スクリーンショット_2020-03-10_10.18.07

中国の「新型ウイルス自発ガイドライン」

このnoteを書いている時点では、JHUのサイトを見ると、中国ではほぼ流行収束期に入ったCOVID-19を世界各国が追いかけている、そんなような状況に見えています。

中国に住んでいる知人とは、あちらのSNSを使ってしばしば連絡を取り合っています。その中の一人、浙江省に住む大学院生が、日本の知人や学生の友人たちにあてたメッセージを転送してくれました。

それは今回の新型ウイルスに対応している中国の人々の間で共有されている情報をまとめたもののようです。当然のこととはいえ、あらためて申し上げておきますが、医学的・疫学的に正しいかどうかはわかりません。ただし、中国の現地の人々が、日本同様に「本当はどうすればいいのか」という正確な情報が少ない中で、おたがいに様々な情報をシェアしあって自分たちで作り出したガイドラインであるようです。
この通りにするとかしないとかいうことではなく、中国国内でどんなことが話し合われ、引きこもり政策の中でどんな対処をみんながしているのかという実情を知ることも害のあることではないので参考に提供します。

提供してくれた大学院生は、マスク姿のサラリーマンで溢れる品川駅の映像を見て強い危機感と恐怖を感じて、日本の友人たちに向けてこれを送ったのだそうです。
(なお日本語は多少なおしました)

新型コロナウイルス自発ガイドライン  自分の身は自分で守る

中国で起きたことからの経験と知識を伝えます。ちょうど一ヶ月くらい前から、中国武漢が封鎖され、全国の引きこもり措置が行われ始まりました。
今日本での感染のニュースや政府の対応などをみると、一ヶ月前中国のSNSでみた記憶が蘇がえります。もう一度悲惨な状況をみたくないから、この一ヶ月で中国のニュースやSNSで得た経験と注意点を書きます。
(日本で報道されているこのウイルスに関する内容がわずか氷山の一角しかないなと思えます。実際に中国ではいろんなSNSで、病院ベッド足りない、入院できない等個人のSOSがあいつぎ、悲しいできこともたくさん見てきました。日本のツイッターでもこれから似たようなSOSを見るまでに発展するのではないかと心配してます。)

日本でも恐らくこれから少なくとも一ヶ月は事情がどんどんエスカレートしていく一方、収束しないと予測しますから、自分の身を自分で守るにあたって、医者たちの指導もあり実際に中国の皆さんで日常的に行っている個人防疫対策を伝えたいと思います。特に日本の皆さんはどうやらマスクもしないまま、軽い気持ちでこのウイルスを見てる人がたくさんいるのを見て、かなり焦って心配しています。。。実際に起きたことについて認識の不十分が要因だと思います。感染したとしても軽症だろう、若いから治るでしょって思ってる人もいます。確かに、年寄りで持病ありの人が一番リスクが高いですが、実は持病のない二十代三十代の男女も死亡する症例もそんなに少数ではありません。健康な人でも免疫力は低下するときもありますし、サイトカインストーム(いわゆる免疫システムの暴走)も誰にでも起こりうるものですから。

まずは中国国内でのウイルス情報のまとめです。

 ★コロナウイルスの特徴
1 感染ルート:飛沫、接触、エアロゾル、排泄物
2 感染年齢層:新生児~全年齢層
(全年齢層で重症化する可能性あり。中国のデータによると、感染確認の患者のうち15%が重症に発展する◀︎かなり高い!

3 感染力:非常に強い(事後の調査によると)マーケットで15秒の接触くらいで感染した例があります。(ほかにも感染力の恐ろしさを表す症例多数ありますので、時間あるときに整理してもいいかもしれない)

4 症状:
初期:発熱は典型的だが、発熱しない例もある。咳、のど痛み、全身痛み等 軽症:続く高熱、ひどい咳、息切れ、食欲なし、CTによる肺に白い影あり等 重症:意識不明、多臓器不全、自主呼吸できない、CTによる肺の影がほぼ全白(ほぼ全白になったら、基本逆戻り不可、肺の機能なくなり、溺れ続けるような感じ、呼吸器がないと自主呼吸できない)

