見出し画像

無理です、を受け止めて

体調や精神的に具合が悪く「無理だ」と思って訴えても、相手にうまく伝わらないことってありますよね。
その逆で自分も誰かの不調を、本人が思っているより軽く受け止めてしまうことがあるかも知れません。
今回はそんなお話です。

通じない、訴え

私は妊娠中によくお腹が張り、苦しくなることがありました。妊娠5ヶ月頃のことだったと思います。

その頃は仕事から帰宅すると、バタン!と倒れ、少しでも落ち着くために川のせせらぎの音を流して横になっていたことと覚えています。

画像1

初めての妊娠は、どこまで頑張っても大丈夫で、どこからは危険なのか自分で判断しづらいものがありました。
けれどこの時ばかりは「無理して仕事をしたらいけない」と素人の私でも分かる状態だったのです。

私は職場の上司に自分の状態を伝え、シフトや仕事内容を考慮してもらえないかと相談しました。
この時「本人が不調を訴えたら休ませるように」という医師の診断書ももらっていたので、そちらも一緒に提出しています。

上司は「分かった」と答えたものの、次に出たシフトでは全く何も考慮されていませんでした。

私は再度上司に不調を伝えます。

けれど返って来た返事は「できることはやってほしい」でした。

できないから言ってるんだけどな…。そう思いましたが、自分でもどこまでが「無理」でどこまでが「可能」なのか確実に判断することができず、言われたまま立ち仕事や早朝の仕事を続けることになりました。

しかし、身体は悲鳴をあげます。

結局私は切迫早産と診断され、絶対安静の生活を言い渡されました。

切迫早産と診断されたのは産休に入る2か月ほど前のことです。私は妊娠10ヶ月目に入るまでの約4ヶ月間は座ることも許されない寝たきりの生活をすることになりました。

産休に入ったら、赤ちゃんのために洋服を選びに行こうと思っていました。
夫婦2人で過ごす時間ももうしばらくないので、2人で何かおいしいものでも食べたいな、と思っていました。
赤ちゃんのために部屋の整理もしたいなと思っていました。
出産までの間に友人とゆっくり会う時間も欲しいなと思っていました。

仕事が忙しかった私は、産休に入ってからのことを楽しみに過ごしていたので、ただただ横になって寝て過ごす日々が続くことを、絶望のように感じてしまいました。

もちろん、お腹の赤ちゃんのことも心配です。毎日、いや毎時間、毎分「生きてる?」「生きてる?」と不安いっぱいでお腹に問いかける日々でした。


目に見える不調ばかりではない

病気やケガは目に見えて分かるものもあります。熱があったり、発疹が出ていたり、骨折していたり…。それは他人が見ても不調がはっきりと分かります。

けれど、目に見えない不調もあります。私のようにお腹の張り、それから頭痛、倦怠感、腹痛などこれらは他人からは症状が分かりません。

分からないから、「たいしたことない」「大げさでしょ」「気の持ちよう」そう思うこともあるでしょう。会社であれば、「それよりも目の前の仕事をしてほしい」「体調管理も仕事のひとつ」そんな風に、仕事を優先してくれ!と思うこともあるでしょう。

けれど、本人が不調を伝えているなら無理をさせずに、休息をとる、病院に行く時間を割くなど相応の対応をしてほしいと願います。

多くの日本人は無理をしがちと感じます。よほどのことがなければ仕事を休みません。任されたことを断りません。「体調が悪いです」「休みたいです」と言いません。

本人が不調をうったえているということはかなり状態が悪くなってからのことが多いのではないでしょうか。
そんな時はどうか休ませてあげてほしいです。
そこで「いや、働けるでしょ」なんて言われたら、もう次からも、そして他の人も我慢するしかなくなってしまいます。


本人にしか分からないからこそ

私が今回この記事を書いているのは1冊の本がきっかけです。


著者の柚希さんは「不調はその本人にしか分からない」「〃今、休まないと辛い〃と周囲に伝えるべき」と述べています。

私はこれを読んでいて、自分の訴えは決してわがままや大げさではなかったと安心しました。
柚希さんに「休むべきなんだよ」と優しく背中をさすってもらえた気持ちです。


後から同僚から聞いたことですが、私の上司自身は5人出産していてどの妊娠もつわりや大きな体調不良がなかったそうです。
だから私のことも「これくらい大丈夫」と思ったのだそう…。

確かに妊娠中の体調不良は「過剰に心配しているだけ」と思われやすいかも知れません。

腹痛、頭痛、生理痛、腰痛、妊娠中のトラブル…、いろいろな症状がありますが、それは人によって辛さも感じ方もそれぞれです。

「私は頭痛いくらいだったら休まずに働くよ」
「生理痛くらい薬飲めばいいでしょ」
「妊娠中でも私も働いてたよ。産休までは働けるでしょ」

そんな風に思う方もいらっしゃるかも知れませんが、でも体の痛みや不調はその本人にしか分かりません。

この本を読んで、改めて、身体が辛い時は周りに伝えて休息をとるべき、と考えされられました。

そして、誰かが不調を訴えた時は目に見えて症状が分からなくても寄り添う気持ちが大事だと振り返ることもできました。

自分の身体を大事に、そして誰かの身体を大事にできたらもっと生きやすい、もっと働きやすい社会になるのにな、と思います。

画像2


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?