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心の奥の本当のことが語られる場とは・・・?プロセスワーク×LGBTQ+合宿

2023年9月のプロセスワーク×LGBTQ+の合宿で出会った尚ときりんの二人の対談企画vol.7!
(過去の記事はこちらのマガジンから!)

  • 合宿に参加するまでの二人のそれぞれの歩み

  • 合宿を通して感じたこと、体験したこと

  • 合宿からしばらく経って今、振り返って感じる変化←今回はココ!!

今を生きるわたしたちを何回かの記事にわけてお届けします!

参加した合宿&自己紹介はこちら!

LGBTQ+と現場に立つアライに贈る
【 ディープデモクラシーへの扉@大阪 】 ー「葛藤・つながれなさ」の先へ ー

この合宿は、LGBTQ+の当事者、当事者の家族やパートナー、支援者が、それぞれの立場から、日々現場で感じる葛藤・つながれなさに向き合い、ともに生きるために私たちは一体何ができるのか?を模索する場でした。

▼詳細&対談に登場する🐋尚と🦒きりんの自己紹介はコチラから!
https://note.com/natsunokirin/n/nd2d5bcd97825

心の奥の奥まで語ることにチャレンジした

🐋:尚
この対談も今回で終わりだね。
最後にどんなことをわたしたちは語りたいかな?

🦒きりん:
私は、どうしてもこの振り返りで語りたいことが一つあるんだよね。

私が、LGBTQ+当事者である子どもからカミングアウトされた親という立場で話をさせてもらったとき、Dayaさんのファシリテーターとしての関わり方が脳裏に焼きついていて、その話をさせてもらってもいいかな?

🐋:尚
うん、尚もそのことは最後に触れたいなって思ってた。
尚もあのシーンは自分の声も出していたし、きりんさんの語りのこともすごく覚えてる。
あの時、きりんさんはどんなことを感じてたの?

🦒きりん:
あのとき、私は自分が話したいといって挙げたテーマ「カミングアウトされた親として、子どものことを本当に心から応援するには?」が選ばれて、「このテーマについてどんな想いがあるのか話せる?」って聞かれたんだよね。

それで、感じていることを話そうと思って口を開いたんだけど・・・、はじめうまく語れなかったんだよ。

その場には、カミングアウトした側の子どもという立場の人もいたし、これまでに親子関係で傷ついた経験を持ってる人もいるだろうと思ったし、自分の子どもの存在も心のなかにはあった。

私が心の奥底で感じていることをそのまま話すことで、聴いてくれてるみんなを傷つけてしまうかもしれないと気になっていた
んだ。

あとは、「親なのにこんな風に思っていて、子どものことを応援できないなんて」という自分の中での自分を否定する声もあって、それもすごく大きかったんだよ。
だから、はじめは核心まではなかなか語れなかった。

でも、本当は向き合いたかったことが心の奥の奥にあったんだよ。

3年間ずっと誰にも言えなくて、心の一番奥の奥にしまいこんでいたけど、やっぱり誰かに聴いてもらって向き合いたかったのは、

「わたしの知っているあの子は、一体どこに行ってしまったのか?」

という喪失感だったの。

大事なことを勇気を持って話してくれた子どもには、感謝や誇らしさもある。
それに頭では、「どこにも行ってない。目の前にいる」っていうのもわかってる。 
目の前にいる子どもの幸せを心から願っているし、心から応援したいという私の気持ちにも嘘はない。

だけど、私自身のなかに生まれた喪失感を、私はどうしても受け止められなくて、うまく触れられなくて、心からいつまでもいつまでも消えなかった。

だから、ここから一歩先に進んで子どもを心から応援できるようになるために、この喪失感を語れることならば語りたいし、この喪失感に向き合いたいって思ってた。

けど、周りで聴いてくれている人のことや、自分自身がこの喪失感を口に出すことへの抵抗感がとても大きくて、簡単には口に出せなかった

🐋尚:
そうなんだね。

尚は、トランスジェンダーの当事者だから、その当事者を目の前にして、この環境で話すことはすごい勇気が必要だろうなぁと感じていたよ。

きっとファシリテーターのDayaさんは、きりんさんの葛藤やもどかしさ、躊躇する感じとかを感じ取っていて、一気に話をしようと促すんじゃなくて、一つひとつ解きほぐすようにゆっくりと根気強く問いかけをしてくれたように見えたよ。

