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短編小説

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2017年6月の記事一覧

船の国

Kは生まれてこの方
海と空しかみたことがなかった。
この海には船の国が浮かんでいる。
存在してからずっと船をもっていないKは
ただ浮かび海を漂っていた。
毎日することは空をみること
たまに背中のあたりがむずむずとすることがあったのだけど気にすることなく、空をみることに集中していた。
いつからかKの背中には3本の手が生えてきた。
上のあたりと、背中の中央と、腰のあたりだ
Kがあるとき海にある唯一の売

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