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赤ちゃん言葉:占い師の日記

自分も新卒の時はそれなりに上司との付き合いに苦労して、
社会人3年目あたりは上長にほぼ騙されているような無茶振りの案件に正面から突っ込んで謎の責任をとったことがある。

「みんな、余裕ないんでちゅね」

終電後まで仕事をして、タクシーで自宅まで帰りながら、
ふとつぶやく。
こういう時、運転手さんは聞かなかったフリが上手い。

フランス革命はあったのに、軍国主義は終わったのに、
賃金の鎖で私たちは今だに上下関係に縛られている。

ある時から、ストレスが溜まると、熊のぬいぐるみに話しかけたり、
遠方の気の置けない親戚からの電話には、
赤ちゃん言葉で話すようになっていた。
※心理学的には心はレッドゾーン

「かいちゃ、行きたくないでちゅ」
「私のせいじゃないでちゅ」
「がんばりまちゅ」

やばい。

ある日、うっかり会社の人に社用LINEで
「資料送りましたでちゅ」と無意識に送っていて、
ああ異動願い出そうと思った。

今日のような夜だけが涼しく優しい、
残暑厳しい数年前の9月のこと。

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