でも、遠回りはしていない感じで、大切な部分から離れず、ピンポイントでゆっくり入っていく感じ。

急ぐんじゃなくて、ゆっくり一歩一歩

🐋尚:
すごく深いところを静けさとともにもぐっていく感じがあった。
だから、わたしたち子どもの立場の人も聞きやすかったよ。

🦒きりん:
うん、そういう感じだったよね。
一つひとつ問いかけてくれたのを今でも、はっきり覚えてる。

この奥にあるぐちゃぐちゃしていて言葉にならないものまで、本当に出していいのか?
私の心の奥の奥にあった喪失感をこの場で語ってしまってもいいのだろうか?
というためらいが大きかったんだけど、一つひとつ私のなかで語られたがっている声を、安全な形でゆっくりと出せるようにしてくれたのを感じていた。

あと、話す勇気を後押ししてくれたのは、子どもの立場の声が場に出されていったことだったと思う。
それもDayaさんが子どもの立場からも語りやすいように促してくれていたよね。

🐋尚:
うん、そうだね。
尚は、きりんさんの声をききながら、子どもの立場として感情がうずまいていたんだけど、親側の声がゆっくりと語られたことで、自分のなかの声にも耳を傾けながら聞くことができていたんだよね。

親の声は、ものすごく聞きたいことでもあった。
「本当はどう思ってるんだろう?」ってずっと感じていた
からさ。

でも、自分の親と直接話すことはものすごくハードルが高くて、お互い言えないことも多い。

だから、この場で、親の立場として気持ちを語ってくれているきりんさんに「本当はこんなことを思ってるんだ」ということを伝えてみたいと思ったし、きりんさんの思いももっと聴きたいと思ったんだ。

🦒きりん:
そうだったよね。尚も一生懸命自分の言葉を伝えてくれていたことを覚えているよ。
あのときは、子どもの立場から親に話しにくいことを話してくれていたことにすごく感謝していたのを覚えてる。

私も子どもの立場の本音を聞けたことで、心の緊張がゆるんだり、ずっと心のなかにあった重しが軽くなった感じがあった。
改めて、その場にはいないけど自分の子どもへの感謝と愛も心のなかに広がっていったよ。

🐋尚:
ただ、このやり取りってすごく緊張感もあったし、お互いに傷つけてしまうかもしれない怖さもあったし、はじめは恐る恐る語っていたところから、徐々に深いところまで語り合うっていう時間だったよね。

この場では、ファシリテーターであるDayaさんがその場にいてくれて、わたしたちが伝えたいことに対して、言葉を添えながら「気持ちの通訳」をしてくれてたから可能になったんだと思うんだ。

そして、みんなにも親と子それぞれの立場から見えているものを言語化して伝えてくれていたよね。
今何が起こっているか、みんながわかってくれている空間だからこそ話せた。

それぞれ痛みや葛藤を抱えているなかでも、伝えたいことを語りあえたのは、わたしたちの間に「気持ちの通訳」をしてくれるファシリテーターがいてくれたからだと思う。

🦒きりん:
「気持ちの通訳」の存在。まさにそうだよね。

自分ひとりでは3年間どうにも触れることさえできなかったし、言葉にもできなかった葛藤や喪失感のことを私は語っていたけど、感情もあふれていたし、言葉もうまく選べていなかった部分もあったと思うんだよね。

だから、「こういうことをきりんさんは語りたかったのかな?」とか私が語ろうとしていることをわかりやすく通訳をしてもらえていたから、自分にとっても語りやすかったし、聴く人にとっても聴きやすくなっていたんだろうなと思う。

あんな風に安心して語れる場があるんだ、あんな風に心の奥の奥まで語ることをホールドできるファシリテーターがいるんだって本当に驚いた。
私はこれまで出会ったことがなかったから。

このイラストみたいに、その場の雰囲気が変わっていくのを体感としても感じていたよ。

あとひとつ忘れたくないのは、LGBTQ+当事者がからむ親子関係もそうだし、他のいろいろな理由で、そもそも親子で対話できる状態や環境じゃないような痛みを感じている人も世の中にはたくさんいるということ。
そんな人たちの存在にも気づいていたいと思う。

🐋尚:
うん、その通りだね。大切なことを最後に触れてくれてありがとう。

名残おしいけど、そろそろ最後の回が終わるね。

これまで、2023年9月のLGBTQ+と現場に立つアライに贈る【 ディープデモクラシーへの扉@大阪 】 ー「葛藤・つながれなさ」の先へ ーに参加する前、参加しているとき、参加した後の振り返りをたくさん話してきたね。
とっても豊かな時間だったな。

全部で7回っていう長編になったけど、親という立場の🦒きりんさんと、当事者の子どもという🐋尚とで心の内を対談してきたことが、読んでくれた人にとって、なにかヒントになったり、気づくことがあったり、LGBTQ+のことを知るきっかけになっていたら本当に嬉しいなと思う。

ちなみに、きりんさんは、この1か月後にワールドワークにも参加してたよね。尚はワールドワークにはまだ参加したことないんだけど、どんなことを感じたのか最後に聞いてもいい?


