嘘のような本当の話
私はけっこう運のいい方だと思う。
人に話すと驚かれるような出来事や体験がいくつかあるがその中のひとつを今回は書いてみようと思う。
それは10年ほど前のこと。実家で家族と一緒に暮らしていたが、両親の都合でひとり暮らしの家を1年かけて探そうとしていた。
1年もあれば余裕だなと思っていたが、両親に突然、「新居を決めたから4か月後には引っ越すからそれまでに家を探してね。」と言われたのだ。
働きながらの物件探しは平日には中々難しい。1年の余裕があったのに、1/3の期間で探さなくてはいけなくなったので、私はとにかくネットを見たり、駅前の不動産屋の広告を仕事帰りに見たりしていた。
そんな感じで過ごしていたらあっという間に2ヶ月が過ぎた。そろそろ真剣に探さないとマズイなという気持ちにはなっていたもののやることにあまり変化はなかった。
そんな日々を送る中で、友人と会う約束をしていたある日、友人の都合で2時間ほど待ち合わせの時間までに空きができた。
私は飲み物を買うためにコンビニに行き、普段目にはするけど、手に取ったことのないフリーペーパーを開いてみた。なぜそうしたのかはわからない。
そこで目に飛び込んできたのが占いコーナー。家を探してるけど見つからないし、時間もできたし、占いでも行ってみようかな。そんな軽い気持ちだったと思う。
そこに掲載されていたのは〇〇の母と呼ばれるベテランの占い師。結構有名な方で、私も名前は聞いたことがあった。
そんな人だとすぐ予約は取れないだろうと頭の片隅で思いながらも気がつけば電話をかけていた。こういう時って本当に不思議だ。
なんと電話がつながりご本人が出た。占ってもらえるか聞いたら、ちょうどキャンセルが出たので10分以内に来れるならみることができるとのこと。
驚いたことにそのコンビニから徒歩5分ぐらいの場所に○○の母が占いをしているマンションがあった。
すぐに向かい、占ってもらえることに。
「あなたラッキーね。こんなことは滅多にないわよ。」
確かにラッキーだった。予約待ちが数か月先というような有名な方だったからだ。
30分しかないので、ひとり暮らしの新居を探していることを伝えて、すぐに占ってもらった。
タロットを使った占いの結果は、「あなた、1年以内に結婚するって出てるから、すぐ出ていくことになるのであまり真剣に探さなくてもいいかも。陽当たりがいい、南向きの物件ぐらいでいいんじゃない?」とのことだった。
その時、私には好きな人も付き合っている人もいなかった。
さらにどの当たりで探しているのか聞かれ、答えると、希望エリアに詳しい知り合いの不動産屋の方の名刺を渡された。
「絶対この人訪ねてみて。」と言われたので、後日その方を訪ねることにした。
そして数日後、その不動産屋を訪ねてみた。
扉を開けて担当のおばちゃんと挨拶をした後、そのおばちゃんがいきなり私に言ったこと。
「あぁ、もう、私、あなたの住む家わかったわ。あなたを待ってたのよ。あの家は。」
意味がわからず???な私を前に自己紹介をしてくれた。
その方は私が希望するエリアにずっと住んでいて、そのエリアに詳しいのはもちろんお得物件や特別な物件はネットには掲載せず、今回の私のようにご縁を信じて、住むべき人がやってくるのを待つのだそうだ。
ものすごくオススメされるのですぐにその物件を案内してもらった。
そしておばちゃんオススメのその物件は、私の希望条件を全て満たし、想像以上だった。大家さんにもお会いし、これまた素敵な方だった。
が、素晴らしい物件だからこそ、家賃と敷金が自分の希望額をオーバーしていた。
残念ながら、丁重にお断りをしたら、おばちゃんがすぐさま一言。
「いくらまでなら払える?」
素直に払える金額を伝えた。
後日、大家さんと交渉してくださり、大家さんも条件付きでOKしてくださった。
その条件が、「犬と猫が嫌い、苦手じゃないこと」
私は犬も猫も嫌いじゃないし、むしろ好きだったので問題なかった。
結果、敷金は20万、家賃は1万2千円下げてくださり、私の希望額で素晴らしい家で初めてのひとり暮らしをすることになった。
こうして両親に家を見つけてよと言われてから4ヶ月目に無事に引っ越すことができた。
友人が待ち合わせ時間を変更しなかったら、私がコンビニに入ってフリーぺーパーを手にしなかったら、占いコーナーを目にしなかったら、○○の母の予約のキャンセルがなかったら、○○の母のマンションまでコンビニから遠かったら、○○の母に地元の不動産屋を紹介してもらえなかったら。。。
あの素晴らしい家に私が住むことがなかったと思うと今でもあの日の偶然の展開は不思議でならない。
何か大きな目に見えない流れに押されていたような気さえする。
そして私の理想を上回るそんな素晴らしい家に長く住んでいたかったのに、○○の母のタロット占いの結果の通り、住み始めて1年1ヶ月後に結婚して新居に引っ越したのであった。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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