見出し画像

賢者の言葉50 作家は食わねど高楊枝

 11刷の重版を記念して
『武士道』の第11章、「自制」の中の項目よりです。

「厳しい試練にさらされ、
人間本来の弱さがさらけ出されたとき、
日本人は、笑うことでそれに対処してきた」

私たちは生きていて、
自分の力ではどうにもできないことがある。
そんなときはレット・イット・ビーで、
運命に身を委ねるしかない。

不安ですよね。
これからどうなるか、とても心配になります。

で、そんなときにどうするか?
「笑う」んですね。

楽しいときに笑うのではない。
不安だからこそ笑って、
来るべき困難に対処できる力を維持しておく。

悲しんだって、苦しんだって、
結局、何もできないことは同じ。
だったら笑っていたほうがずっと、
楽しく状況を乗り越えられるのではないか……。

そんな武士たちを象徴する言葉に、
「武士は食わねど高楊枝」
という有名なものがあります。

江戸時代、武士たちには結構、
経済難を抱える人間が結構いました。

なんせ戦争はありませんから、身分の低い武士は、
士官に苦労する。
ある程度、身分があっても、
今度は無理して接待したりするから、
借金を抱える人も多かったわけです。

だから満足に3食が食えないこともある。
でも、そんなときこそ「高楊枝」で、
楊枝を口にして、
「あー食った、食った!」と満腹そうな顔をしている。

そうやって自分たちのプライドを維持し、
元気よく、辛い状況に対処していったんですね。

まあ3食は食べますが。
案外と、この不況下の作家やライターも、
「高楊枝」の武士に近くなっているんではないか?

まあ、皆が皆ではないのでしょう。
ただ、私は昨年に関わっていたプロジェクトが
いくつか頓挫し、
一気に失った売上を未だカバーできていない。
出版業界の仕事は激減していますから、
会社維持のために、借金もせざるを得なくなった……。

それで少し定例の「賢者の会」も中断していますが、
今は試行錯誤しながら、
懸命に事業再生に努めているところ。

正直、とても不安ですが、
こんなときこそ、やはり
「笑ってしまおう」なんですよね。

どうせやるべきことは変わらないわけです。
落ち込んだって、先は見えないし、
笑ったほうがアイデアも出てくるというもの。

気づくとコロナ後の世の中には、
案外とそんな方が多いんじゃないか。
とくに事業者には……。

先が見えない時代は続きますが、
こんなときこそ「高楊枝」の皆さんで
一緒に協力していけたら最高ですよね。

こんなときこそ「武士道」の精神は
役に立ちそうです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?