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できれば気絶していたかった〜帝王切開の記録〜

帝王切開当日。体温、血圧、胎児の心拍を確認し、朝から点滴開始。前日夜から水も飲めなかったのでカラカラの体に染み渡る。 手術は午後一なので、午前中は特にやることがなく、家族が来るまでテレビなどを見て過ごす。

お昼頃家族が来て、13時過ぎに手術室へ。手術台に上がると、室内にサザンオールスターズの曲が、わりと大音量で流れているのに気づく。
麻酔科医より背中をアルファベットのCのイメージで丸めるよう指示され、麻酔を入れてもらう。麻酔の針、痛っ!……たぶん太い。処置は意外と長時間かかり、腹パンの私にはかなり辛い体勢が続く。気を紛らすため、Cの字のまま看護師に「サザンて先生がお好きなんですか?」などと小声で訊ねる。これから始まる手術を前にドキドキし始めたが、このときはまだ少し余裕の私。恐怖度30%。
「適当に病院で選んで流してるんだと思うよ。先生は静かな方が好きかな〜」
……程なくして麻酔科医が「音量下げてもらえますか?」と言っていた(笑)。

さて、麻酔が入ったところで効きを確認するため、アイスノンを当てられる。少し左側の効きが悪くビビる。恐怖度50%。引き続き、麻酔が足される。
いつも検診してもらっている先生が執刀医として入室。準備が整ったところで両腕を拘束される。恐怖度70%。
「ここ、痛い?」とメスらしきものを当てられ確認。手術開始。

確かに痛くはなかったけれど、始まった瞬間、いきなり恐怖度はマックスを振り切り、叫び出しそうになる。例えていうなら、ジェットコースターで一番高い位置に来たときのあの感じ--「何で乗っちゃったんだろう」という後悔と、怖気づいて逃げ出したくなる心境に似ていた。
私の思いとは裏腹にサクサクと事が進み、頭の方で麻酔科医が「赤ちゃんの頭が見えて来てますよ〜。そろそろ鳩尾押すからね〜。赤ちゃん出てくるよ」と言われる。

「鳩尾……ってどこだっけ?」などと考えているうちに腹部をギュウギュウ押され、赤ちゃんがズルリと出てくる感覚がする。すぐに泣き声が聞こえてきた。
看護師数名より「おめでとうございます」と声がかかるが、まだ手術中の緊張感を持った固い声で、室内はそこまでおめでたいムードにはならず。ドラマと現実の違いを感じる。
ど近眼の私はメガネをかけてもらい、我が子と対面。泣いてるし動いてる。ほっ。「男の子です、元気ですよー!」おちんちんを確認させてもらい、我が子は再度回収。

さあ、ここからお腹を閉じる作業だ。

《つづく》

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