🦒きりん:
うんうん、聞いてくれてありがとう。
9月の合宿は「内面に”ある”ものをないことにせずに、”ある”ことにしていく時間」だったんだよね。
しかもそれが、”みんなとの関わりの中でできた”っていう体験だった。
普段の日常だったら、大きな壁や抵抗感、怯む気持ちがあって語ることができないことを、みんなと関わりながら、相手の大切な心の奥の声も聴く、私の大切な心の奥の声も語る。
その過程で、ともに手を繋いで奥の方まで潜っていけた。
そして、潜りいけたからこそ、癒やしが訪れたり、心の重しが軽くなったっていう体験だったんだ。

で、翌月に参加したワールドワークの方は、全然違う体験だった。
「世界と自分の繋がりを探究する」時間だったんだよ。

9月の合宿だけでは、自分と家族のことを考えるだけの自分で終わっていたかもしれない。
身近な関係性だけに意識がいっていたかもしれない。

直後にワールドワークに参加したからこそ、自分が抱えている問題・葛藤・しんどさっていうのは、世界とこんなにも繋がっているんだっていうことや、社会構造の中で生まれているものかもしれないという視点を持つことができるようになったの。

さらに、「願う世界を創り出すために、自分がいかに世界と関わっていけるのか?」という問いも自分の心の中にアンカーが置くことができたんだよね。

「世界と自分は無関係じゃない。
小さかったとしても自分の行動や言葉が変わっていくことが、世界が優しい場所になることに本当に繋がっていくんだ」
ということを信じられるようになった。

このことは、私の人生にとってすごく大きなことで、自分への信頼にも繋がっていると思う。

ワールドワークの最後に”チェックアウト”と言って参加しての感想や言葉にしたいことを話す時間があったんだけど、

「私が、私で、本当に心から良かった」

っていう言葉が急に口からでてきて、それを話しながら突然涙があふれてきたということがあったの。

私自身びっくりしたんだけど、それくらい昨年の9月の合宿とワールドワークに2ヶ月連続で参加できたことで私の中の「私と私の関係性の変化」が大きかったんだなと思うよ。

ワールドワークに参加しての感想について詳しくは、このnote記事をまとめたマガジンにも書いたので、読んでもらえたら嬉しいな。

🐋尚:
この合宿の場で、尚ときりんさんが関係性が始まったからこそ、この対談記事でもじっくり深くありのままで話すことができたなと思う。きりんさん、どうもありがとう。

この対談記事を終えて、尚が今感じていることを少し話すね。

それぞれに痛みがある中でも、表現して受け取りあいながらつながることができる。
「つながり」をあきらめなくていいんだ。
願う世界はそれぞれにあると思う。
わたしたち一人ひとりの力は無力ではなく、自分自身の持っているものを知り、どう表現していくか。
それは自分を大切にすることでもあるし、家族や友達を大切にすることになると思うんだ。
その一つひとつの営みや個人の変化が、世界がもっと優しくなっていく変化につながっていくんだという希望を持っているよ。

🦒きりん:
尚、こちらこそ本当にありがとう。この対談記事は、尚と私のつながりがあったからこそ可能になったものだよね。感謝でいっぱいだよ。

私はさ、この合宿とワールドワークに参加した後から1年近く経っても”余韻”が今もあって、”参加者同士のつながりが続いていること”と”変化の波が続いていること”が、Dayaさんの場ならではだと思うんだよね。

”参加者同士のつながり”があるからこそ、この尚との対談記事も可能になったと思う。
他にも、合宿で一緒になった仲間と毎週読書会をやっていて、豊かな学びが続いていたりするんだ。
それに、直接連絡を取り合ってなくても、SNSなどで仲間の投稿を見ると、「ああ、あの人も日々を頑張っている。わたしは一人じゃないんだ」って心が温かくなって、また頑張ろうっていう気持ちになれる。
なんか存在をとても近く感じるんだよね。

