セルフイメージのワナ


「どうせ俺は勉強ができないし」

Rくんはそう言いました。
身長が高くバスケ部所属、容姿は爽やかな体育会系中2男子。そして彼女持ちときている。
ただしその言葉通り勉強に対して苦手意識を持っていたようで英語の試験結果に半ば諦めのようなそのセリフがそれでした。
そして私の中にある情熱の火を灯した瞬間でした。  

当時わたしは英会話の講師として勤めていました。3年の遊学(留学)を終え帰国を目前にたまたま英会話教師養成講座の案内を見つけました。
自信を持ってたくさん遊びましたと言える分語学力にはいまひとつ自信がなかった私は悪あがきで最後にブラッシュアップしたいというそれだけの目的でした。結果英会話講師養成講座で学んだ内容は
「これなら誰でも話せるようになる」と思えるメソッドで英語に苦手意識を持つ人の自信に繋がるのではと教えてみたくなったのです。

帰国後は国際交流会館の求人コーナーを見に行きました。留学前によく勉強しに行っていた場所でした。掲示板に貼られていた英会話講師募集のお知らせが目に飛びこんできました。

それを見た私は
「なんてついてるんだろう!」
と思ったのも束の間、日程を見てみると面接と試験日はなんと数時間後に迫っていました。試験の内容は筆記とリスニングとスピーキング。
間に合うか...... いやとりあえず電話してみよう。
事情を話したところ担当の方から来ていいと言ってもらい面接の服装とは程遠い南国タイで買ったゆるい服装に身を包んだまま向かうことになりました。しかも髪型はレゲエ風の編み込んだラスタマンヘアスタイル、アジアを旅してから帰国したためこんがりと焼けた肌で到底面接にはあるまじきスタイルでした。

ダメ元で受けた採用試験に奇跡的に合格。採用されたのは私ともう1人いかにも出来そうな紺のスーツを着た帰国子女の女性でした。
なぜ私が受かったのか不思議なくらいでした。

採用後研修を終え担当教室の授業を見学していた時のこと。わたしをチラっと見ながらそのクラスの女子は
「あの先生は日本人かな......?」 とヒソヒソ声で噂していました。私の風貌からもしかしたらと思っていたのかもしれません。
「日本人ですよ」 と思わず答えました。
わざわざ申告するのもおかしな話しだなと思いながら不安に感じていたらいけないと思いそう答えました。


そうこうして奇跡としかいいようのない状況に感謝しながら英会話教師になりました。教室では下は4歳から上は中3まで
4.5歳のクラス、小学校の低学年、高学年クラスと中学生ひとまとめのクラス、合計2箇所で6クラスを担当していました。

中学生クラスは学校の授業の復習と試験前は対策をしなくてはいけないことになっていて英会話のレッスンとはほど遠いことにガッカリしました。しかしそれならばと60分の授業と合わせて30分余分に英会話のレッスンをすればいいと思いました。もちろん講師料も出ません。今思うと生徒にとってはいい迷惑だったかもしれませんがみんな最後まで受けてくれました。

最初の頃は20点代だったRくんの英語の成績は半年も経つ頃には70点を超えるようになりました。とにかく基礎を繰り返しやってもらうことにしました。気がつけば最後は平均80点以上を保持するようになり彼の顔つき、言動も変わりました。

学校の成績が上がると英会話に力を入れることが出来るからと頑張った結果でしたが私の想像を上回る結果に驚愕でした。
好きなことを題材に英会話を学ぶことを薦めたのですが英語の曲を学んでいた子は私の知らない単語も沢山覚えていました。

そもそも勉強とは何のためなのか

私は海外に出て初めて勉強が楽しくなりました。自国のことをもっと学んでおけばよかったと後悔し好奇心で毎日過ごしていました。様々な国の友人が出来て色々な国を旅した時にはじめて英会話を学んで良かったと思えたのです。
だから話せたら本当に楽しく可能性が広がるということを伝えました。同時に正しく話す必要はないということも。

子供の可能性は無限大で私の方が学ばせて貰ったありがたい1年間でした。

特別英語が得意なわけではなかった私は留学後まさか自分が教える立場になるとは思ってもいませんでしたし留学を決意し相談したときに信じてもらえなかったくらいでしたから
仕事で英会話を教えるようになった私に当時の大学の先生も驚いていました。

自分に対してのイメージも留学前とは大きく変わりました。自分の価値感を身につけたい思いで留学を決意しましたがそのおかげで人生を生きる希望に満ちやりたいことをチャレンジする自由な人間として。

近頃はセルフイメージが大切で人は事実よりそのイメージ通りの現実を過ごすと言われているそうです。
繰り返し見たり聞いたり、実際に体験した出来事によってセルフイメージが出来上がるそうでそこには「能力レベル」のセルフイメージと、「存在レベル」のセルフイメージという2つの領域があるのだとか。

「能力レベル」のセルフイメージとは、
・私は英語ができない
・私には文章力がない
・私はコミュニケーション力が足りない
といったスキルに関すること

Rくんのどうせ俺は勉強が出来ないしは能力に関するセルフイメージで無意識のうちに、自分の能力や可能性を決めつけ、悪い結果ばかり考えてしまう。
でも実際に1年も経たないうちに変化しました。

もうひとつの「存在レベル」のセルフイメージとは、
・私は愛されない
・私は幸せになってはいけない
・私は孤独で、無価値な存在だ
といったようなアイデンティティに関することでこちらがまず大切になるのだとか。

私はこの「存在レベル」のセルフイメージに数年前はとても問題があったのです。
日本で働く中で会社勤めをする自信は全くありませんでした。英会話講師を経て整体師になりYOGAのインストラクターになりました。仕事にする喜びはとても感じていましたし必死に頑張ってきましたがふと虚しくなってしまったのです。
「旅に出よう」 と思いました。セラピストの勉強も続け仕事も日々頑張っていましたが自分自身を少し客観的にみてみたくなりました。仕事も個人でやっていると休むのも難しく保証もありません。やりたかったことのひとつ南米に行き友人に会い彼らの暮らしをみて私は自分の不自由さに気づいたり大きな心境の変化を味わいました。また幼少期の自分を癒すということもしました。

何かを成し遂げたいと思ったとき、成果を止めたり妨げるのは「能力レベル」なのか、「存在レベル」なのかに気づけることが重要なのだそうです。

身近な存在、特に親兄弟、友人や先生などに言われることばは自分のイメージに重要な影響を与えているそうですが以外に認識している自分っていつでも変化させていけるものではないでしょうか。

そんな風に思いながら私は今も自由スタイルでYOGAのインストラクターを18年伝えさせて貰っています。Rくんの経験を学びに換えて.....


#セルフイメージ

#yoga


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