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感情だって無視をしたら涙を流すもの

 自分の感情をありのまま受け止めて生きていく。

 これは今の私が生きる上で大切にしている軸である。これまでの道のりで、自分の大切にしていたはずだった「感情」に随分と蓋をして生きてきたと気がついた時、私の心の中は一瞬悲しみで染まった。その時は、ただ、これが私なんだと受け止めようと瞬間的に身構えた。

「人間は全ての感情を感じられるようにできている。」
イ・デフィ(AB6IX)

 何度も書き留めているこの言葉。私以外の誰かのために話した言葉だったが、私が”もっと色んな感情を経験したい”と動き出す確かなきっかけとなっている。

 私にはまだ感じたことのない「感情」と出会える機会が残されていて、その感情たちに出会うために生きたっていいのだと。そうやって生きていくのもありなのだと、いつかは私だけの言葉で届けられるように今日も素直に生きていく。

『感情セラピー』との出会い

 不器用なりに時間をかけて、自分の感情の揺れを無視することなく私は今ここにたどり着いた。そしてDana Villageという場所で ”暮らしを旅する治療家” であるケイタさんと出会って、彼のこれまでの人生のお話を聞いているうちに、『感情セラピー』なるものを知ったのだった。

『感情セラピー』って何ですか?
一瞬で私の心が躍ったのが分かった。

 ケイタさんの『感情セラピー』は、自分の中の愛や本音に気づいて潜在意識から変わっていくサポートをしてくれるというもの。私は「感情」というワードに素直に反応して、まさに私が大切していることに当てはまると口角が上がったのを感じた。そして、さっそくセラピーを受けさせてもらった。

想いとともに流す涙

 私は何かを決断する時、「決めた!」という瞬間が来るまでその想いを自分の中に溜め込む。周りに相談することがあまり得意ではないので、突然ぐいっと方向転換したと思われ、周りからはよく驚かれる。特に両親には、心配をかけた場面が多々あることは自覚している。

 そんな私がその想いや決意を周りに話すとき、必ずと言っていいほど涙が止まらない。決して誰かに責められたり、反対されたりするわけではない。むしろ「いいね」「頑張れ」と温かく受け止めてくれる人ばかりなのに。

なぜ涙が溢れてしまうんだろう。

 私はいつも思っていた。泣いてしまうことが恥ずかしいというわけではない。ただ涙を流すということは、自分の気持ちの弱さの表れのような気がして、自分にとっては邪魔で乗り越えなければならない感情となっていた。

感情の存在に気づいた時

ケイタさんの問いかけに答える。

 涙を流しながら自分の想いを話している時の感情を思い出す。すると胸のあたりがザワついて、少しばかり暗い気持ちになっていった。視覚的にイメージするなら、グレーがかったゴツゴツとした岩のよう。ずっしりと重たく感じられる。

その感情に話しかけてみる。

「こんにちは、今日は私が話を聞くからね」

そして、私は次の言葉を放った。

「今まで無視してごめんね」

その瞬間、私の頬をつたって大粒の涙がぽたり。


なんで。
ああ、そうか。私は無視していたのか。

 そして私が想いを口にする時に涙が溢れるのは、決して自分の気持ちの弱さなんかじゃないと徐々に分かっていった。

溜め込んだ想いを上手に表に出せるように。

決断した自分の想いを大切に世に放てるように。

やっと言葉になった想いを余すことなく届けられるように。


 そうやって私の背中を押してくれていてる感情だったのだ。涙を流すのは、私の感情表現のうちのひとつになっていた。

 そう捉えられたら、ゴツゴツとした岩のようだったその感情は、振り向いて明るい光を放っているように感じられた。「無視してごめんね」と、もう一度丁寧に伝える。また止まることなく涙がこぼれ落ちる。

感じている、ただそれだけのこと


 私たちはあらゆる感情を感じられるように生きていて、その種類は喜びや悲しみ、怒りだけに収まらない。時には言葉にならない感情に出会うこともあるだろう。ただ、そのなかに無視や否定をすべき感情は存在しないのだと私は思う。

私は今、こう感じているんだ。

 そうありのまま受け止めることが難しく感じられる世の中が、当たり前だと言われることは悲しい。自分の感情すらも見失う世の中には恐怖さえ感じる。

 今回、『感情セラピー』というものを体験してみて、より一層自分の大切にしたいことが明確になった。

 ”自分の感情をありのまま受け止めて生きていく” ことを、わざわざ心に決めなくてもいいように。まずは私から、そしてすぐ隣へ、そしてまた隣へ。だんだんと広がっていく心から笑う顔が増えるように。

今日も私は何かを感じている。


nattun.
Instagram: @imnattun_

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