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子どもの友だちの話を聞ける喜び

今日は、我が家の上の子どものM氏の話をつれづれに。

M氏はトランスジェンダーで、体は女の子だけど心は男の子。
そんな性別についての違和感や学校での生活のしづらさもあったのだろう。
中学校入学して早々、学校に行かない時期が続いた。
そのことも影響して、学校に行くようになった中3の時期は、学校の休み時間はひたすら読書をして過ごしていたよう。
小学校から同じごく親しい友だち以外に新しく友だちはできなかったらしい。

そんな状態だったので、高校に入学する前は、「どうせ、友だちができる気がしないわ。。。」とブツブツ言ってかなり不安そうだったし、せっかく合格した高校なのに行かないことになったらどうしようと正直なところ親の私も不安でいっぱいだった。

高校に入学して、しばらくすると気の合う男友達がたくさんできた。

一緒にお昼ご飯をわちゃわちゃと食べたり、休みの日も遊びに行ったり、学校が終わってからも学校に残っておしゃべりをしたり、カラオケに行ったりしている。

「◯◯がさー、こんなことやってさー、ウケるよねー!」みたいな友だちの話を楽しそうにしてくれるのがとても嬉しい。

そうか、男の子として生きられるようになってきたんだな。
男の子のコミュニティにも入れているんだな。
同性の友だちがたくさんできたんだな。
自分らしく過ごせているんだな。
と本当にしみじみと喜びをかみしめてしまう。

そういう時に、思い出されるのは、恐らく本人が性の違和感を感じ始めた小学校高学年の頃のこと。
長くやっていた習い事で、突然仲の良かった女の子の仲間たちと少し距離を置いて、所在なげにしている姿。
あれ?ケンカでもしたの?と聞いても、別にしてないよ?と返される。
実際、話しかけられたら普通に接しているし、嫌そうな感じはない。
でも、明らかに距離を取っている。
前のようにじゃれたり、楽しそうな表情を浮かべていない。
みたいなことがあった。
その時のあの所在なさ気で居心地が悪そうな雰囲気は忘れられない。

だから、今は自分の居心地が良い仲間と場所に恵まれているんだなぁ、それを選択できているんだなぁと思うと、友だちとのちょっとしたエピソードを聞けるのはとてもとても嬉しい。

ちなみに、夏に担任の先生との面談では、こんなことを聞いた。
入学してしばらくしてから授業でやった他己紹介のタイミングで恐らくカミングアウト的なことをしたらしく(詳細がよくわからないけど)、周りからは◯◯くんと呼ばれたりもしています、と。

たまたまだけど中学の同級生がいるクラスの中で、カミングアウト的なことをすることはものすごい勇気が必要だっただろう。
しかも、M氏はとてもシャイなタイプで、短期間で心をオープンにできるタイプではないからなおさら話を聞いたときにはびっくりした。

でも、その勇気を出してもいいと思えるようなクラスの雰囲気があったのだろうし、周りも自然と受け入れてくれているようだ。

私はそのことについて、未だ本人からは特に話もないので、敢えて聞いてはいない。
聞いたほうがいいのかな、すげー気になるわーと心の中では思いつつ、もし自分だったら根掘り葉掘り聞かれるの嫌だし、そもそも担任の先生から又聞きしていることがわかったらそれはそれで嫌だろう。

なので、私はただただ、M氏が男友達の話をペラペラとしてくれるのを聞いて、「やっぱり◯◯くんのエピソード面白いわ!」「へー!◯◯くん、すごいねぇ!かっこいいなぁ!」とか、そんな感じで、話を聞かせてもらえるのが純粋に嬉しいので、ニコニコして、うんうんと聞いているだけ。

今はそれがいいよなぁと思っている。

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