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#1「憧れ」の暴力、フランス。

割引あり

私は普段とても動かない。変化はこわいから。
「きっとここで動いた方が後がラクだろう」という要所でサッと動き、仕事めいたことをし、暮らせる基盤を作ったらまた、安定にしがみつく。そんな人生だった。

そんな中、突如 “フランス” が私に殴りかかってきた。

「あのフランスさんがそんな暴力を?」とお思いだろう。そうなのだ。意外かもしれないが、彼女はこの数ヶ月間、私をタコ殴りにし続けている。

彼女の暴力性を皆さんに認めて頂くには、私の仕事人生の振り返りをせねばならないし、フランスさんに出会った2022年の年末にまでさかのぼらなければならない。

週休5日制、最高!~「インフルエンサーに、俺はなる!」

私は5年間かけて自分の書道教室を大事に大事に育ててきた。手に塩をかけ、生徒に砂糖をふりかけまくり、甘くて優しい時間を堪能していた。一般企業勤めがとことん性に合っていなかった私は、サラリーをもらえなくても悠々自適にふわっふわな人生を歩むべく、5年おきに新しい仕事の軸を立てつつ、少なくとも死ぬまでは死なずに済む人生設計を組んでいた。

大好きな生徒さんたちと過ごす「週に2回だけの教室」という心も懐も安定する事業をなんとか成功させたので、さてそろそろ次の5年に向けてYouTubeなどのSNSでも頑張るか…と思っていたのが2022年。

そんな思いの中、何やかんやあった後、「ゆる書道学ラジオ」という大変人々のためになる素敵なYouTube番組をスタート。少し前に始めていた「パクパク書道」という誰のためにもならない、何の役にも立たないけどクセになるであろう番組との2大体制で「これから有名人になっちゃうもんねえ~!」とワクワクな人生の幕開けをしていた。

しかも特に成功しなかったとて教室という後ろ盾があるから一切困らない。なんと順風満帆な計画の遂行!はっはっはっはっは!!!

一生を変えるには小さすぎる「悪あがき」

「ゆる書道学ラジオ」はオーディションで決まった。そのオーディション過程がネットで配信されるという虹プロジェクトのようなテラスハウスのような、変なパクリ番組に出演することとなる。

「だれがパーソナリティになるんだろう?!」というワクワクを視聴者にかき立て、その後の新番組のファンを囲い込むというありがちなプロジェクトだ。しかし放送期間の途中で視聴者がその茶番なフォーマットに飽き始め、ラジオの新番組が始まる前だというのにオーディション番組そのものの視聴率が減り始めた。

「こりゃまずい!!」と早々に感じ、当時人気が出始めていた「選考で敗れた者たち」の別チャンネルにゲスト出演して「今だから言える裏話」的なことを話したりなどして、なんとか変化を作り出そうと試みた。
結果としてはあまり効果はなく、ただの「悪あがき」となってしまったけれど……しょんぼり。

しかしこの悪あがきが、私の人生を180度変えることになった。

人生の歯車なんて、突然豆腐になったりする。

よく「人生の歯車が狂った」だとか「ボタンのかけちがい」のような表現を目にするが、実際の人生なんてもっと突然、ひどく不可解な方向に転移するものだ。歯車は歯車の様相を保たず、ふにゃふにゃの豆腐と化すほど、こちらの理屈とはかけ離れた物体となって、私の人生計画書を一晩でぐちゃぐちゃな落書きに書き換えてしまった。

その犯人は、とある物理学者の男だった。

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