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私が子宮頸がんになった話 vol.13 術後3日-5日目

霧が晴れるように、気分がすっきりしてきた。

肩はまだ痛いが背中の痛みはなくなった。起き上がって歩けるようになり、水分や食事も少しずつ摂れるようになった。人間の身体ってすごい。前日の医師の予言(?)は本当だったのだ。

この日は執刀医から、今回の手術がどうだったかという説明を受ける時間があった。説明は手術中の写真を見せてもらいながらだった。まず、最初の尿管ステントの設置に手間取り手術が長時間に及んだことを謝罪された。
今回の手術は臨床試験でもあり、若い先生が何人も立ち合っていてこんなにも写真を撮影しながらなので、さらにその後時間がかかったのだろうなと推測しながら聞いていた。手術で切り取られた私の子宮や脚のリンパも写真で確認した。とりあえず手術は予定通りの術式を行えたし、この後また組織の病理検査はあるけれどまずは手術の成功にほっとした。

また、歩けるようになったので、医師から院内の廊下を15往復(スパルタ!!)くらいするように言われた。歩くことで身体がどんどん回復するそうだ。確かに歩き始めると数日間機能を制限されていた内臓たちが目覚めていくようだ。シャワー浴の許可をもらい、ようやく化粧下地を塗ったままだった顔を洗うことができた。数日ぶりの入浴でやっと人間に戻った気がした。また、看護師と下肢測定を行ったが、特に術前後での変化は見られなかった。

さらに翌日になると食欲が完全に戻り、毎食完食できるようになった。美味しく食べられるようになると、出るものが出てないお腹の気持ち悪さが感じられてくる。お通じが良くなるよう漢方を処方してもらった。
術後5日目でようやくバルーン(カテーテル)が抜かれ、自分で排尿する練習が始まった。これがまた思うようにできない。尿意はうっすらあるものの、排尿にかなり時間がかかるのだ。しかも、全部出切ったかどうかがわからない。そのため、自分でトイレに行った後、看護師に知らせて残尿を量ってもらう。どのようにやるのかというと、内診台に上がって尿道口にカテーテル入れてもらって残尿を出してもらうのだ。もはや病気の前には羞恥心なんて言っていられないとつくづく思った。

また、術後5日目に腎尿管膀胱造影検査を行った。ヨード造影剤を注射し、腎臓、尿管、膀胱へ流れていくところを確認し、病変の有無を調べる検査だそうだ。この検査のために、久しぶりに外来のある一階に降りた。

シャバは、コーヒーの香りがした。

早くここに戻ってきたい、コーヒーが美味しいと思えるようになりたい…そう思った。身体が辛くて自分のことで精一杯の数日から、家族に早く会いたいと思える余裕が出てきた。退院のためには、残尿が50ml以下を連続3回成功しないとダメとのことだ。早く家に帰りたいとの思いが原動力になり、翌日から頑張る意欲が湧いてくるのだった。

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