキの癖に無駄に勉強ができた(周りが出来なすぎただけの気もする)夫は、思いがけずソコソコの進学校に入学し、養豚場のガキ、貧乏団地に住むシングル風俗嬢の1人息子、夫に初めてラブレターを出したフィリピーナの娘(渾名・爆弾岩)などと進路を分かった。ちなみに友達の殆どは、地元で有名な偏差値30の農業高校がマストだったらしい。

そこでヤンチャができなくなった夫は軽音楽部に入りバンドを組む、ガロを読み漁るなど急にサブカルクソ野郎になった。順応性あり過ぎ丸である。バンドは組んだもののリーダーシップのない性格のメンバーばかりだったようで自然消滅、その後人力舎の事務所ライブ『バカ爆走』を観に行き、ビビッときたそうだ。

「これくらいなら俺でもやれる」

私はオンエアバトル世代からの熱烈なお笑いファンであり、青春の大半を宇田川のシアターDとstudio twlで過ごした身だ、ここは怒るところかも知れないと少し思ったが、個人的に当時のバカ爆走の●●●●さは私もよく存じ上げておるため、「わかる笑」などとギャル化せざるを得なかった。

その後、進路相談にて「お笑いの養成所に行きたいです」と語った夫に対し、担任教師は「お前に最も向いていない職業だと思うが、正気か?」と人差し指でこめかみをトントンやったらしい。

どうだろうか。「雰囲気系」と評される夫氏だが、そのバックボーンには湘南爆走族があったのだ。そういえば、卍系の中にもやたら無表情でゆっくり喋る、謎の大物感を備えた、ある意味「雰囲気系」の方がいらっしゃる。そう言った背景も踏まえて、夫氏の言動に注目してもらえるとより「オルガナイザーGX」というコンテンツを楽しめると思う。

ちなみに彼奴、夫婦喧嘩(マジLOVE1000%私が悪い)の際は普通にグレイシー柔術をキメてくるので、私は小指を脱臼させて救急に駆け込んだことがある。

四柳君は見ての通り頭のてっぺんから爪先まで、純正のイジメられっ子だ。

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