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初詣

初詣は済んでいた。

けれど、他の神社にも詣でたくて、竹下通りの裏にあるという東郷神社に行ってみた。駅から下る坂道を抜けて角を曲がればビルの合間から入り口が見えてくる。よく見なければ通り過ぎてしまうような隠れた小道の先に少し大きな参道が見えてきて、気づけば神社への石階段が組まれていた。境内には数人の人がいるのみで、冬の寒さがビル風と共に吹き付ける。さっきまでの鬱蒼とした人混みの雑音が嘘のように消えた。

お参りをして御朱印をもらい、折角だからとおみくじを引くことになった。いくつか種類があったが、結局「華おみくじ」と言うものを引いてみることに。

おみくじ

箱の中には3種類の色の華に見立てたくじがあり、今回はピンクを引く。

中を開けてみると、なんと綴じ込み絵本のように花が立体的に出てくるような仕掛けになっているタイプのおみくじだった。梅の花の詩もついている。

おみくじ2

ページを捲ればおみくじが挟まれており、願い事を書く欄まで用意されていた。こんなおみくじは初めてでちょっと贅沢なおみくじだった。

おみくじ3

元来た道を辿り、会社へ戻る。

昼時にふと外を見ると、いつの間にか雪が散らついていた。天気予報では晴れだったのに。周りも気が付けば「雪だ!」と騒いでいる中、自分だけが信じられなくて、本当に雪なのか確かめたくて手を伸ばす。指先に触れた雪がひんやりと冷たい感触を残してするりと溶けていくのを感じながら、この儚さを梅の花と喩えた歌人は風流だなと思った。

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