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灼熱の太陽の下、茅葺屋根を葺く

以下4枚の写真は、2月5日の進捗状況です。子どもの頃から建築現場ウォッチングは大好きで飽きることはなかったのですが、この暑さではもう無理!パパッと4,5枚写真を撮っては、下枝が伐られてほんのショボくなった菩提樹の木陰に逃げ込みます。

翌6日にいよいよ茅葺きです。茅葺屋根というと、私たちは恐らく飛騨白川郷の合掌造りとか、どこかの町の民俗博物館などを想像すると思うのですが、実をいうと、都会のど真ん中育ちの私は、子どもの頃に茅葺屋根の家など見たことはありませんでした。

プレイポー村にも、ヤシの葉っぱで葺いた小屋程度の建物は見ますが、一般的な住居はみな木材とレンガにコンクリート造りです。茅葺きのものはまだ見たことがありません。

あまりにも無知識なので、さっそくネットでググってみたのですが、いやぁ、自分が何も知らなかったということをことを知りました。

「茅」という植物はなく、ススキやヨシ、稲麦藁などの草本の総称で、ススキは特に耐用性が高く、30年くらいはもつそうです。植物の茎を束ねることで隙間ができるのですが、そこに導水効果が働き、降った雨がその隙間を伝って外側に落ち、下(部屋の中)には落ちません。厳密にいうと、束を隙間なくびっちりと並べてしまうと、むしろ雨漏りがするのだそうです。

断熱性、保温性、通気性、吸音性に優れていて、気候条件が過酷な地域にぴったりで、北欧諸国やドイツ、南アなどにも伝統的な茅葺屋根の家はあるそうです。(ちなみに、東京の茅場町という地名は、かつては茅の生産地だったから。)

最大の弱点はいうまでもなく火災。乾期に火を出せば、この世のものとも思われぬ凄まじい火柱が天を焦がし尽くす情景は容易に想像できます。なので現在、日本では建築基準法によって茅葺の新築は認められていません。

もちろん既存の建物は問題なく、日本全国で今でも見られますが、この屋根の葺き替え工事が大変なようです。そもそも茅の入手そのものが難しくなって高額な費用がかかり、茅葺き職人というのも、全国に200人ほどしか残っていないそうです。

ということで、日本では今や″有形文化財″ともいえる茅葺屋根を、″無形文化財″クラスの技の持ち主のジョクさんたちが葺いてくれました。じっと見ていると、ずいぶんと細かい手作業です。

このススキは、近くで栽培している農家があるそうです。シェムリアップは観光地なので、ホテルやレストランの東屋などに使用されているのを時々見かけます。

これが一束1400リエル(1$≒4000リエル、これを編むのにも熟練の技が必要だと思います。)で200束購入しました。ヤシの葉っぱはこの1/4くらいの値段で、壁はヤシで葺きます。

ということで、我が家はますます″豪邸″化が進行しています。


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