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映画「GUNDA」

こんにちは。ぱるむです。
今回は映画「GUNDA」の感想を書きます。

本映画はビクトル・コサコフスキー監督、そしてエグゼクティブプロデューサーにホアキン・フェニックスであり、国内外100以上の賞を受賞した作品です。


農場の動物たちの映像をモノクロで90分堪能できる映画。音楽もナレーションも無い。ただただ彼らを眺めるだけなのだが食い入るように見てしまった。
本当のことを言うと深夜だったこともあり、後半10分ほどは軽い睡魔に襲われてしまった。
それでも素敵な映画であることは間違いない。


とにかく動物好きにはたまらない映画だと思う。
私は動物が好きである。とりわけ、ディズニーの動物が主となる映画は何十回も見たし、本で言うとファーブル昆虫記やシートン動物記は読み漁った。
今回の映画は、家畜たちをただ見る。ただそれだけの映画だが十分であった。


冒頭、小屋の中にいる豚の映像が2、3分ほど続く。何も変わり映えのしない映像。つまらないとも感じた。けれどもその空間が、その彼がただ横たわっているその時間のあり方が、この映画の自己紹介であり家畜たちの自己紹介でもあるように感じた。

子豚が必死に母豚の乳房を吸う。子豚たちは目が見えているとは思えないほど不器用であった。他の子豚を押し除けて必死に生きていた。


鶏のシーンもゆったり時間を使って彼らを堪能できた。一歩ずつ歩みを進める。その足の動きを見ると恐竜の末裔が鳥類であると納得してしまった。
足を浮かせると指がゆっくりと中心に集まる。次に足が地面につく時ゆっくりと足の裏から指にかけて地を踏む。


その後、牛が牛舎から牧場に放たれる。牛が走ると地鳴りがすごい。後ろ脚の筋肉があまりに美しくて見惚れてしまった。
その反面、首に括られた鈴の音が軽く高々に鳴るのも面白かった。
ハエが彼らにたかるが、時々耳や尾を震わせて追い払う。それでもあまり気にしていない様子だ。


最も好きなシーンは二つある。
母豚が暗闇の中で日光に照らされてシルエットが浮き出るシーン。
光は母豚の稜線をなぞるように反射していた。暗い小屋の暗いシルエット。とても美しかった。
そして雨のシーン。
母豚が空を仰いで雨を受ける。心なしか笑っているようにも見えた。
その後子豚たちも母豚に倣ってか、空を仰いで口を開いて雨を楽しんでいた。
親子だから遺伝子的に似ているのか、はたまた母親の真似をしただけなのか、それとも本能的に雨を受けていたのか。
どれでも良いが、このシーンは印象的だった。


自然の中にいる動物たちを見ると、如何に人間が生態系から逸脱した存在なのか思い知らされた。


しかし、私はこの映画の登場人物の立場を忘れていた。
重機がゆっくりと牧場を進む。大きな音と、重々しい動き。
私は彼らが人間に食べられる家畜であることを忘れていた。
彼らは食品であり商品だ。
それを忘れてしまうくらい、彼らは美しかった。
必死に、そしてゆったりと生きているようだった。


特にこの映画から学ぼうと思ってはいない。
ホアキン・フェニックスは熱心な環境活動家でもありヴィーガンでもある。
それを知った上でこの映画を見ても、あえて家畜のあり方や動物を食べることについて考えようとも思わない。
私はこれからも肉を食べる。乳製品で料理をする。
ただ、一口食べる前にこの映画に出てきた彼らを思い出して感謝の気持ちでいっぱいにする。



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