【世界遺産】③長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産

「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」は、2018年に登録されたシリアルノミネーションです。

<構成遺産>
原城跡、平戸の聖地と集落(春日集落と安満岳、中江ノ島)、天草の崎津集落、外海の大野集落、外海の出津集落、黒島の集落、野崎島の集落、頭ヶ島の集落、久賀島の集落、奈留島の江上集落(江上天王堂とその周辺)、大浦天王堂

登録基準は(ⅲ)文明や時代の証拠を示す遺産のみで、信仰に関する(ⅵ)では認められていません。

今回は、『世界遺産とは何か(北海学園大学人文学部世界遺産研究班)』の本を参照して少し深堀りしていきたいと思います。

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当初は県が「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」として世界遺産の登録を目指していたそうです。
ですが、諮問機関のイコモスより「1、日本におけるキリスト教の特殊性は禁教の歴史にある」、「2、個別の遺産が全体の遺産に貢献しているとはいいがたい」との指摘を受けます。
それまで観光地としての発展を目指してきました県でしたが、江戸時代の禁教期に活動した潜伏キリシタンの特殊性をストーリーとして組みなおす、という方向転換を余儀なくされます。
イコモスとアドバイザー契約を結び、価値を見直した結果、2018年に晴れて登録されたのでした。

また、NPO法人世界遺産アカデミー研究員の方のブログより、この世界遺産は以下の教訓を我々に与えてくれています。。
それは、「見えないものの価値」です。
当時キリスト教の信仰や布教は幕府によって御法度でしたが、この一連の遺産が、隠れキリシタンが生まれ、幕末とともに禁教が解かれる終焉を物語っています。
宗教的マイノリティ、人種、ジェンダー、貧困…少数派とされる人の声が注目されることはままありません。
でも、「見えない」=「存在しない」ではない。
差別の存在を認めること、それをなくしていこうという姿勢が大事なのだと学ぶことができました!

SGDs目標5 ジェンダー平等を実現しよう

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