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妄想オタクは死神に語る 6

『知人×放課後』

美月:ねぇ!ほら!お姉さんに話しなさいよ!!

そう言って、胸元の空いた部屋着のような服装を纏った女性は、〇〇を追い詰める。

〇〇:だから違います!あと見えそうです!!

美月:へぇ〜、君はスケベくんだね〜笑

〇〇:あんたの格好に問題があるんじゃないか!!

――

〇〇:ハァハァ……やべぇ……

真っ暗な闇に覆われた夜。息を切らしながら〇〇は自宅へと走っていた。

〇〇:もう19時じゃん……美波ちゃんに殺される!

現在の黒川家には1つのルールが存在していた。

家で夜ご飯を食べる際は、18時までに帰宅する事。外で食べる場合は17時までには報告しておく事。

美波はこのルールを破ると、1時間は確実に超える説教を行うのだった。

〇〇:マジ……殺される!!真佑先輩のせいだ!!



〇〇:やべっ、17時20分じゃん……そろそろ帰らなきゃ

美波との約束を守るために、学校から家までおよそ20分ほどで着くが余裕を持って、真佑とのゲームを切り上げ帰宅しようとした時。

真佑:え?もう帰るの?

〇〇:すみません、ちょっと今日は用事が…

真佑:今から短時間で確実に上手くなれる裏技もしくは合法チート技の伝授に移ろうとしたのに…

〇〇:あと10分いけます!!



〇〇:何が合法チート技だ!ただランク戦で物資要因にして最後弾除けにしただけじゃないか!

〇〇:俺も楽しんでたけども!!

怒りを露わにしながらも、〇〇は時間を忘れ、ゲームに没頭していた事を認めていた。

そして、15分の電車を降り、高速ダッシュにより最寄駅から2分で自宅の前についた。

〇〇:ハァハァ……行くぞ……いざ!謝罪っ!!

〇〇:美波さんごめんなさい!遅くなりました!!

謝罪と同時に自宅に入り、勢いのままリビングに突入兼土下座をかました瞬間だった。

??:うわっ、びっくりしたぁ……って誰?

美波のお気に入りのソファに頭を下げた〇〇は、聞こえてきた声の方向に恐る恐る視線を向けた。

〇〇:……誰っ?!

そこにいたのは、見知らぬ人物だった。

??:え!いやいや……あんたこそ誰よ!まさか泥棒?まさかの泥棒なの?!

〇〇:いやいやいや!泥棒はあんたでしょ?!

〇〇:ここは俺の家だ!!

??:はぁ?!ここがあんたの家?!何子供のくせしてばかなこと言ってんの?!ここは美波の家よ!

〇〇:だから美波さんと俺の家は一緒なの!

美月:へ?

〇〇:へ?

動揺からか的確な事を余裕ない素振りで話す2人は、相手の言い分に違和感を抱いた。

〇〇:美波さんの……お知り合いの方ですか?

美月:美波と君の家…?

〇〇、美月:どういうこと??

話のまとまらなかった2人は、美波の名前により"話し合う"と言う当たり前の行動権を得た。

〇〇:と、とりあえず……お茶でも淹れます……

美月:あ、じゃあ……お願い……します……

……

美月:少し前から同居してる?!

〇〇:そういうわけです…

観念した〇〇は、約1ヶ月前に起きた出来事を嘘偽りなく話していた。

美月:いやぁ〜……相変わらず美波のご両親は大胆な手を取ると言うか、何考えてるか分かんないな…

〇〇:ほんとそうですよね〜

美月:それを許容した君と君の両親も似たようなもんだと思うよ?

美月:そうなんだ。男子高校生と同居ねぇ…

どこか納得行かなそうに、手を組んだ美月は何かを考えながらそう呟いた。

美月:どうして話てくんなかったんだろ…

〇〇:……

〇〇:(何となくこの人に話したくないって気持ちが理解できちゃうんだよなぁ…)

美月:ねぇ、美波とエロい事とかしたの?

〇〇:絶対その部分が、秘密にされた原因ですよ?

彼女が次に吐きそうな発言は、易々と予測できるほど彼女はデリカシーのなさが目立っていた。

美月:何を言うか!私と美波は中学時代からの大親友なんだよ?!

美月:多分言い忘れてたか何かだよ

〇〇:すごいポジティブな人だ…

美月:なぇ、それで?エロい事はしたの?!ねぇ!教えなさいよ!男子高校生!

そう言って、美月は〇〇に迫る。

〇〇:してません!全く何もしてません!!

美月:嘘つかないでよ!若い女と男が1つ屋根の下で暮らして、エロい事しない訳がないでしょ!

〇〇:何ですかその偏見!

美月:偏見じゃなくて証明された事実だよ!だからいい加減……正直に吐きなさい!!

なかなか口の割らない〇〇に、ついに我慢を迎えた美月は、拷問を行うため椅子を蹴り、〇〇に飛び込んだ。

〇〇:ちょ、な、なに?!

