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桃源郷を求め無人島に移住したドイツ人医師が見たものは…。ミヒャエル・オルブレヒト『ガラパゴス』

今回は、オランダNRC紙で発表された「2023年グラフィックノベル・ベスト10」という記事からのご紹介です。

このランキングではオランダに限らず、フランスやアメリカのグラフィックノベルも対象になっていますが、オランダ語圏の作品で最もランキング上位に置かれたのが、今回ご紹介するフランドルの作品『ガラパゴス』(第3位)です。


『ガラパゴス』
ミヒャエル・オルブレヒト
Galapagos (2023, Oogachtend, 176 pp.) 

1929 年、ドイツ人医師フリードリヒ・リッターとそのパートナーは、理想の生活を求めて、ガラパゴス諸島の一部である無人島フロレアナ島に移住します。彼らが目指したのは、ニーチェの「超人」思想に則って、自給自足の生活を送ること、群集心理から自由になることでした。しかし、 「フロレアナのアダムとイブ」はすぐにドイツで有名になり、新たな入植者が加わっていきます。リッター博士の理想はやがて崩壊し、さまざまなトラブルが巻き起こることになります。

『ガラパゴス』は、3人の死亡と2人の失踪につながったガラパゴス事件という過去に実際に起きた未解決事件をモチーフにしています。このガラパゴス事件は『ガラパゴス・アフェア - 悪魔に侵された楽園-』として2013年にアメリカで映画化されています。また、日本でも『ガラパゴスの怪奇な事件』として昭文社から書籍が出版されています。

『ガラパゴス』は、人間の精神に対するオルブレヒトの並外れた洞察力が光る作品です。

参考:
https://www.flandersliterature.be/books-and-authors/book/galapagos

https://www.oogachtend.be/shop/9789492672629-galapagos-2048#attr=


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