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愛しているよ

「祖母の姉が亡くなった」

仕事中に母から連絡を受けた。葬儀の日程と沖縄一人旅行の日程が被っていたので、旅行をキャンセルした。上司にも一応何か手伝いがある場合には休む可能性があると連絡を入れ、調整した。

喪服が実家に置いてあるので、前泊してから葬儀に出席する予定。今日は祖父母の様子が気になって、顔を見に行った。
仕事が忙しく、一人暮らしをして距離があるので、顔を出すことが少なかった。久しぶりに会った祖父母は思っているより数倍小さくなっていた。

「綺麗になったわね」と話しかけてきた祖母の声はか細く、顔は沈んでいた。実の姉が亡くなったのだ、きついだろう。でもそれだけでは無いらしかった。
体調が悪く、葬儀には出席できないと。血尿が出ていて大きい病院で今週見てもらう予定とのことだった。
あと、認知症になりかけていると診断されたらしい。

祖父も祖母の世話で疲れているのと、このムシムシした気候のせいで体調を崩しているので、葬儀には出席できないとのことだった。
祖父は声はしっかりしているものの、顔がとても疲れていて口には出さないが私や母を見る目が「つらい」と言っていた。

元気だった頃の祖父。フィルム映えするね。
祖母は写真嫌いだから写ってくれなかった。


帰り際に、祖父母から握手して、と言われ握手をした。
若い私のパワーが少しでも彼らに届きますように、と願った。
「頑張るから」と言った祖父に「頑張らなくていい。ただ笑っていてね。」と言葉を返しハグをした。

祖父から最後に一言
「愛しているよ」と言われた。

私の家族で一番大好きで尊敬している男性からもらえた一番素敵な言葉。
「私も愛しているよ」と伝えて帰ってきた。

祖父もいい歳だ。
顔を見て何となくきっと長くは無いと感じた。
でも居なくなってしまうのはとても寂しい。

「愛しているよ」の言葉が、なんとなくお別れが近づいていて言い残したように聞こえてしまって、帰り道、思わず泣きそうになってしまった、そんな夜だった。

お願い
まだ祖父を上には連れていかないで

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