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公園のアリ観察2024-05

今年もやります。

2023年に3回行った本企画、わけあって今年も実施することにしました。
(そのわけはそのうち…)

いつも見ている場所でアリを探し、地点ごとにアリを記録しながら、
どのくらい観察できるか試してみよう!という企画です。

2023年の結果概要

6月 14地点 29
7月 14地点 26
8月 18地点 31

計 30地点 5亜科35種(+女王1種)

5月の目的

私情により実施が急遽確定したため、見たい所を優先して見ることにしました。新しい道具を購入し、それのテストも兼ねています。


ここから観察の様子を紹介します。

シリアゲアリ亜属の現場同定

黒いシリアゲアリ2種は前伸腹節棘の形状で識別できるのですが、これまでの装備だと見えないことが多かったため、より拡大できるツールを導入しました。

シリアゲアリ属2種

上の画像は同じ地点にいた2種のシリアゲアリです。肉眼での識別は難しく、これまで多くを右のハリブトシリアゲアリとしていましたが、想像以上に左のテラニシシリアゲアリを含んでいた可能性があり、今年の観察で再検討したいです。


明るい環境での観察

観察した環境を大まかに明るい環境、暗い環境と分けて紹介します。

トフシアリ

転石したら一個目がトフシアリのコロニーでした。侵略的外来種として警戒されるヒアリと同じ属です。よく見ると多様な大きさのワーカーがいることがわかります。大型ワーカーは頭部が暗色で幅広く見えます。

ハラビロトンボ
チビタマムシ

マメチビタマムシあたりでしょうか。


暗い環境での観察

カブトムシ

倒木の下を見ようとしたら、倒木が割れて大きな幼虫が出てしまいました。ごめんなさい(頑張って戻した)。こんな立派な幼虫の住める場所が都市の近くにあるのはすごいです。

トウヨウモンカゲロウ

カメラにかっこいいカゲロウが乗っかってきました。すらっと伸びる前脚がすてきです。

テラニシシリアゲアリ

木くずの運び出しお疲れ様です!

クサオオアリ

当地で初めてクサオオアリが見つかりました。しかも2地点も。
今まで見逃していたのでしょうか?
腹にある銀色の縞がかっこいいです。

ウマノオバチ

クサオオアリを見ていると、産卵管が15cmほどあるウマノオバチが飛んできました。長い産卵管は幹の中に居る甲虫の幼虫に産卵するためで、それにしても本種は突出して長い産卵管を持ちます。幹をせわしなく飛んでまわるので中々観察させてくれないのですが、今回は間近で観察できました。

カニムシ類

今回はカニムシ類を2回見かけました。たまにいるのですが初めて撮ってみました。

ヒメハリアリ

見づらいものの、初めてのヒメハリアリです。そこまで珍しくはないはずなのですが、当地では本種を1.8倍ぐらいに拡大したようなテラニシハリアリのほうが多く見つかっていました。ハリアリ亜科は昨年と合わせてもようやく3種目で、まだまだ探し足りない状況です。

トゲアリ

昨年は観察できなかったトゲアリがいました。体が大きく、前胸から腹柄節に特徴的な棘を持つアリです。特に腹柄節にある棘は長く、下向きに曲がっています。平地の自然豊かな場所に生息する種で、環境省レッドリストでは絶滅危惧Ⅱ類(VU)になっていますが東北では増えているようです。


結果

今回は14地点34種と、公園内の別の場所でイトウオオアリ・カワラケアリを観察して計36種でした。
2023年は3回合わせて(ワーカーは)35種でしたので、一回だけでそれを越えてしまいました。今回は観察しやすい地点を自由に選んだのと、昨年の結果の蓄積により地点ごとに何がいるかわかってきたのが要因だろうと推察します。

36種のうち、クサオオアリ、トゲアリなど6種は昨年に観察できなかった新規の種でした。カワラケアリは昨年入れなかった生息地にて確認しました(今回は地点設定の都合上、別枠にしています)。

最も多かったのはアミメアリトビイロケアリ(11地点)で、アズマオオズアリ(10地点)が続きました。今回は種数が多いぶん、1地点のみで観察された種が多かったです。昨年は複数の地点で見つかっていたクロオオアリミカドオオアリキタウロコアリなどが1地点のみでした。

ミカドオオアリ

14地点の平均種数は8.1で、昨年の調査(7.9~9.1)と努力量の大きな差は無さそうです。
最も多い地点で13種が記録されました。

今回はだいぶ自由に行い、見たい所で気になる種を探しました。結果、今年探そうとしていたクサオオアリなどを見つけられ、設定していた目的については満足の結果でした。
1地点のみの種が多くなり、解析にはやや煩雑なデータになった気もしますが、解析のことを考えるのは来月やることにします。

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