これって、合宿やワールドワークという場で、一緒に同じプロセスを生きた者同士だから、ただ”セミナーで一緒になった人”という存在を超えて、”心と心でつながっている存在”になっているからだと思う。

人とのつながりだけじゃなくて、実際にたくさんの変化の波が続いてるという実感もある。
一過性のものじゃなくて、1年近く経ってもなお、合宿やワールドワークでつかんだこと、腑に落ちたこと、体感したことが心の中でずっと残っているんだ。
そこが起点となって、私の内面も育ってきている感じがあるし、日々の関係性の中でも相手と関わる深さが変化している実感がある。何か葛藤が起きたときにも葛藤を歓迎できるあり方がグッと育まれ続けているように思うよ。

この記事も、そんな余韻を残せるような記事になっていたら嬉しいな。
読んでくれているだれかの一助になったり、種火を持つきっかけになったとしたらこんなに嬉しいことはないなと思う。

LGBTQ+というテーマはもちろん、他のテーマについても悩みや葛藤を抱えている人がいたとしたら、
ぜひあなたにも、私たちが対談するきっかけになったDayaさんがファシリテートするプロセスワークやワールドワークに出会いに来てほしい。
まずは、体験してみてほしい。
あなたとも一緒に繋がっていきたい。
そう心から願っているよ。

次回のプロセスワーク×LGBTQ+企画についてのお知らせ

🐬尚と🦒きりんの二人が参加した2023年9月の合宿は、今年は2つの企画になって開催されるそうです。
LGBTQ+フレンドリーなら参加できる2Dayの7月末の企画!
それから、LGBTQ+当事者&家族、現在現場のある人向けの9月の合宿企画!
どちらも本当にオススメで、ぜひ一度は体験してほしいです。

7/27(土)・7/28(日) 2days!!
LGBTQ+&アライがより繋がっていくために、分かち合いたい!
Dayaのプロセスワーク入門講座
LGBTQ+フレンドリーなら皆歓迎です◎

9/14(土)〜9/15(日) 1泊2日合宿!!
LGBTQ+と現場に立つアライに贈る
『ディープデモクラシーへの扉@大阪』 2024
〜「葛藤・つながれなさ」の先へ〜
LGBTQ+当事者&家族、現在現場のある人向け◎

ワールドワーク2024についてのお知らせ

もう一つ紹介させてもらいたい大事な企画が、ワールドワーク2024
ワールドワークは、社会で起きている葛藤や対立を扱うことで、自分のことや自分と社会・世界との繋がりを深めることができる場です。
ジェンダー・セクシュアリティがテーマ。

誰もが参加できるのが、このワールドワーク。
この記事を読んでいるあなたに、ぜひ体験しに来てほしいと思います。

10/12(土)~10/14(月・祝)
ワールドワークLABO合宿2024 (山梨県 清里)
〜葛藤・対立を変容させていくための対話促進アプローチ〜
「ジェンダー・セクシュアリティ」をめぐる様々な声

🦒きりんは、ワールドワーク2023に参加して、個人の葛藤や苦しみは、社会と切り離されたものではなく、密接に絡み合っていること、社会の構造によって起きていることがたくさんあるんだ!ということを深く知りました。
参加者が経験してきた葛藤や傷、わかりあえなさなどのリアルな声を通して出会うことができたのです。

また、私たちが日常で直面している難しさの一つひとつに、ジェンダー・セクシュアリティは関係していることを知って驚きました。
日々のあのモヤモヤ、小さな傷つきは、紐解いてみるとジェンダー・セクシュアリティがこんなにもいつも関係していたのかと目からウロコでした。

一方で、ただ、そういうことが社会に起きているんだね!と理解するだけではないのが、このワールドワークのすごさだと私は思います。
個人の葛藤や苦しさをその人に背負わせてはならない、一人ひとりがもっとできることがあるはずだ、私はできることからやろう!と覚悟を持てた
時間でもありました。

🦒きりんがワールドワーク2023に参加しての感想や、その後に起きた変化について書いているnote記事をまとめているマガジンです!
読んでもらえたら嬉しいです!
https://note.com/natsunokirin/m/m67b1b01b7013

Dayaさんの個人セッションのご案内

Dayaさんの個人セッションについては、下記のメールアドレスに【個人セッション問い合わせ】を件名にして、空きがあるかどうかも含めて問い合わせしてみてください。
processwork.daya★gmail.com
(★を@に変える)

個人セッションってなんだろう?って思った方は良かったこの記事も読んでみてくださいね☺


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