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大学周辺での思い出の昆虫

私は学部の4年間、キャンパスに近いA公園を中心に生き物の観察を行ってきました。
この公園を主に見てきたのはコロナ禍で遠出ができなくなった時点と重なるものがあるにせよ、自分の住む場所のことを知るのが好きだというのは大きな理由です。自分の住む場所の歴史や自然について勉強し、体感するのはとても好きなことです。この公園に通い詰めたのも、身近に生きる生き物を知ることの喜びを感じられたからだと思います。

さて、今回は大学周辺で観察したきた生き物のうち、写真とともに良い思い出が残っている昆虫を紹介します。

まずは気に入って長らくログイン画面に使っている写真。初めてこの動物を見たとき、様々なことを考えさせられます。何せ造形が、ぱっと見では理解できないのです。上に伸びているブラシはなんだ、頭の前にあるツノはなんだ、どこがどう動くのだろう。

このセグロベニトゲアシガ 𝘈𝘵𝘬𝘪𝘯𝘴𝘰𝘯𝘪𝘢 𝘪𝘨𝘯𝘪𝘱𝘪𝘤𝘵𝘢 はそれほど珍しい種でもないそうですが、こんなに不思議な造形が強調される生態写真はあまり見当たりません。黒のベースに紅をまとい、道具もたくさん持っているように見えて、ボス級のキャラクターにあっても良さそうな風格をしています。この造形は標本にしてしまったらわからないでしょう。生きた姿にしか無い美しさは、私がこの写真に惹かれる理由です。

コヨツボシゴミムシ 𝘗𝘢𝘯𝘢𝘨𝘢𝘦𝘶𝘴 𝘳𝘰𝘣𝘶𝘴𝘵𝘶𝘴
私は黒地に赤や朱のポイントが入るデザインが好きらしいです。このゴミムシにしては派手な色彩を持った本種は、二度目の出会いでこのような近づいた撮影ができました。たしか秋に始まった新歓の探鳥会の前でした。今や公園の駐車場になった辺りで見つけ、慎重に撮影したのを覚えています。

オオオバボタル 𝘓𝘶𝘤𝘪𝘥𝘪𝘯𝘢 𝘢𝘤𝘤𝘦𝘯𝘴𝘢
ゲンジボタル 𝘓𝘶𝘤𝘪𝘰𝘭𝘢 𝘤𝘳𝘶𝘤𝘪𝘢𝘵𝘢
本公園にはゲンジボタルが放流されており、野生ではオバボタル、ムネクリイロボタルなどが見られます。上は倒木にいたオオオバボタルで、前胸背板の黒縁が狭いという本種の特徴がよく見えます。現物を見てしまうと、よくいるオバボタルとは比較にならないぐらい大きいという印象を受けます。
ゲンジボタルは放流個体を昼に探して撮影しました。いずれも月明かりに照らされて浮かび上がったかのような画像になりました。
ホタルは体がやわらかく、標本で乾燥してしまうと頭部がつぶれがちなため、生きている時のかわいい顔は現物を見て気がつきました。スーツを着ているような整った鞘翅もやわらかく、ぴたっと閉じたように標本にするのは難しそうな印象です。ホタルはかっこよくて好きな甲虫のひとつです。

キヌツヤミズクサハムシ(スゲハムシ)𝘗𝘭𝘢𝘵𝘦𝘶𝘮𝘢𝘳𝘪𝘴 𝘴𝘦𝘳𝘪𝘤𝘦𝘢
湿地にはいたって普通に見られるハムシですが、都市公園にいるような種かと言うと、全くそうではないと思います。どこから飛来したのか想像もつきません。とてもこの公園のポテンシャルを感じる観察でした。
全身の金属光沢が美しく、特に鞘翅は点刻が施されていて芸術的です。
居そうに無い種なだけに、慎重に同定しましたが果たして。

おそらくアオスジクモバチ 𝘗𝘢𝘳𝘢𝘤𝘺𝘱𝘩𝘰𝘯𝘰𝘯𝘺𝘹 𝘢𝘭𝘪𝘦𝘯𝘶𝘴
クモ(種類調べようとしてわかっていない)を処理するところの最後のほうを観察しました。この写真は処理が終わり糸いぼを持ってこれから飛ぼうとしているところです。アオスジクモバチはこれといった模様がなく、質感や顔立ちがクロヤマアリに似ている地味な存在ですが、狩り蜂の形態の美しさが出ています。
ハチはとても好きな昆虫で、かわいいハナバチ、かっこいい狩り蜂とアシナガバチは特に好きです。今のところハチに刺されたことは無いので、今後の人生も刺されないでいたいと思うところ。
ハチが好きと言いながら、ほとんどハチに詳しくなれず、観察をあまりしてこなかったのは少し悔やまれます。

特に紹介したかったのはこんなところです。いずれの写真も Canon のコンデジ SX70HS を用いています。この機種は鳥が撮れて、簡易なマクロレンズを付ければ昆虫も撮れるので、いろいろ見る私には向いています。とはいえ早朝に鳥を見ていると、あまり昆虫が目につかないので結局のところどちらかになります。2022年は鳥に集中していたので、あまり昆虫の観察をしていませんでした。そのため目をマクロに向ければ、普段通っている所でもたくさん見落としていたように思います。またじっくり、小さな昆虫に目を向けて歩いてみたいです。きっと私たちの知らない姿を見せてくれるでしょう。


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