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連作短歌

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連作、というほど大げさなものではありませんが、連なりの中で表現したものたち。だいたい思い立って一気につくります。
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2023年11月の記事一覧

連作短歌:ビジネスパーソン

新人を叱り落ち込んでる君のストゼロがまた残る真夜中 鉄橋を渡る通勤電車より鴎、だろうか、知らないけどさ チームワークみたいなフリー素材みな捨ててランチに出るひとりきり ミッキーのタトゥーが笑う女より魯肉飯を買い外で食う 始末書にあなたが捺した判のいろくれたプリンの甘さもあかい 武勇伝わめくじいさんらの横で強めにデリートを打つ車内 夜空へとチューハイを開けヤなことはミュートしません肴ですから 昨対比、なら愛情はマイナスと君の寄越したグラフは捨てる 私、夏野ネコ

連作短歌:あいしてる、未満、以上。

あいしてる、磨った言葉をうたにしてただひと粒の砂になるため まだ君は言葉の虜あいしてるって言うばかり、好き あいしてる囓った檸檬どうでもいい夢の中まで夏のすっぱさ 旅立ちのあいしてるを嘘にできない、歩く神の庭先 あいしてる照らす世界に私さえいなければもうハッピーエンド 久しぶりに連作っぽいものを編みました。 あいしてる。 言ったらまぁ平板というか普通の言葉はあるんですがこの5文字、とても扱いにくい5文字ですよね。その扱いにくさ、クセ強なくせに真っ直ぐすぎるこの言葉を