短歌「愛について」

短歌誌「未来」2018年9月号に発表した10首です。
ここ数か月の作品とは毛色が異なりますが、
これも「春疾風ふいた」から続いているシリーズの一環です。

 愛について 秋月祐一

あなたとの日々は衛星5個、6個浮いてる星のお月見みたい

おねいちやん、ぼく知つてるよ蜘蛛の巣にポップコーンをぶちまけてたの

あなたには恥づかしいとこ見られても構はないんだ 春のおもらし

手のひらの渦のぞきこむ人がゐて添へられた手のその温かさ

底のないコップはコップと言へるのか しかし、あなたはさういふ人だ

でも、ぼくは謝らないぞ 乾電池入りの味噌汁ごくりと飲んで

ごめんごめんジャングルジムにからまつた影ほどくのに手こずつちやつて

駅前のイオン・西友はしごする父の愛とか売つてないかと

こんなにもやさしい雨にぬれながらぼくもあなたも液体になる

人生におけるせつくす総回数たりない人にあげるまかろん

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