金木犀と私の育児の原点

9月に入っても暑い日が続いていますが、もうしばらくして涼しい風が吹く頃には、風にのって金木犀の花が香ることでしょう。

私には、保育園時代にこんな思い出があります。とある先生がいました。その方はいつもしっかりとメイクをしていて、赤いリップが印象的な人でした。今思うと保育士なのかもよく分かりませんが、子ども心に”強めの大人の女”を感じていました。

ある秋の日のこと。その先生が、
「私、金木犀の花って嫌いなのよね」
と言うのを耳にしました。香りが苦手とのことでした。(アレっぽいですね。魔女の宅急便のニシンのパイが嫌いな孫)

その当時の私にとって金木犀の花は、とても好きな花のひとつでした。小さな薄オレンジの花を木から取って手に乗せたり、瓶に入れて愛でたりと、その可愛い花と香りをとても大事に思っていました。

おそらく先生の言葉は、幼児に向けられたものではなく、何の気なしの発言だったのだと思うのですが、私は、”苦手”ではなく”嫌い”と言う言葉にショックを受け、私の好きなものを否定されたような気がして、とても寂しい気持ちになりました。今も覚えているので、私にとっては衝撃の一言だったのだと思います。

幼児の頃ですらこの調子で覚えているので、繊細な少女時代の嫌な記憶は今も鮮明です。なんなら中年になった今もグラスハートを持つ私は、育児をするようになり子どもの頃に大人にされて嫌な思いをしたことを子どもにしたくないと思うようになりました。また、自分が大人から欲しかった言葉をたくさんかけてあげよう、とも。長年自分がセンシティブ人間なことを否定的に考えていましたが、これは案外子育てに活かせるのでは、とだんだん前向きに捉えられるようになりました。

毎年金木犀が咲く時期は、私の育児への思いの原点を再確認する季節でもあるのです。



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