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満身創痍で孤軍奮闘してもいまだ成らず

トッケイファームは来年7月にオープンします。

もともとは、雨季明けの11月半ばにはオープンさせたいと思っていました。ところが8月初めから持病のうつに襲われ始めたのを皮切りに、次から次から次から……″艱難辛苦″が襲い掛かり、おまけにこれまた持病のアトピーが何年ぶりかで発症し、深夜に目覚めて搔きむしって、シーツが血だらけ、常に睡眠不足でぼ~んやり、世界がいまいち霞んで見えます。病院に行ってもどうせステロイドをドサッと渡されるだけなので、今はひたすら嵐が過ぎ去るのを待つばかりの状態。アトピー、辛いです。日中はほぼ出ないけど。

ファームに入る道がぬかるんで車が入れなくなり、待っている資材がいまだ揃わず。もとより金欠で労賃を支払って村人の手を借りるという方法も取れずに、とにかく自分でできることはすべて自分でとあれやこれや、蝸牛の歩みながら、孤軍奮闘してきました。

雨季が明けた12月に入ると、例年ならば気温も湿度も下がり、ぐっと涼しくなるはずだったのに、カンボジアも地球沸騰化のせいか気温が下がらす、とりわけ緑がなくてツンツルテンのトッケイファームは暑くて暑くて暑くて暑くて………連日午後には40℃越え。つい先日、まるでカチカチ山のように背中が焼けるので温度計を出してみたら、ナンとっ、48℃!

2月に私の友人たちが来る予定なので、なんとかそれまでにはと頑張ったのですが、これ以上頑張ると確実に私の身体が壊れるので、思い切って来年7月オープン、と大幅に予定を変更しました。かなり余裕が出てきて、正直我ながらホッとしているところです。

一番のショックは、モリンガの葉っぱのほとんどが枯れてしまったことです。理由はいろいろ考えました。このファームはもともとが長く耕作放棄されてハス沼になっていた土地に、ダンプで山の土を削って160杯ほど。畑にする部分には、その上に畑の土を10杯ほど入れました。しかし「畑の土」と聞いていたのですが、実際には「田んぼの土」だったのです。至る所に稲が生えてきていましたから、それはじきにわかったのですが、まさかこれほど″保水性が高い″とは知る由もありませんでした。

そもそもが移植したてで株が弱ってるところに根腐れを起こしているのだと思います。あんなに成長の速い樹だったのに。まったく成長が止まってしまったのです。

それでも枯れたわけではないので、枝をバッサリ剪定したら、ほとんどの樹で勢いよく新芽が出てきたのですが、成長するにつれ、今度はアブラムシとハダニとヨトウムシのトリプルパンチにやられてしまいました。

カオンは、「周りの畑で農薬使ってるから、みんなここに逃げてくるんじゃないの?」とこともなげにいうのですが、そりゃ、ウチのトッケイファームがミニビオトープになるのならそれは嬉しいことですが、アブラムシやハダニの天敵が集まって来て、モリンガを守ってくれるまでには、いったいこの先何年かかるというのでしょう?

″施工ミス″というのもいろいろあって、扉が開かない、鍵がかからない程度ならご愛敬なのですが、茅葺小屋の床板にこんな木くずがいっぱいで、何だろうと思ったら、これは床材の中に虫が住んでいて、夜中に蠢き出てくるのだそうです。ウィルスみたいに小さな虫で、肉眼でとらえることは出来ず退治することは困難で、床板を張り替えるしかない。問題はこれにかかる費用を、施工側ではなく施主側が負担するのが、当地の慣習だとか……

一番やっかいなのが、このメヒシバ。地上部はほんの数センチでも、掘り返すと根っこが1m以上あるものもザラ。しかも″とかげの尻尾切り″の如く、ブチブチ切れて、しっかりと地中に子孫を残してゆくのです。メヒシバは根っこから、他の植物の生育を阻害するナントカいう成分を出すので退治しないわけにはゆきません。これに比べるとオヒシバなんてかわいいもんで、やっぱり自然界ではメスの方がしたたかで強靭ですね。

