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「蛙亭」イワクラというルームシェアの概念を変えた女子

普段お笑いを見ない人はご存知ないと思いますが、「蛙亭」という男女のお笑いコンビがいまして。

ネタ作りを担当しているのは「イワクラ」という女性で、他のお笑い芸人とルームシェアをしているのだが、その人員構成がなんと男3女1の4人暮らし

どう考えても上手く行きそうにないのに、なんだかものすごく上手く行っている。

何故ならこのイワクラという女子が、ルームシェアの概念を変えたからだ。



何事も最初が肝心らしい

お笑い芸人は売れっ子になるまではとにかくお金がない。
だから自然と芸人同士でルームシェアをすることも多くなる。

大抵は男のみ、女のみで住むのだが、たまに男女混合で住む人達もいるようで。

しかし芸人に限らず男女でのルームシェアはトラブルが起きやすい。
テラスハウスがそれを証明している。

だからなかなか上手く行かないものだが、イワクラは男3人と一緒に住むことになってすぐ、あることを実行した。

男3人のいるリビングに下着姿で登場したのだ。

「お前ら見ろ!見慣れろ!」

戸惑う男性陣に自分の下着姿を見せつけ、「普通のこと」として認識させたのだ。
これ以降、男性陣はイワクラを「ヤンチャな妹」として扱うようになった。

自分の下着姿を性と離れたものとして考えてもらう

この発想がすごい。



得意なことを受け持つ形での「分担」

イワクラは掃除が好きなので、率先してよく部屋の共用部の掃除をする。

最初の頃は男達も「俺らもやんないとな…」みたいに動いていたそうだが、彼女はこれに関しても正直に話した。

「掃除は私が好きだからやっている。でもお皿洗いは苦手だし、料理も気が向いた時にしかしない」

こうして各々が得意分野や苦にならないジャンルを担当することになり、洗濯担当・ゴミ出し担当・料理担当がそれぞれ自然と割り振られた。

日替わりや週替りで嫌な作業が回ってくるよりも、自分の好きな作業だけを毎日担当することで心の負担も減らせるのだ。

また、一緒に生活していて気になったことや、やめてほしいことはグループLINEで共有する。

その際も「リビングでタバコを吸わないで」ではなく、「タバコは換気扇の下で吸ってね」というように、具体的に案を提示することにより衝突を避けているのだ。

彼女は相当頭の良い女性だと思う。



ルームシェアは家族になること

お笑い界ではイワクラの家が「めちゃくちゃ平和なルームシェア」として知られている。

一緒に住んでいる「オズワルド」という漫才コンビのツッコミ担当・伊藤は、自分達の家のことを、連載しているエッセイの中でこんな風に綴った。

毎日毎日顔を合わせて、毎日毎日お互い優しい。当然僕は、彼らを家族と呼ぶに決まっているのである。

そう、家族なのだ。

家族だからそこに恋愛トラブルは起こらないし、誰かが良くないことをしたり困っていたら、みんなで考えて解決する。

彼らの仲の良さが一番分かる動画がこちらだ。

イワクラが出身地宮崎の郷土料理「チキン南蛮」を作るのだが、男達は兄のような視点で調理中のイワクラを見守り続ける。

彼女が「あ、七味切れちゃった」と言おうものなら「買ってくる?」とすぐさま動く様子は、まさに妹を助けようとする兄達の姿そのもの。

そしてイワクラも兄がひとりふたりと帰ってくる度に、カメラに向かって「あ、〇〇くんが帰ってきてくれました~」と言う。

「帰ってきた」ではなく「帰ってきてくれた」

炭治郎の精神世界と同じぐらい優しい世界なのだ。



他人と一緒に住むのは容易じゃない

知らない人同士のルームシェアだけでなく、友達同士の同居や恋人同士の同棲も、結局は「他人と住む」ということだ。

育ってきた環境・習慣・立場が違うので、意見がぶつかったり許容できない行動が出てきたりもする。

その最上位にいるのが結婚だ。

一緒に住めば今まで知らなかった一面を見ることにもなるし、相手の行動が許せないと感じることもあるだろう。

喧嘩をしたり、徹底的に話し合うのも良い。

でも常に頭の片隅に置いておかなければならないのは、「元々は他人である」という事実だ。

「家族なんだから分かり合えるはず」は幻想でしかない。
分かり合って初めて家族になれる

相手を思いやり、お互いがどうしたら住みやすいか、暮らしやすいかを考えることの大切さを、イワクラは教えてくれているのかもしれない。


余談だが宮崎県には民放のチャンネルが2つしかなく、M-1グランプリも放送していないそうなのだ。
もしも蛙亭が決勝まで進んだら、是非放送してあげてほしいのだが…。

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