5 潜伏期:ほとんどは1~14日ですが、特殊的な例だと隔離から24日、34日後に発症した例もあります。

6 感染期:ウイルス感染してまだ無症状のうちに感染性あり、最近の事例研究だと、治療完了後もしばらく感染性あり。感染者自体が治ったと感じるけれど、検査キットでまた陽性反応が出る。感染性があることもわかりました。従って、退院後も二週間自宅隔離待機と呼びかけてます。

7 致死率:現在中国のデータで感染確認と死亡人数の比例から計算すると平均2%と言われ、年寄り+持病ありの方は特に要注意ですが、若い人持病ない人も一気に重症化しサイトカインストームとなる可能性もあります。未知のウイルスであり、感染しても簡単に死亡しないだろうという謎の自信よりは「感染しない、したくない」と思ったほうがいいです。無論治療中のお薬投与等で後遺症があるかどうかなどは一切未検証です。

日本で報告されていることも多いですが、15秒で感染する事例とか治った後の感染事例などは、あまり聞かない話です。
無症状での感染(おそらく正確には顕著な症状のない段階での感染)はやはり少なくないようですね。

8 検査手段:検査キットはただ30~50%の検出率しかないので、数回の検査確認が必要。また、症状出ているなら、CTスキャンで肺の様子を検査したほうが確実です。

PCRとは違うようで、キットが開発されている模様です。詳しいことはわかりませんが、検査の感度・特異度に問題があることは知っておくべきかなと思います。

9 治療手段:一言で言えば現状ワクチンも特効薬もありません。現状は症状を抑えるためにインフルエンザやエイズの治療等で使う抗生物質等で治療していて、各種薬品の研究、ワクチンの開発も進んでいますが、現時点は主に患者自身の免疫力に頼ってます。ワクチンの開発は一年半後にできると言われてます(長いと思われますが、実は伝染病の世界だと非常に速いと言ってます。10年かけてまだワクチン出ない伝染病も普通にあるらしいです。) 

10 治療後の再度感染可能性:
先日検査キット陰性で退院した後、また症状出た患者が居ました。(検査キットが機能していなかったのか、それとも退院後また他人から感染したのかまだ不明)

予後が意外に重要なようです。

11 発生地:最初は去年12月に武漢華南海鮮市場(野生動物の販売もあり)の野生動物売買から起きたものと思われますが、最新の研究によると、このウイルスは海鮮市場の事件が起きる前に既に存在していたことが分かりました。さらに、日本では全く中国に滞在史や中国人接触史のない感染ルート不明の症例が多く発生していること、アメリカもインフルエンザのうち実はコロナ患者もいるのでは?といった仮説もあること、イランでの症例は中国と関係ないはずではといった説から、現時点このウイルスは最初にどこで起きて人へ伝染したのか、今後の科学的検証の結果を待つしかない状況です。

