平凡な女医の仕事論【交通整理】
40代の女医なつ🌱です。
こんにちは。
本日は気恥ずかしいですが、私の個人的な医者の仕事論です。
私の経歴
医者は狭い世界なので専門科は伏せていますが働き出してから20年弱となりました。専門科の専門医指導医は取得いたしました。
大学病院でもそれなりに働き
市中病院でもそれなりに働きました。
そんな私が医者になりたての頃から変わらずに仕事をする上での考えがあります。
それは「正しく交通整理をする」ことです。
交通整理
道路で工事やトラブルがある際に、
交通整理をされている作業員の方がいらっしゃいますよね。
車は彼らの案内に従い安全に交通することができます。
時に案内の手信号がわかりにくかったり案内を間違えたりすると、あわや事故一歩手前となりヒヤッとすることもあります。
私は医者含めて医療者の仕事も交通整理と同じ
だと思っています。
道路が通常通り使用できない時
=患者さんが病気や怪我をした時
です。
患者さんが病気や怪我をした時は、医者含め医療者が正しく医療のガイドラインに従い、患者さんの状態に見合う道を提案しそのお手伝いをします。医療の交通整理をしています。
ポイントは「正しく、かつ、なるべく迅速に」です。
道路の交通整理と同じで、正しい交通整理ができないと医療も大惨事が待っています。
医療の交通整理
道路の交通整理との違いは、道路交通法よりはルールが複雑ということです。
病気や怪我の種類が多く疾患ごとにガイドラインは違いますし、またガイドラインというものは医療の世界では割とすぐ変更、更新されます。
新たな研究結果が出ればその都度早く更新するのは医療研究者の努力です。
しかし、患者が多様な疾患やその複雑なルールを覚えることは難しいので私たち専門職が存在し、案内する介助する役目を担います。
交通整理は交通整理、それ以上でもそれ以下でもない
時折医療者で、というか、特に医者ですが、
「自分が患者を治している」と勘違いする人がいます。
患者の状態が軽快傾向になるのは、この時代の医療ガイドラインに沿うことができたからです。
病院に受診しやすい国の社会保障制度があり、何かしら症状が出た時に通院するという本人の判断、知識があったからです。
受診すれば精査診断され治療ガイドラインまで辿り着来ます、これは当然の流れです。
医療者の手柄でも何でもありません。
強いて言えば、臨床研究や薬剤開発してくれた研究者のおかげです。
というわけで「医療者の仕事」は医療ガイドラインに沿って正しくできるだけ早く交通整理する。
それ以上でもそれ以下でもありません。
でも、患者さんは体調が良くなったら「先生のおかげ」「この病院のおかげ」と言ってくれたりします。単純に嬉しいですが、勘違いしてはいけません。
繰り返しになりますが正しく交通整理すれば当然の流れなのです。
決して医療者である自分が大それたことをしたわけではありません。
また、悲しいことではありますが現代の医療の限界で、医療ガイドライン通り正しく交通整理しても疾患によって症例によっては「軽快」の転機にはならないこともあります。医者であればよくお分かりですよね?
