赤湯温泉山口館

1通のメッセージからはじまった。

「なっちゃん、赤湯温泉に行ってみたい
んだけど、案内してもらえないかな?」

たしかこんな感じの文章だった。

いーよノ

二つ返事でおっけいを出し、
1泊2日で赤湯温泉に行ける楽しみで
わくわくした。

(´-`).。oO


わしが初めて赤湯温泉に行ったのは
高校1年生のとき。

顧問の先生に、
苗場山に長野県側から登ってみたいこと、
赤湯に入ってみたいことを何も考えずに伝えた。

この2つの要望を叶えるために実現した
7月月例苗場山登山。

過酷だった。

後にも先にも、
あんなに辛い登山はないと思える。
それくらい、苗場山から赤湯温泉に
下るルートは長かった。

当時の山行記録帳が残念ながら紛失して
しまっているため、
わしの記憶でざっくり説明したいと思う。

山頂出発時刻が11時過ぎ、
予定していた下山時刻は16時。
実際に赤湯温泉に着いたのは17時過ぎだった。

6時間、「赤湯温泉まで残り1時間半」の
看板を3つ見つけながら歩いて着いた、
秘湯赤湯温泉。

着いた瞬間に思ったのは、


また来たい。

だった。

18時になると混浴になるから、先に
温泉に浸かっておいでと言われて入った青湯。

当時のわしは、卵湯がメインのお風呂だと
知らなかったから、赤湯なのに、
お湯が青いなーって思いながら入った。

お風呂から見える川

流れる音

川上から聞こえる部員の声

湯気

暗くなる景色

全てが非日常だった。

ずっと浸かっていたかったけど、
混浴にはかなり抵抗があるお年頃。
人がきても困るなーという気持ちが勝って
あがった。

これが最初の赤湯。

そして今年、
赤湯に行ってみたいと言った友達の一言が
きっかけで、また赤湯に来たいという
高校生のわしの願いが回収される。

下見も合わせると、今年で3回目の赤湯温泉。

いや、しあわせすぎん??

すごい赤湯に浸かるじゃん。
しあわせすぎん???

いやいや、一応お仕事として行くんだし、
しっかり案内するぞ…!!
(何時間くらいお湯に浸かれるかなあ。
早めに言って散策して、あとはご飯まで
ずっと浸かっててもいいくらいよなあ…)

なんて考えながら迎えた当日。

その週はこの2日間がぽっかり晴れだった。

あぁーやっぱりわし、山に愛されてる…
わしもここら辺の山すきだ、ほんにありがとね
っていつも思う感覚もしっかり感じながら
鷹巣峠を登って行く。

そうだ、今回のメンバーを紹介。

左から、

わし、友達、友達の友達

別のレイヤーに変えると、

精霊、精霊、神具

なんとも愉快な集い。笑

そんな異色の異文化?交流登山
楽しくない訳がなく、

道中で拾うわ拾うわ、

ブナの実、トチの実、
ドライフラワーにサルナシ、
おまけに羽まで、

たーっくさんお土産をもらった!!

あ、これは山との交流だ笑笑

すごく楽しくて居心地もよかったんだけど、
2人と交わした言葉は何だったか
あまり覚えていない。
すごく深くて高いところの話をしたのは
覚えている。
けど、その感覚だけが残っている。
言葉は記号でしかなかったから、
その場で交信するのに必要だっただけなのかも。
3人でお湯に入っているとき、
白ワインをあけたり、
川の音を聴いたり、
違うお湯に入りに行ったり、
石の上で寝たり、
とにかく自由に過ごした。

はぁ。思い出すだけでも最高。

お風呂意外の楽しみもこれまた絶品
だったんだけど、ここでは割愛するから
気になる人はぜひ、
わしに赤湯温泉までの道案内を依頼してね。
( ^∀^)ヘヘ

わしらのお湯時間は、
夕飯後の星見が実質メインだった。

赤湯温泉には3つお風呂がある。

真ん中の 卵湯
その隣に 薬師湯
少し離れて 青湯

それぞれ泉質がちがうお湯で、
切り傷や関節痛、リウマチ、
お脳の弱さに効くらしい。

深夜22時

まずは昼間に入っていない青湯から。

青湯は18時まで女湯なので、
男性が入れるのは夜。
(山口館の妹さんが、
人がいなくて気にならないor気にしなければ、
昼間から混浴でも大丈夫よと言っていた。
抵抗がある、もしくは不安な方は
紅葉シーズンを外して行くと
人が少なくておすすめですb)

屋根がついた青湯は、
どこか旅館の露天風呂のような雰囲気。

足先がお湯に触れた瞬間、
体に入る温泉の水。

はぁーー………ぁーー。

2人がいる事を若干忘れて湯に浸る。

あ、星

やばあ

わかっていても、
目の前にすると感動するのが人間。

かえりたいなあ

そんなことも考えながら星をみる。
けど、この展望じゃ物足りない。

卵湯に移動しよう

誰かが言った。

暗い中、先頭の明かりだけを頼りに草を踏む。

歩く音、伸びる影、お湯をたよりに進む3人。

着いた卵湯に再び沈む。

暖かいぬるま湯に、いつまでも浸かっていられる。
温度の違う2つの湯船をいったりきたり、
そして見上げる丸い星。
ぐるっと一周した山がわしらを囲む。
耳に入るのは川の流れ、虫の声。
そして2人の話声。

…ふと気づく

夜の中にいるのは3人だけ。

夜に囲まれている…
こんなに夜の数が多いなんて知らなかった…

はっきりとした意識で夜をみるのは
はじめてだった。

こわかった。

2人の姿をさがす。

みえない。
そっか、夜だもん。月もない。

なんだかこわいけど、
大丈夫…。だって、わし山側だし、
2人とも近い存在だし…大丈夫。
落ちることはない…。

気丈に振る舞っていても、本当に一瞬こわかった。

けど、2人の会話を聞いていたら、
そんな怖さも薄らいだ。

安心感で急に眠くなったわしは、
石に頭を預けて星をみている2人の横で、
ぷかぷか眠った。

気づけば3時間。

星はぐるっと回っていた。

星灯がお互いをうっすら照らし出す。

ずっとみていられる

2人はそう言った。

そのくらい、ころころ廻る星の表情は面白く、美しかった。

あがろうか

誰かが言った。

早朝1時。

山が、朝の準備をしている。

服を着ながら、いつのまにか夜がおわっていた
ことに気づいてほっとした。

ランプが帰りをまっていた。

布団があたたかく迎えてくれて
寝るまでに時間はかからなかった。


気づいたら朝だった。

2人がいない。布団は空っぽだ。

びっくりしたけど、
眠くて頭が働かない。

しばらくすると襖が開いた。

朝風呂に行っていたらしい。

ほっとしたら、更にねむい。

山も、まだねてていいっていってる…

とか思った。

けど、
人間としてのわしの予定があるのを思い出し、
朝ごはんを食べるために起き上がった。

ここでわしの書きたいことは終わっている。

赤湯温泉を後にするときの感じは、
まさに湯上がり。
ふわーっとして、頭がすんっとしている。

定期的に行きたい温泉。
赤湯にすぐ行ける場所で生きているわしは
それだけでしあわせだ。

そしてやっぱり、
山に愛されている。

心が満たされるたびに
強くそう思う。
たくさんのおみやげをありがとう。

またいくねノ

〆_φ(・_・

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