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ヒッチハイクで出会ったおじさんにまた会いたいと思った話

このnoteは「書く」ことについて共に学び合うコミュニティ「sentence」のアドベントカレンダー「2020年の出会い by sentence Advent Calendar 2020」の22日目です。

英会話教室に通っていたのは、海外製のアドベンドカレンダーが玄関のトビラを開けてすぐの場所に置かれていたからかもしれない。当時の私は、小学校1年生だった。

今年、23歳。ディズニーの字幕版ビデオや英会話教室の教材でしか英語を吸収する機会しかなかった時代から、わずか1秒で大量の英文にアクセスできる時代に変わった。たった、16年間で。

これから16年後は、どんな手段を使って英語を学習する機会がある時代になっているのだろう。

話を戻そう。 2020年の出会い。そう問われて、私が思い出すのは、東京から大阪までヒッチハイクの道中で出会ったある運転手さんである。

私は、失望していた。職を失い、愛する人を失い、人生に目的など見出せもしなかった。

何のために、人は働くのだろう
何のために、私は働くのだろう

私は、ここ数年、その疑問が気になり、漠然と答えを追い求めていた。人やイベントや出来事で、様々な出会いを消費してきた。しかし、そのどれも、無味乾燥なものだった。

このもやもやから解放されたい。そう思って、あてもなく、東京を飛び出した。ヒッチハイクで出会う人々に、話を聞いた。相手の過去を知ることもあれば、私の過去を話すこともあった。

あるサービスエリアで、スケッチブックを片手に乗せてくれそうな車を探していると、ある1台の車が私に近づいてきた。「どこまでいくの?」と、声をかけられ、目的地を伝えると、「通りがけだから」と、途中まで乗せてくれることになった。

おじさんは兵庫県出身で、東京に出張していた。趣味は1人キャンプ。毎週末、キャンプ場を訪れ、1人で壮大な自然に囲まれながら、英気を養っているのだそうだ。

私は、ポツリぽつりと、目的のない自分の人生に対する焦燥感と人生に対する敗北感で押しつぶされそうだった気持ちを話し始めた。

おじさんは、私の様子を見て、こう話した。

「人生は1度きり。死ななければいいんじゃないか」

私は、肩の力が抜けた。「あー、そうか」。「私は、何に責任感を感じていたんだろう。なぜ勝手にもがいていたんだろう。いいんだ。私は、私の生きたいように、やりたいように、やってみていいんじゃないか」って。

おじさんは別れ際に、夢を話してくれた。「アメリカにルート66がある。いつかバイクに乗って、アメリカを横断してみたいんだ。でも歳だから、かなわないかもね」。なんて、ちょっと自信がなさげだった。

私はとっさに、「絶対できるよ!」と、話していた。おじさんからもらった元気で、私はおじさんを励まそうとしていた。

必死に励まそうとする私を、少し照れながら、おじさんは見ていた。

次のサービスエリアに到着し、私はおじさんに、「またヒッチハイクしたら乗せてくださいね」と伝えた。

おじさんは、「必ず乗せるよ」と満面の笑みを浮かべて答えてくれた。

🌱 🌿 🍁 🍂 ❄️

彼は、今、どこで何をしているのだろう。どんな1年だっただろう。私は、あの時の私よりも、少しだけ前に進めているだろうか。また、いつか、きっとどこかで会えると信じたい。

そして、日々、お世話になっているあなたに感謝の気持ちを込めて。

見えないものと闘った一年は、
見えないものに支えられた一年だと思う。

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