避けようとしたものの、突然の美月の奇行に驚いた〇〇はすぐ後ろにあったソファに倒れ込んだ。

美月:えへへ……捕まえた!

そして美月は〇〇の両手足を縛るように、またがった。

美月:さぁ!全部吐いてもらおうか!

〇〇:だから何もしてないって!!

美月:へ〜、この後に及んでも君はシラを切り続けるのか、ほうほうほう〜

〇〇:ちょ!顔近い!

美月:何?照れてんの?可愛いとこあんじゃん笑

完全に優位に立った美月は、悪魔のような笑みを浮かべながら、少しずつ〇〇に詰め寄る。

〇〇:(く、くそ……手足が完全にロックされてる…)

無理矢理力を使えば、〇〇が美月を引き剥がす事は容易に出来た。しかしそれは美月に怪我を負わせる事を考えなかった場合である。

他人を傷つける事をよく思わない〇〇は、自然と体が力任せにする事を拒絶していた。

〇〇:(く、くっそ……こうなったら……)

〇〇:み、美月さん……さっきから、そのゆる〜い胸元からおっぱい見えてますよ?いいんすか?

手も足も出ない。だからこそ〇〇は下心を繰り出した。

美月:見たいなら好きにしなよ?でも見たんなら見たでしっかり話してもらわなきゃね〜笑

動揺する所か、美月は自身の羽織っていた部屋着をチラチラと揺らし、より視線を誘導させる。

〇〇:(な、なにぃ?!し、白だ…と……?!)

やはり黒川〇〇も立派な高校2年生だった。

〇〇:(白色だと……こんな先輩とかも平気でイジれそうな人が純白の白……ギャップえろ…えぐいな…)

罠だとわかる挑発に、心と視線と思考、全てを奪われていた。

美月:めっちゃ見るじゃん……

〇〇:っ!ち、違います!!こ、これは誤解です!!

美月:うっわ、エロ〇くんだー笑

〇〇:変なあだ名つけないでくださいよ!てか早く離れてくださいよ!

美月:本当は嬉しいくせに〜笑

〇〇:嬉しくない!!

美月:素直にならないと……耳が怖いぞ〜??笑

〇〇の必死になって拒絶する顔と声に美月のドS心は思いきりくすぐられ、更に火がついた。

美月:早く吐き出しなさい?フー……

〇〇:ちょ、やめ……やめてー!!

全力で拒絶する〇〇の耳にドS美月の息が吹きかかろうとした瞬間、そこに1人の人間が現れた。

美波:な、何してんの……?

〇〇、美波:あ……

美波:何してんの?美月…?〇〇くん…?

美波の眼に映るのは、下着の紐が丸見えの美月が、〇〇を抑え込み、まるで何かをする寸前のようだった。

〇〇:ち、違っ!美波ちゃん!これは…

美波:問答無用!あんたら2人とも!そこに座りなさい!

そうして鬼の怒りが始まった。

……

美波:はぁ…あんた何してんの?美月……

事の経緯を全て話すと、美波は呆れからか哀れむような表情で美月の方を見た。

美月:ちょ、そんな哀れな目で見ないでよ?!ていうかそれより美波こそどうして私に黙ってたの!

美月:同棲してるなら言うべきでしょ!

〇〇:同棲て…

美波:それはごめん。報告するのが遅くなったけど、1ヶ月前から同棲してたんだ…

〇〇:同棲肯定しちゃった…

美波:でも、何となくわかるでしょ?

美月:ん?

美波:こうなるからあんたには話したくなかったんだよ

美月:なー!なんだと!!美波……あんた!許さない!

唯一の親友である美波に一時とは言え、隠し事をされた事実を知った美月は、いてもたってもいられなくなり美波の座るソファに飛び込んだ。

美波:ちょ、ちょっと!美月?!

美月:もう怒った!あんたも耳フーの刑!

美波:ちょ!あ、ダメだ!手足抑えられてる!お願いだよ!〇〇くんだ、助け……あ、あはは!やめて!!

美波はくすぐられると笑いが漏れるタイプだった。

〇〇:絵面やば…

高校2年生で20前半の女性が同年代の女性にくすぐられ爆笑する姿を見ると言う経験をした事のある者はおそらく〇〇だけだろう。

それほど、異質な光景だった。

〇〇:本当……なにこれ……

……

同日、夜20時14分。

〇〇との長時間による訓練を終え、真佑が部室を出たその時、1人の少女が部室の前に現れた。

??:二次元研究会……どうみても今日はゲームばっかりしてたけどね……

??:まぁいい、それならそれで…

そう言って、1人の少女は笑みを浮かべる。

??:この私、掛橋沙耶香が彼ら2人を丸め込んで、この部室をいただいちゃおう…

沙耶香:ふっふっふ!

…to be continued

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