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ありふれたもの

草木や花を撮影したあと、やはり撮影したテレイドスコープの画像とあわせるようになったのは、ここ最近のことだ。

元々普通の写真を撮っていたのが、フィルムからデジタルへ、デジタルからトイカメラへ、トイカメラから二眼レフへと進み、途中で動画に目覚めつつ、何だかんだでいつの間にかうっかり二重露出に足を踏み入れていた。

二重露出とは面白いもので、ありふれた日常の切り抜きどうしが混ざると、自分でも思っていなかったような画像が仕上がってくる。
思ってもいなかったのに、まったくどうしようもなく、自分の見ようとした何かが写ってしまったような気がするのだ。

見たままを写して、それを残すのがとても好きではあるのだけれど、だからといってそこのみに縛られたくない気持ちもある。
表現なんて人それぞれで、本来的に自由なものだから、剽窃や盗撮など他者の権利・名誉を傷つけるような行いがなければ、それでいいように思う。

そんなわけで、スマートフォンで手軽に撮影し、さらに二重露出(多重露出)が出来るようになった今は、度々それを楽しんでいる。

これはテレイドスコープで覗いた、マンモバンド(乳がん手術後に装用する固定バンド)とエコバッグ。このエコバッグは、入院中に着替え用意のために使っていた。

撮影後加工で、梅とあわせてみた。
こんなふうにあわせると、病気に関係するものにはちょっと見えない。

マンモバンドの中にも思いがけない「綺麗のもと」があり、わたしはそれをテレイドで取り出す。
そうして、ちょっとほかの美しいものとあわせてみる。
そうか、こういうふうに見たかったのかもな、と思ってそれをしまう。

どちらもありふれたものだけれど、なんとなくわたしの色になる。

けっして上手くないし、誰かに評価してもらうものでもないし、時に笑われたりするかも知れないが、それはそれでいいのだ。
ありふれたものをこのかたちにして見られるのは、わたしだけなのだから。

なつめ がんサバイバー。2018年に手術。 複数の病を持つ患者の家族でもあり いわば「兼業患者」