パーフェクト・ブルーを観てきた
今思えばそもそものきっかけは私の好きな米津玄師さんのライブだった。ここ数年、私の生活の大半が彼に影響されているといっても過言ではないかも知れない。今年の春から行われた「米津玄師 2023 TOUR/空想」の中で、突如として発表された新曲。名も明かさぬまま、「新曲です、はい。」とだけ言っていたことを今でも記憶している。
真偽は定かではないものの、アリーナ席のとある参戦者が、米津玄師が歌う際に確認する歌詞板に「パーフェクト・ブルー」の文字を認めたとSNSで目にした。
「パーフェクトブルー」といえば、今敏監督の手掛けた短編アニメーション映画を想起する。と言っても、もともとこの作品を知っていたわけではなく、この一連の考察で初めて知った。Netflixであれば見てみたいと思ったものだが、あいにくにも動画配信サービスでは見られなかった。
ところが偶然なのかそれとも彼のシナリオなのか、その3ヶ月後に嬉しいニュースを目の当たりにする。「パーフェクトブルーが期間限定で再上映される」とのことだった。またとない奇跡。これは見に行くしかないと決意し、少し遠出して見に行ってきた。映画館の席を予約しようとした時にはほぼ満席になっていて、かろうじて空いていたのは最前列の1席だけ。頑張って席を取ったものだ。
実際に見てもらいたいので本当にざっくりとした感想だけ述べると、もう一度見たい、これに尽きる。正直言うとこの映画は、なにか琴線に触れるような感動ものでもないし、私の好きなタッチの作画でもなかった。宣伝文句ではサイコパスホラーなどと書いていたが、そこらのホラー映画よりしっかり怖かった。それでもこの映画には、なんと言えばいいのか、えも言われぬ魅力があるのだ。20年以上前の作品だが、だからこそ絵のタッチにせよ、作品のテーマにせよ、演出にせよ、絶妙な浸透性があるのだ。そして何より、一度で全ての話の流れを掴むのはかなり難しい。私がももう一度見たいと思った一番の理由はそれだ。現実と虚構のストーリーを行き来するので、視聴者さえもどっちが現実なのかわからなくなるのだ。
叶うことなら、もう一度見返したいなと思う。そして欲を言えば、もう一度謎の新曲も聴ければいいな、と。
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