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「かばん」2024年2月号掲載作品(夏机)

橙の明かりまとひてもう閉めし精神科医院しづもりてをり
美しくなき花ならむ白人の裸にくらき茎喜ばせ
死にし魚しづみていつか層になるやう生き抜きて振り返りたし
 ※魚=うを
豆電球ひとつのあはい強弱をたしかめるうち終はる一年
にわか雨に頭を覆うものもないぼくらに死後の世界はないよ
アーティストも観客も死体になってみずみずしい戦争のはじまり
中身からわたしも水になりそうな長い電話のあとのバスタブ
初雪のように自殺はさみしいぞと聞こえてぼくはぼくが恨めしい

※タイトルで、「2024年」であるところを「2023年」と誤記していました。2024年4月12日に訂正しました。

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