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アルゴリズムの動画広告

 ユーチューブの広告は、アルゴリズムだかなんだかで、その人にぴったりだと思われるものを表示してくれるらしい。なんともありがた迷惑な話だ。

 そもそもこの広告は、動画の前や最中に流れたり流れなかったり。5秒くらい見たら飛ばせたり飛ばせなかったり。ちょっと鬱陶しいと思う人がほとんどだろうが、無料でこの世にあふれているいろんな動画を観ることができるならありがたいと思い、有料プランには入らずに淡々と広告を見てから、本編を再生している。
 一度、有料プランに入ろうかと検討したことがあったが、あまり好きではない友人に「有料プランに入ると広告がないからノンストレスだよ、絶対に入りなよ。入らないなんて時間無駄にしてるし、馬鹿すぎる」と言われたことがあったので、腹が立ったので意地でも入らないことにした。

 で、このアルゴリズムに従った広告である。

 20代後半独身女性の私の場合は、よく出てくる2トップが「脱毛」「マッチングアプリ」だ。7割方この2つと言っても過言ではない。

 「脱毛」は、「きゃー、明日は大好きな××君とのデートだ!思いっきり肌の露出ある洋服を着て悩殺させちゃおう」から始まり、デートに行ったものの女の子の脇毛や腕毛がもわもわで、気になる××君が幻滅して帰ってしまい、落ち込んだ女の子は脱毛を決意する、というパターンが多い。他にも、女子会の最中に友人に薦められる場合もある。いずれにせよ「脱毛してないと恋のチャンスも減るから、みんな脱毛しようね」という流れだ。余計なお世話だし、私はもう何年も前から何十万円も払って医療脱毛に通っているので、今更新規で契約するつもりはない。広告が表示されるたびに「この広告は私に関連ありません」と報告しているが、何年間も、私は脱毛サロンに、広告越しに勧誘され続けている。

 「マッチングアプリ」の方がもっと厄介だ。昔、恋人がいるときに、一緒にユーチューブを観ていたらマッチングアプリの広告が流れ、「こういうの興味あるの?」と鼻で笑われたことがある。違うって!と必死に弁明したが、なんとなく軽蔑されたまま、誤解は解けなかった。アルゴリズムだかなんだかなら、恋人がいると思われるときにはこういった広告を表示させないでほしい。
 かと言って、恋人がいないときに表示されても、それはそれで腹が立ってしまう。大体「20代の3人に1人がこのアプリを使ってるんだって」「価値観で出会う、新しい恋愛」みたいなセリフを、カフェ巡りが好きそうな透明感あるかわいい子が言っている広告だ。ハイハイ、と思いながら心を無にしてみている。

 でもあるとき、「婚活カフェって知ってる?」と、突然流れてきた。その瞬間私は「うるさい!」と叫んで、スマホを切ってしまった。もう、本当に、余計なお世話だ。恋人はいないけど婚活をする気はないし、マッチングアプリを入れる気分でもないんだから、放っておいてほしいの!!そう思いつつ、きっと私の検索履歴の何かが引っ掛かって、これがおすすめされているのだろう。

 そういえば前に、会社のおじさんが、職場でうっかり大音量でユーチューブを流してしまったことがあった。
 それは冒頭の広告で、「いや~ん、こんなときに何で勃たないのぉ~」という女性の声だった。精力剤かなにかの広告だろう。おじさんの心境を思うと、やりきれない。

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