見出し画像

難聴エッセイ │ 遺伝子検査のこと

(2022年2月にInstagramに投稿した記事です)


2012年度から保険診療として
「遺伝学的検査(先天性難聴)」が始まりました。
(先進医療としては2008年から)

私は2016年に、遺伝子検査を受けました。
社会人になっています。
(今は、赤ちゃんのときに受ける人も多いのかな)

耳鼻科の医者から聞き、検査のことを知りました。
私の家族は私以外はみんな健聴です。
自分の難聴の原因を知りたかったので、
迷わず検査を受けることにしました。
両親ときょうだいに協力してもらい、
病院で採血や聴力検査をしました。
後日、結果は私一人で聞きに行きました。


---


結果
私は、先天性(生まれつき)の難聴で、
両親からの劣性(潜性)遺伝が原因ということが分かりました!!

先天性難聴は全ての先天性疾患のうちでも
最も頻度の高い疾患の1つ。
出生児1000人に1人程度の割合で起き、
その半数以上は遺伝子が原因とされています。
難聴に関連する遺伝子は100種類ほどあると言われています。
(難聴遺伝子に限らず、人は誰でも数種類の疾患の
保因者になっているそう)


そのうち、私を難聴と決定づけたある遺伝子の保因者は、
1/50程度、いるそうです。(結構多い…!)
その遺伝子をひとつ保因しているだけでは難聴にはならないため、
多くの人は、この遺伝子をもっていても健聴です。
劣性遺伝(潜性遺伝)といって、
父と母から同じ難聴遺伝子をひとつずつ受け継いで
ふたつ揃ったとき、難聴が発現します。


---


結果を聞いて
あぁ遺伝だったのか、と、両親を責めた?
自分の力では変えられない運命を、憎んだ?

いやいやとんでもない。逆です。
なぜか、言葉には表せないほどの、心底幸せな気持ちになりました。

急いで家に帰って、もらった資料を広げ、
医者から聞いたばかりの話を父と母に伝えました。
母は「え〜私たちのせいだったの…」と言って
肩を落としていました。

でも私は二人にショックなんか受けてほしくなくて、
自分たちのせいなんて少しも思ってほしくなくて、
どうにか私のこの幸せな気持ちを伝えたくて、
一生懸命伝えました。

父と母はふたりとも、
1/50の確率で、その難聴遺伝子をもっていた。
たまたま同じ難聴遺伝子をもったふたりが、
1/50×1/50=1/2500の確率で出会って結婚して、
劣性遺伝(潜性遺伝)の場合は
4分の1の確率で難聴児が生まれるから、
1/2500×1/4=1/10000の確率で、
私が生まれたってことだよ!!!
奇跡だよ!!!すごいよ!!!
ふたりは運命の人だったんだね!!!

そんなふたりの、奇跡の証のような難聴を私にくれて、ありがとう。
↑これはさすがに照れ臭くて言えなかったけど、
心からそう思いました。

遺伝子検査をすることで
過去だけでなく未来を知るのが怖いという考えも
あるかもしれません。
でも私は検査を受けたことで、
自分が難聴に生まれた理由を知ることができて
家族との絆を知ることができて
良かったなぁと思っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?