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全裸の王子様 #00

0話 『条件は満たした』

"祐希、愛してる"

母の言葉を目覚ましがわりに、祐希は目を覚まし、精神的に重い身体を起きあげる。

祐希:おはよう、お母さん

その一言と共に、窓の外の太陽を眺め、体全体で光を浴びる。

祐希:お母さん、私ね、もう諦めるよ…

祐希:ごめんね

祐希:もう…待てないんだ…だから…

祐希:あっ、やばい、もう行くね!じゃあまた明日、明日ようやく会えるからね…

その一言を残し、祐希は涙を一滴、地面に垂らし、納谷から急いで飛び出した。

――さようなら、私の――、



――え、どうして…外……?

突然、視界の先に広がる景色を前に、彼は自分が今まで外で眠りについていた事に気が付いた。

長い間眠っていたからか、身体は軽い。

〇〇:あぁ〜、すんごい寝たな…普通に外なのに信じられないくらい寝たな、これ…

普段するはずのない"外で眠る"と言う異常な行為を行なったはずだが、彼は冷静にそう言った。

二度寝するような気配もなく、何十時間も深い眠りについた様な満足感。まるで生まれたばかりのような解放感。肌で直に感じ取れる心地よい風。

そんな目覚めの良い瞬間だからか、彼は取り乱す事なく落ち着いて立ち上がる。

〇〇:まぁ、生きてるんだし…とりあえずは帰るか…

ボサボサの髪の毛をガシガシと掻き終えた後、彼は腹部の痒みに我慢ができず、腹部に手を伸ばす。

心地良い。そう感じた次の瞬間だった。

――あれ?俺今、服めくったっけ?

小さな違和感が、少しずつ、彼の冷静な思考を鈍らせていく。

――それに何?肌で直に風を感じる?

そうして、彼は結論をまとめた。

〇〇:うん、俺今…"全裸"だ…

その答えを導き出せたのは、彼の下半身にまたがるもう一人の彼自身と、彼の目が合ったからだ。

〇〇:まじかぁ…寝てる間に服スられたかぁ…

そう言った後、彼は頭に手を当て、それなりに大きめのため息をこぼした。

〇〇:はぁ…また美波さんに怒られる…〇〇様は王子としての自覚がないっ!とか…

近い将来起こる説教に不安になりながらも、彼は「まぁ、どうにかなるだろ」と能天気な考えをしていた。

〇〇:まぁ、いっか…

そう言って、彼は開き直る。

〇〇:さて、犯人探しと行きますか…

「――、――」

そして彼は、保有する"天能"を発動した。

…to be continued

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