上腕骨近位端骨折後(術後)のリハビリ介入で得た知見の共有
最近、上腕骨近位端骨折後にOIRFをした患者さんのリハビリ介入をしました。
その中で、肩関節への介入をおける新たな発見があったので共有したいと思います。
前置きは無しに、さっそく本題に行きましょう。
🔶簡単に症例の背景を共有
今回シャアする症例は、転倒により上腕骨近位端骨折した90歳代の女性です。
ORIFしてから少しの安静期間をへて、肩関節の可動域訓練を開始しました。術後の状況として目を引くのは、以下のポイントでした。
・上腕から前腕、手部まで皮下出血が広範囲に及び、浮腫+++
・肘の伸展制限がかなり強い(-80°程度)
・肩甲上腕関節は安定している
一番最初に介入ポイントとして選択したのは、肘でした。自分が肘から介入を開始したのは、肘の介入後に明らかに肩の緊張が軽減したからです。
介入開始直後の肩甲帯のアライメントは外転・前傾位でしたが、肘の介入後から一気にアライメントが改善されました。
そこから、肘の伸展や回外可動域の改善に介入リソースを使って進めてきました。しかし、介入後には幾らかの改善はあるのですが、すぐに元に戻ってしまうことの繰り返しとなっており、軌道修正が必要となるような状況でした。
ここで前腕の回外可動域が増加してきていろんなことが見えてきたことが転機になりました。
それが、肩甲上腕関節の不安定性です。
この不安定性を発見してから、少し軌道修正することになります。これまで、肘や前腕に一定のリソースを使って介入してきたところ(当然肩の介入も同時進行でやってます)、肩に多くのリソースを配分するようにしました。
その結果、肘や前腕の可動域改善につながりました。受傷から手術までも時間も1週間ほどあり、拘縮に発展しているいるために完全な可動域の獲得には至ってませんが。
次からは、肩関節の介入にリソースを配分し直した時にどんなことを確認したのか見てきます。
🔶肩甲骨の傾きをいかにコントロールできるかが重要
結論から言うと、肩甲骨の傾き(今回で言うと、後傾)をコントロールできるようにすることが重要であるということです。
この傾きの重要については、これまでも自分自身の経験から重要であることは十分に知っていたし、今回も、肘に介入する段階から烏口突起周囲のリリースも合わせてやっています。
しかし、肘の伸展および前腕回外の可動域が出ていくにつれて、肩のほんとのう姿が浮き彫りになってきました。
これは、肩甲上腕関節を安定させるために肘と前腕に強い制限をあえて作っていたとも考えられます。
ここで改めて、肩関節に介入リソースを多く配分することになります。いくつかの評価を経て、肩甲骨の後傾を出すことが重要であることを突き止めます。
もう少し具体的に言うと、上腕骨に対する肩甲骨の後傾です。
あくまでも肩甲胸郭関節の後傾ではありません。上腕骨に対する肩甲骨の後傾です。この動きが出たと確認できた時、自動運動がスムーズになったり異常に固かった外旋可動域が改善するなど、明確な改善が得られました。
今回は、ここまで。
なぜ、このような判断に至ったのか、どうゆう評価を実施したのかは次回の記事でシェアしたいと思います。
それでは、また。
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