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ふ/かのう

 SIRUPさんのアフターchannel 02インスタライブ、そしてスペシャアワードのOfficial髭男dismインタビュー。
 場所も時間も異なるふたつのコメントで、心が今もあたたかい。

 「無観客配信でしか出来ない演出」が満載のスペシャルなオンラインライブ、channel 02のあと、インスタライブでSIRUPさんは数々の質問に答えた。
 そのうち「今後もオンラインライブをしますか」という内容に対し、彼は
「ライブに来られない人とも繋がれる」
として、年一回くらいのペースでの開催を考えていると回答。既存のライブとは別の、新しい表現のかたちとして位置付けていることを語った。

 またOfficial髭男dismは受賞インタビューの中でオンラインライブについて、「病気の方やちいさなお子さんがいる人も参加できる」という内容の、非常に肯定的なコメントをしていた。

 コロナ禍で急速に広まったオンラインライブだが、その一方で
 「生のライブにはかなわない」
 「配信ではなく、はやく生のライブに戻りたい」
 といった声もよく聞く。
 ただ、その『生ライブ』に行けるのは、参加するための状況がととのえられる人だけだ。闘病のほかにも介護、海外在住など、様々な理由で現地に赴くことが難しい人たちはいる。

 ──コロナ禍が終わったら、これはなくなってしまうのだろうか。「代替品」だから。
 そんな危惧を払拭するような言葉が得られたことは、大変嬉しかった。そこに触れてくれることに、その眼差しに、救われる思いだった。

 どのような状況にある人にも、エンターテインメントや社会とのつながりは大切だ。むしろ困難にある人が、困難を契機として、心の支えとなるエンターテインメントやつながりを失ってしまうことはある。
 たとえば、入院。入院中は、ライブに限らずイベントに参加することなどは難しい。コロナ禍でイベント配信が大幅に広まったが、これが継続されるならば、その場にいながらの参加が可能になる。

 不可能から「ふ」を切り離して「かのう」にするためには、実際にそれを行う側にとって労力も資金も必要になるだろう。決して小さくない規模で。
 でもわたしは、無責任にも「その先」が見たい。エンターテインメントが今まさに必要な人が、くちびるを噛みながら諦めなくてもいい未来が見たい。
 そしてそのエンターテインメントの種類が、きっと増えていて欲しい。オンラインライブだから出来る表現、ウェビナーだから実現する広がり。そういうものが未来に繋がって、さらに発展していって欲しいのだ。

 新しい道をつくり、これまで通れなかった人たちをも通そうとする気概のある開拓者を、わたしはきっとずっと応援するだろう。
 
 

 ◇ ◇ ◇
 

 既存の生ライブとオンラインライブ、双方にそれぞれの良さがある。二者択一ではなく、どちらも栄えたらいい。勿論、配信あり生ライブもいい。
 アーカイブ配信の普及で、通常の開催時間では参加できない勤務形態の人も助かっているかもしれない。様々な立場を思う。

 

なつめ がんサバイバー。2018年に手術。 複数の病を持つ患者の家族でもあり いわば「兼業患者」