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「塔」2024年5月号掲載作品など(夏机)

抱える頭を埋めるのは肉傷つけた人のこれから傷つける人の
鬱病に覆われながら歩く僕のとなりで足元から染まる空
どうなっても幸せになりたかったと思うのだろう 水になりたい
初雪で家々を道を隠しつつ街はひとりの少年である
空間を埋めながら雪降りしきり夕べに人も明かりも端役
あなたが愛 歩道橋からはラブホテルぴゃんぴゃん満足気にかがよって
校庭の奥の夜闇に臙脂色のなみだをこらえているような城
人のない真夜を曲がればエネオスで篝火を見るように近づいた
冬の木の広げた腕の先の先 いつか誰かをこう抱きに行く
地平線の縁に手をかける太陽をじっと見つめている電波塔

2、3、5、8、9、10首目が「塔」2024年5月号に掲載されました。

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