先生が治してあげるからね
私は「先生が治してあげるからね!」と簡単に言う医者が嫌いです。
中堅以上の医者で上の台詞を言いだす輩がいます。よくそんな無責任なことが言えるもんだ、と隣のブースで何度も思ったことがあります。
そういう医者は会って1.2回目のの患者にもその台詞を言い、私としては毎回ウゲー、、、となるのですが患者さんは(特に高齢の方)意外と喜んだりするのですよね。
私なんかが冷静にリスクを長い時間かけて説明するより、リスク説明などすっ飛ばして「先生が治すからね!」の一言で安心した、嬉しかったと言う方も実際は多いです。(がっくり)
病気の初期は不安な気持ちが強いですからね、一部の宗教法人と同じやり口で恐ろしいです。そしてそう言う無責任医者は大体中年以上恰幅が良い体型の医者が多いです。(ただの悪口や)
(ちなみにここで言う「先生が治してあげるね」は、小児医療などの主治医が患者と長く寄り添い患者家族の心情に塾考を重ねた上での言葉とはまた別の話です。)
話がそれましたが、上記のような無責任な発言をする医者は「医療者はただの交通整理、それ以上でもそれ以下でもない」とは思わず、自分のことを過大評価した医療者です。
患者を快方に導いたのは現代医療の叡智が詰まっているガイドラインであるはずなのに、自分個人の手柄だと勘違いしてしまう。
私はそのような勘違い医者になりたくありません。
「正しく交通整理」は実は大変
何故そんな勘違い野郎が発症するのかというと、、、
「医療者の仕事は交通整理、それ以上でもそれ以下でもない」と簡単に言いましたが、
正しく交通整理する、必要とされるはずの医療ガイドラインに沿うことを実現することは、実は大変です。
呼吸循環トラブルなど急変があり、一刻も争う容態の時は「正しく」に加え「迅速に!」が加わります。医療者側の日頃からの知識の備えに瞬発的な行動力、手技の鍛錬が必要です。
また、プライマリケアにいる医者はこの交通整理をするためにどれだけ広範囲の知識が必要なんだろうか、、と常々思います。
私も正直自分の専門外の知識では弱いところが多々あります。
プライマリな場所においての鑑別診断というのは知識があっても難しいときは本当に難しいんです、、、本当に。
迷う時は自分とその場所でできることの限界を知り、しかるべき総合病院に送りとどけるという交通整理ができればいいと思います。
その場その場で、しっかりとした役割をできれば、最終的に患者をガイドラインに乗せることができます。自分の手を離れても。
と、このように、簡単にガイドライン通りに、、、とはいえど、実はけっこう大変なので
難しい症例でガイドラインに沿うところまで患者を持っていけたときは、確かに自分が神のように思え驕り高ぶってしまう時もあります。
しかし、私としてはどんな症例でもいつでも当然のように、自分を思い上がることなく、患者が本来享受できる医療、運命を変えないように粛々と仕事するのが医療者の仕事だと思います。
難しい判断、迅速な行動力を求められる職だからこそ、医療者、特に医者は平均給与よりは多くもらえる職業になっているはずです。(たぶん、、。汗)
今現在
医者としては中堅には入った頃だと思います。
とはいえ、上記の自分が思う理想通りの仕事ができず悔しい思いをすることもまだまだあります。
若い頃の考えと変わらず今現在も私は
正しく、ガイドライン通り交通整理できる医者になりたいです。
多分その目標は今後もずっと医者を辞めるまで変わらないと思います。
患者側からすると大門未知子のような「私絶対失敗しませんから」みたいなドラマティックな女医を期待していたり(患者さんたち医療ドラマ好きよねー、、、)同業者からも「ガイドラインに乗せる交通整理」なんて低い目標だと蔑まれるかもしれませんが、、、
私にとってはレジデント時代から仕事論として持っている大事な「医者の交通整理論」です。
おわり
個人的な医者の仕事論を話してみました。
私は自分の力を過信する勘違い医者は大変危険だと思います。自分を過信するが故に思考や手技が雑になってミスをしたり、起こりうるリスク説明が足りていないため、治療が芳しくない時容易に患者との信頼関係が崩れ最終的に患者が被害を被るからです。
自分達に大きな力がないことを自覚し、それでも尚できるだけ患者の道筋を邪魔しない努力をする、というのが良い医者だと思っています。
私も全然まだまだですが。
ブラックジャックの本田先生の言葉を置いておきます。
それではまた。
体調が悪くて余裕がなかったのですがもう3月、先週はホワイトデーでしたね。
男性職員の方々がみんなで食べてといろんなお菓子が休憩所や医局に置いてありました。ありがとうございます。
久々に食べて嬉しかったお菓子はヨックモック。定番やっぱり美味しい。。。
あとこれ。
甘いけどやっぱり美味しい!ってなったのはこちら。
同じブランドのもの。チョコ好きに。チョココーティングのものは今回初めて食べた、、、濃厚すぎて一つでお腹いっぱい。うま。
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