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さんかく

私は、恋愛小説が苦手だと長年思ってきた。
大して読書というものをしてこなかったのに。

本を読み始めて気づいたことは、
意外と恋愛モノが好きだということ。
でもそれは青春キラキラストーリーではなく、
現実的で、気だるさや曖昧さを含んでいて、ちょっとミステリーな、
簡単に言ってしまえば"大人"の恋愛。

ミステリー:神秘的なこと、不可思議、不可解、なぞ、推理小説のことを指すだけではない

「さんかく」は1ページ目読み始めて直ぐに、
「あぁ好きだ」と思った。
千早茜さんの小説は、五感表現に長けていて、一瞬でその世界に惹き込まれる。
前に読んだ、「透明な夜の香り」「赤い月の香り」もそうだった。


「さんかく」見出し

「おいしいね」を分け合える そんな人に、出会ってしまった。

恋はもういらないと言うデザイナーの夕香。
夕香の“まかない"が忘れられない営業職の正和。
食事より彼氏より、研究一筋の日々を送る華。

正和は、夕香が暮らす古い京町家でルームシェアをすることになった。
理由は“食の趣味"が合うから。
それだけだったのに、恋人の華には言い出せなくて……。
三角関係未満の揺れ動く女、男、女の物語。



読んだ感想を雄弁に語りたいのだが、
なんせ拙い語彙力しか持ち合わせていない。
誰かこの感情を上手く纏めて欲しい!と、完読する度に思う。

とにかく、自分なりに語ってみると、
なんだろう、ただ食が織り成す「穏やか」で「日日是好日」な内容ではなくて、

(そういう本が好きだった時期もあった、今でもそういう本を求める時もあるが、退屈でやはり読み切るスピードが格段に落ちてしまうことが多い、私だけだろうか。)

「さんかく」はちゃんと、ストーリー性があってて、登場人物たちの人間味がひしひしと伝わってきた。!

登場人物達、彼ら自身が己の将来が分からないように、読者の私も最後まで彼らがどうなるか分からなくて、先へ先へ、展開が気になった。
最後も、そうなるかぁ(ふふふ微笑み)となるほど。

彼らを見ていたら、
人間って、遠回りだなぁと思いつつも
それでもいいかなぁと思えた。

あと、舞台が京都なのだが、
絶対に京都に行きたくなると思う…!
京都ならではの町屋(古民家)に住んでいる、主人公の女性。
彼女の生活は、
湿気や鼠対策であったり、まぁ色々と面倒で手間が掛かっていたが、その手間さえも羨ましくなるくらい、彼女が食を通して丁寧に生きているのかを、文面から感じた。

食べることが好きな人、ひとり暮らしの人、古民家暮らしに憧れる人、五感表現が多い作品が好きな人、恋愛小説が好きな人…

是非読んで欲しいなと思います🫧



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