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短歌「酸味甘味(すみ かんみ)」

こんにちは、秋月祐一です。
本日の更新は、短歌十首の連作になります。
作者の仕掛けを読み解いていただければ幸いです。


  酸味甘味  秋月祐一

お弁当つくりそこねたこの朝は墨の香りのコロンをえらぶ

ボルシチのщの発音なほされてゐる初夏のスタバのすみで

あがた森魚の菫礼礼少年主義宣言わがはつなつのたましひの糧

すみませんお願ひしますと台本を置いた途端に役になつてる

William Eugene Smith が暗室で過ごした時の長さをおもふ

一瞬にしてよみがへる 雪の日の路上にこぼれた炭屋の炭

こんな句は採つちやだめよと澄子さん拙句を一刀両断にする

初ものの鱧の湯引きをめしあがれ辛子酢味噌をたつぷり付けて

日向夏・花柚・不知火・晩白柚いくつもの酸味甘味あふれて

住み替はる家が増えたねこのへんも駅まで母に見送られてる

〈ルビ〉
酸味/すみ  菫礼礼/すみれれ

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