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医局で働くということ

現在フリーランスをしてる40代の女医
なつ🌱です。

「フリーランス女医の私」の
noteを読んでくださる方は
医局をやめようと思ってる方
医局に疲れている方、が多いかもしれません。
あとはもしや医局に入る前の若者?
読んでくれてありがとうございます。

私は医局を辞めましたが
「医局で働くこと」が悪手とは
全く思ってません。

今私が医局を離れたのは
単に自分の人生の今のターンが
医局の今のターンと合わなくなっただけ、

と思っています。

「医局で働くということ」
離れた今、考えてみようかなと思います。

大学医局で働くメリット

たくさんの症例を経験させてもらえるし
一から教育をしてくれる。
足りない臨床力、技術力でも守ってもらえる。
最先端の考え方や、製品機材に触れることができる。

認定医、専門医、指導医が受験資格が
とりやすい。

症例の種類や経験数、機構専門医のルールなど気にする必要がない。
(本当は自分で気にした方が良いけど、先輩や医局長にどうしたらいいか聞けるし、けっこう面倒見てくれたりする)

何も計画してなくても医局に従って仕事してると、なんだかどんどん資格がとれていく。
(試験勉強はありますよ!!)

女医復職支援がある。
これは私も活用させてもらいました。
私は一時期、大学勤務を週3にさせてもらってました。子供が小さい時期はとても助かりました。

大学院で研究、学位論文が取得できる。
(人により科により医局により、何年かかるかは知らないですが、、)

大学病院以外の市中病院にも出向でき、
違う役割の病院での臨床経験もできる。

医局員がいっぱいいるので
自然と人脈形成できる。

給与などわずらわしいお金の交渉は、
非常勤も出向先の常勤の場合も
医局がマネージメントとして代わりに交渉してくれる。

とにかく待遇や場所など一定のものを与えてくれるので気にすることなく
医学、臨床に没頭できる。

大学医局で働くデメリット

教育を受けたら、
経験させてもらったら、
資格をとらせてもらったら、
今度は後輩の若者に同じことを指導して返す。
奉公する。
まあこれは、医者じゃなくても
ある程度の規模の企業でも同じだし
組織として当然なんではないでしょうか。
(とデメリットに書いておいて、個人的にはそう思います。)

医局内かなりの縦社会。
働かない講師、横暴な教授がいても逆らえない
パワハラ体質
(昨今、少なくなったとはいえ、、、)
ブラック労働。(同上、、、)
医局員は人数が多いので、
医局員同士の人間関係に疲れる。

自分にとっていらない資格、学位でも医局の成績になるので無意味に取らされそうになる。
(特に文句言わない人が。上としては実績なくて研究費削られたくないからね、これも医局を守るため。)

医局に長年いて、医師の年次が上がると
希望するしないにしろ
講師や各関連病院のポスト争いに巻き込まれてしまう。私はその世代の直前で離れましたが、少し上の世代は争い始まってました。
なんか、、大変そうだったよ、ポストとか、、待遇とか、、。

医局人事で断りにくい出向(転勤)がある。
1ヶ月前とか急なこともある。
定住地が決められない。子供がいると単身赴任したりする先生も多数。

大学病院勤務薄給、、、。
(バイトで市中病院と同じくらいになるように考えてくれる教授、医局長だと良い医局!最近はそうしないとみんな辞めちゃうから、それは遵守してる医局が多そうですかね?)

収入が突き抜けられない。
(大学病院勤務にしろ、市中病院勤務にしろ、医局派遣の非常勤にしろ契約は医局が決めてある一定になるようにするから、、、揉め事起きるとめんどくさいしね。そういえば昔教授とか講師の行ってたバイト待遇が美味しすぎてびっくらこいたことあったな、、、。)

医局から抜けられないように圧をかける教授がたまにいる。
(私が聞いた話だと、このシマで商売できないようにしてやるぞ、的なヤクザ地味たこと言われたりするらしいよ。怖)

自分の給与、待遇、お金の話など、世間一般常識に対して思考停止でも医者として生きていけてしまう。
医局育ち世間知らず医者の誕生。
(これ私がはまりました。まじで子供産むまで何も考えてなかった。きっかけの子供に感謝。ずっと医局にいて思考停止型の人は気をつけた方が良い)

メリットデメリットで思うこと

とりとめもなく挙げ連ねましたけど、
メリットデメリットは表裏一体ですよね。

いろんな病院に出向可能で経験を積める
急に(1ヶ月前とか)医局人事で県外に出向させられる

この二つは「医局派遣で出向する」という
同じ事象ですよね。
物は言いよう。
人によっては良いし、人によっては悪い。

どの項目もこれの繰り返しですね。

医局は時が経っても基本的な構造は変わりません。でも人が多いか少ないかどんな人がその時代に居合わせるかで全く違う職場になるでしょう。

また、医局員個人個人の状況は
年齢や家族構成その時の状況でどんどん変わっていきます。

医局がどの時期も個人個人全ての医局員の受け皿にはなり得ないし、
逆にうまくお互いの波長が合う人には
定年までの受け皿となり得る
と思います。

恋人やパートナー、会社員と会社同様に、
「医局員と医局」も、
タイミング、その時の状況、個人の性格が医局に合うかどうか、
で別れが来るときはあって当然です。

医局で働く上で大事なこと

「医局にいる限り医局の駒のひとつ。
教授の駒のひとつなの。嫌ならやめればいい。」

これは私の先輩の言葉です。

夜に残ってる若い医者たちが
医局内で人事に対して
ギャーギャー不満を言い合ってる
時に言われました。
相当見苦しかったのでしょう。汗

その先生は程なく辞めました。
その時の先輩の率直な気持ちだったんだと思います。

この「医局の駒のひとつ」
私の中にとても刺さりました。
それまで医局、教授は社会における
親代わりで、なんでも世話してくれるし
我々医局員を守るべき存在だ!
と無意識に勘違いしてたみたいです。

ただの駒です。
それ以上でもそれ以下でもない。
代わりはいないように見えるけど必ずいる。

自分を驕ってはならないし
医局に依存してはいけない。

医局と運命共同体ではないし、
医局を自分が救えるわけでも
医局が自分の人生を保障してくれるわけでもない。

医局に所属することで得られるメリットは
上記のようにたくさんある。
でもそのかわりにデメリットももちろんある

所属するからには駒である認識を持て、
ということ。

その上で、お互い利がある関係なのか、
もう歯車が合わないのか

自分にとって今現在目の前にある医局が
自分らしくいられる場所なのか

いつも考えていく必要があると思います。

おわりに

私は十数年医局にいました。
出向は他の人より少なく本院にいることが多かったので
医局色が濃い医局員人生だったと思います。

個人的には医局にいて後悔はありません。
むしろ感謝が強いです。
若い頃、自分の将来とかキャリアとかお金のこととか、自分の人生について何も考えてなくて
本当に思考停止でお花畑だったな、
と何度も思いますが、それは自分の問題で、

言い換えれば
思考停止でいられるほどお金に困らず
忙しいけれど楽しくやりがいもある医学・臨床に
没頭できていたんだ
と思います。

医師としての自信は今もそんなにないですが、
医局のおかげで「普通のお医者さん」に
はなれたと思っています。

非常勤フリーランスのの分際で
わかったような口きくなと
言われそうですが、

医局の駒の人生そんなに悪くなかったですよ。
いつか子供の手が離れたら戻りたくなったりして。

それではまた。

そんなこと言っておいて
医局と歯車があわなくなり
辞める決意をした記事はこちらです↓


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