ついにご近所さんに耕運機で起こしてもらいました。今も根っこ拾いは連綿として継続中。
こんな可憐な雑草も。

このレンガも自分で積みました。とにかく畝を高くして土壌改良しないと野菜も育ちません。しかし、これがほんとうに接着されているのかどうか、不安が残ります。セメントこねたのは、さすがに生まれて初めてですから。中の黒いものは、牛糞ともみ殻燻炭です。

この穴掘るだけでも、休み休みで3時間。

30センチほど穴を掘って水を入れると、翌日でもまだ溜まったままです。つまり、トッケイファーム全体が水ガメのような土壌になっているということで、時間をかけて土壌改良をしないことには、モリンガも丈夫に育ちません。それで、畑のあちこちに穴を掘って、そこで切り返しなしの置き堆肥を作って気長に待つことにしました。いよいよ我が寿命との勝負です。

幸いなことに、精米所でもみ殻は無料で手に入るし、米ぬかも1キロ30円ほどで購入できます。牛糞も、今回はタダでもらいました。なにしろ、牛と人間とどっちが多いか?というような村ですから、入手は容易なので、これらと植物残渣を放り込んで、おとなしく2年も待てば立派な堆肥となることでしょう。

トッケイファームに第1号のバナナが実りました。先端の紫っぽい部分が花で、スープにして食べます。10月11日撮影。
12月20日。実ってから収穫までけっこう時間がかかります。

そうそう、″鳥獣害″もあるのです。熊鹿、イノシシはもちろんいませんが(森の方に行くと猿がいっぱい)、鳥が多いのです。さっぱり名前がわかりませんが、一番多いのはスズメとハト。ハトは、日本にはいないずいぶんと小型のもので、あと何種類か地味な野鳥がよくやって来ます。ただし、彼らは私の畑を荒らしたりはしません。問題はご近所の鶏とアヒルです。

どの家でも鶏やアヒルを放し飼いにしているのですが、彼らの侵入を防ぐためにファームの周りを竹矢来で囲みました。これで大丈夫と思っていたら、ナンと、鶏はこの上を飛び越えて侵入してくるのです。最初に植えたバタフライピーの葉っぱは全部やられました。野菜類の新芽はすべてかっこうのごちそうとなるはずです。ネットをかけるしか方法がないですね。

ちなみに、村人たちは鶏の卵はほとんど食べません。ヒナを孵して成長させてから食肉として出荷するのです。それで、安いアヒルの卵を買って食べているようです。

今日31日、22日にポットに播種したトウモロコシの苗を定植しました。まずは10株。あとは直播で10株づつ時差播種します。一気にドカッと採れると困るので。。。

トウモロコシは直根性で、土壌深くにドリルで穴をあけるように根を伸ばしますから、土壌改良作物として知られています。でもこれも虫害にやられる可能性が高いので、無事に収穫できるかどうかはわかりませんが、とにかくやってみます。そもそも強靭な岩盤層を見事突き破って根をはってくれるのかどうかが勝負です。

虫にやられたモリンガは再度カットしました。根腐れ状態も緩和されたことでしょうし、今度こそきれいな葉っぱが天に向かってグングン拡がってくれることを期待しています。

最後にここをアップしてからすでに3ヵ月以上が過ぎ、何人もの方々からご心配のメールをいただきました。みなさんありがとうございます。今回は少々長引きましたが、なんとかファームにだけは欠かさず毎日通っていました。植物たちの成長や変化を見守ってゆくのが、今の私にとっては何よりの癒しです。

異常高温もようやくおさまったようで、これから2か月ほどが、カンボジアでは一番過ごしやすい季節です。7月のオープンに向けて、畑仕事に精を出したいと思います。レンガもあと3か所ほど積む予定。鶏小屋と野鳥のエサ台も手作りします。あぁ、忙しい!

2023年のぎりぎり最後に、ようやく″生存報告″をアップすることができて良かったです。来年もどうかよろしくお願いします。

ではみなさん、よいお年を!



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