以下は、個人で出来る対策だそうですが、手洗い、うがい、咳エチケットは当然のこととして、だそうです。

一番確実なのは外出しないで、家で引きこもること。中国もこの対策を選んだのだが、大きな経済損失も伴うだろうことを、人口の多い中国が決断を下したのは非常に難しかったと思います。(韓国もイタリアの一部も封鎖始まりました。)日本はこういう対策を取るかどうかまだわからないのですが、恐らく事態をコントロールできなくなったら、この対策を取るしか無いかもしれません。
やむなく外出しなければならない時は個人としてどんな対策を取るべきでしょうか?
1 マスク着用
(1)マスクの選択:
 ・PFE,VFE,BFE表示のマスクを選んでください。
・N95といった更に標準高いマスクは医療従事者にとっての救命保護用のため、一般人には必要ない。医療従事者用のマスク品薄状態にならないよう、一般人はN95を購入する必要なし
(2)着用注意点: 
・重要なのは、マスクをつけた後、絶対に手でマスクの外側に触らないこと
 ・また、できればマスクを4~5時間で一枚、換えてください。
・学校教室、オフィス等室内だから、つけなくても大丈夫と思われがちですが、実は自宅以外は全部つけるべきです。教室やオフィスは基本セントラル空調や室内風通しのできないところであり、一番伝染しやすい場所です。周りの人を発症していないウイルス携帯者だと思ったほうが無難です。
(3)マスクの捨て方:外側触らず、ひもの部分を取って、事前に用意したビニール袋に入れて口をしっかり結んで捨ててください。
2 サングラス
・やむなく人混みに行くとき、サングラスがあれば着用したほうがよい。
 着用中も同じく絶対に手で外側触らないでください。
・帰宅後、エタノール等で全体を消毒してください。
・また、サングラスだけでなく、顔、特に目、鼻、口を触るのも控えてください。
 3、髪の毛
 ・露出するなら、長い髪の人は結んだほうがいいです。  
・帽子などの着用もいいかもしれません。
・帰宅後毎日の髪の毛のシャンプーはいつもよりきちんと洗ってください。
4、服
(衣装消毒用の薬があれば消毒の後)一番外のコートやズボン、帽子などはベランダ等風通しのよいところでハンガーにかけて晒してください。ウイルスはタオル等で生存できる時間は数十分から数時間しかないと言われてるから、これで十分だと考えます。
5、手指消毒
 ・手ぴかジェル等エタノールがあれば、持ち歩きましょう。
・電車の手すり等出来るだけ触らないでください。触ったら、消毒してください。
 ・ほか他人触ったものを触る前後も消毒してください。
6、スマホ(※これは非常に重要!しかも気づかれにくい!)鍵など携帯するものも  
・スマホは帰宅後エタノールで全体的に消毒してください。研究によると、スマホ等表面滑りやすい物でのウイルス生存時間はかなり長い!タオル等滑りにくい表面と比べたら遥かに長い。数時間から数十時間まで生存することができると言われてます。
 ・ほかの鍵等の携帯ものも同様にやってください。
7、食べ物
 ・なるべく外での食事を控えてください。
なるべく一人で食事してください。
 他人と一緒に外食するとき、おしゃべり等を控えてください。
・食べるとしても、生ものを避けて、ちゃんと火を通した煮込んだものを選んでください。56度以上の温水・お湯で三十分煮込むと、ウイルスが死亡すると研究者が言ってます。もちろん、75%以上のエタノールも消毒できますが、一般的なお酒は消毒効果なしです(笑)。
・食べ物を触る前に手の消毒を徹底してください。このウイルスは口や鼻から体内に入るのが一番多いルートなので、食事には十二分に気をつけてください。
・後は、免疫力をいまから鍛えるのは遅いかもしれないが、免疫力をつける食事もよいです。乳酸菌飲料もいいのかもしれません(笑)

8、その他(過剰かもしれないか、下記の対策もいいです)
・電車に乗ったら、座らない、人の一番少ないところを見つけてそこで立ったまま、手すりもできるだけ触らないように。
・自動ドアのある建物は出来るだけ自動ドアを利用。
・エレベーターのボタンを押すとき、指で直接触らない、ティッシュや使い捨て手袋で。ティッシュ等ない時はスマホで押す(後で消毒)。
・毎日帰宅したら、まず手洗い、うがい、ベランダにコートをかけ、スマホ消毒、手荷 物消毒、シャワーという順番で行う。
・また、部屋の段取りが可能であれば汚染区と清潔区で分けてください。玄関とバスルームを汚染区にして、帰宅したらすべての消毒はこのエリアで行ってください。清潔区は寝室等。
※注意!自宅でエタノールを使用する際に、エタノールを電源や火を使う場所から離して保存してください。また、室内で大量なエタノールを吹きかけないでください。火事になる恐れがあります。

日本と中国では感染レベルや、日頃の防疫状況や衛生状況、また医療体制も異なりますし、薬品などの流通状況も違いますので、一概におなじ防疫対策が必要/有効なのかどうかは判断できません。またあらためて言うようですが、これらの対策が医学的疫学的に正しいのかどうかはわかりません。

しかし引きもこり政策がとられ、一部都市は封鎖までされた中国国内の人々が、かなり熱心に個人個人で防疫行動にむきあっているのだなということはわかりますし、情報も相当によく整理されてきていることもわかります。
ご存知のように中国はスマホ超大国です。おそらく政府系の報道機関などよりもSNSのほうが情報量も多く、人々の意見交換も盛んなのだろうと思われます。

このメッセージをくれた大学院生はとても熱心に学ぶ人で、生真面目で、情報リテラシーも低くありません。このメッセージから私たちが学ぶことは少なくないのではないかなと僕は思います。

とてもぐうたらな社会学者。芸術系大学にいるがこれでも博士(社会学)。