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「年不相応」に生きる

以前素敵なシニアnoterさんをご紹介する記事を書いた。

記事中にも書いているが、私は年齢なんて記号だと思っている。
実年齢は役所と病院、それと結婚相手が知っていれば充分で、その他の人が知る必要はないと考えているのだ。

しかし世の中には「年相応」という言葉があり、これが濡れた衣服のように不快に纏わりつく。

というわけで今日は年齢についてのお話



少なくとも褒め言葉ではない

辞書で「年相応」を調べるとこう記されている。

【年相応】
 年齢につりあっているさま。年齢にふさわしいさま。

精選版 日本国語大辞典

主に使われる場面はこういう時だ。

「もう子供じゃないんだから年相応に振る舞いなさい」
「こっちの服のほうが年相応に落ち着いて見えるね」

一般的には若く見られることを喜ぶ人が多いため、「年相応ですね」は「実年齢通りに見えます」という意味であり、ディスられてはいないものの嬉しくもない。

どちらかと言うと「年齢通りに振る舞いなさいよ」と諌める意味で使われる言葉だ。
若作りしていたり子供っぽい言動をみっともないと考える人は多い。

これは群集心理として無意識に安定を求めるからだ。
この年齢の人はこうであってほしい、という勝手な希望的観測。



30過ぎたら膝を出すな?

何年前だったか。
たまたまテレビを付けたらお昼の情報番組で「奥様を変身させまショー」的なコーナーがやっていた。
生活に疲れた様子の主婦や子育てで美容に手が回らないお母様たちを、ファッションアドバイザーの力で素敵に変身させるというお節介なアレだ。

何となく見ていたその回には「昔の服が捨てられなくて20代の頃のファッションのままでいる」という30代の主婦が出演していた。
彼女の自宅に行きクローゼットを開けたファッションアドバイザーはこう言い放ったのだ。

30を過ぎたら膝を出しちゃダメ!ミニスカートは全部捨てましょう」

この言葉に、すでに30代に突入していた私は衝撃を受けた。

え、30過ぎたらミニスカ履いちゃダメなの…?

慌てて自分のクローゼットを開ける。
スカートの殆どがミニスカだった。

そうか、私はもう履いちゃいけなかったんだ…。

泣く泣くミニスカを全て処分するためゴミ袋に入れた。
年相応の女性として、これからは膝を出さないぞ!と心に決めたのだ。
ところが、夫が家に帰って来て事態が急変する。



50歳のミニスカ

ゴミ袋に入ったスカートの山を見て、夫は目を丸くした。

「え、なんでミニスカ捨てるの?」
「なんかね、30過ぎたらもう履いちゃダメなんだって」
「は?いいじゃん履けば。凛ちゃんに似合わなくなったらその時は俺が言うよ。それまでは履きな」

夫の言葉はファッションアドバイザーの言葉を凌駕した。

そうか、年齢じゃないよな。
似合うか似合わないかだよな。

それから数日後。
とある有名メイクアップアーティストの女性に密着したドキュメンタリー番組を見た。

彼女は50歳を過ぎていたが、生足でデニムのミニスカートを履いて出勤していたのだ。
その姿は微塵もみっともなくなんか無かった。

とてもカッコ良く颯爽と歩いていて、この時私は確信したのだ。
「年相応」じゃなく、「その人相応」なのだと。



実年齢の無意味さ

ここまで読んで頂いた方の中には「はいはい貴方は若く見えるんですね、それは良うござんした」と鼻で笑う方もいらっしゃるかもしれない。
実際に私は実年齢より若く見られることが多いが、それは天性や運ではない、ということだけは言っておきたいのだ。

体型維持や美容にストイックに向き合い、化粧品そのものに頼るのではなくスキンケアやボディケアの仕方に重点を置く生き方を10代から続けてきた。
その結果が今なのであり、この努力は笑わないでほしい。

今も私は定期的に食事制限をしたり筋トレをしているが、これは全て自分のためなのだ。

ミニスカートが似合う身体でいたい。
人にみっともないと思われない範囲で若々しくありたい。

だから私は今日も背筋をピンと伸ばして「32歳です」と言い続ける。
ちょっと疲れている日には夫に「今日は38歳だね」と言われることもあるけれど。

自分の年齢は自分で決める。


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