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【絵本出版】産後の小さな夢を、3年越しに叶えた話

「自分にはできない」と思っていること、ありませんか?

こんにちは。Webライター&イラストレーターのなつめももこです。先日Kindleで絵本『うんとうんと』を発売しました。

「絵本」も「絵を描くこと」も、どちらもとってもすきなわたし。けれど「絵本をつくろう」と思ったことはまったくありませんでした。たった1度、産後に義母との死別を経験したとき以外は……。

今回は「自分は絵本をつくるべき人ではない」と思い込んでいたわたしが、なぜ絵本を発売するに至ったかをお伝えします。

あなたも「自分には絵本作成なんて無理だなぁ。そりゃあ、できたらしてみたいけれど…」と、思っていませんか。
あなたがつくった絵本を読むのを楽しみにしている子がいるかもしれませんよ。

絵本は神様がつくるもの


わたしは図書館司書の資格を取るくらい、ずっと本好きな人でした。当然絵本も大好き。大人になっても絵本を読んでは、絵やリズムのいい文章にひきこまれていたものです。

この世で1番すばらしい仕事は絵本作家なんじゃないか、などと思うこともありました。

だって、子どものこころって無限大でしょう?
そのこころをさらに広げられる絵本って、神様のような人でなければつくれないに決まっています。
わたしはどう考えても神様のような人ではないから、自分には絵本はつくれないと、ずっとずっと思っていました。

いや、つくれないではなく「つくるべきではない」という方が正しいでしょうか。神聖なものは、神聖であるべきですから。
わたしが足を踏み入れられるような領域ではないのです。

義母との別れ

「絵本をつくろう」などという気持ちが一切なかった3年前。わたしは第一子を妊娠しました。

義母はとってもよろこんでくれて、エコー写真をみるたびに、すくすく大きくなる赤ちゃんの様子を見守ってくれていたものです。
どこが写っているのかわからないエコーを見ては「うーん」とうなり、3Dエコーで顔が見れたときは「美人だねー」と喜び…。
わたしの体調を気遣い、いつも励ましてくれました。

孫に会えるのをとっても楽しみにしていたお義母さん。「お孫ちゃんとお絵描きしたいんです〜」といって、うきうきしていました。
そんな義母の反応がうれしくて、わたしはわたしで「何歳くらいからお絵描きってできるかな?」「お宮参りはお義母さんと行きたいな」などと楽しみにしていたものです。

そうそう。「お孫ちゃんを触りたいな〜」と義母が言ったときには、びっくりしちゃいましたね。「抱っこしたい」「なでたい」ではなくて「触りたい」だなんて、ちょっとおもしろいですよね。ふふふ。



ところが…、義母の願いはなにひとつ叶わなかったのです。

娘が生まれて1週間後。里帰り先の実家でほっと一息ついたわたしに届いた夫からの知らせ。それは、義母の死でした。

お絵描きどころか、孫を触ることすらできなかった義母。

「自分の孫を触りたい」って、そんなにぜいたくな願いでしょうか?
それくらい、叶えてくれたっていいんじゃないですか?
せめてあと1か月ほど、義母を生かしてくれてもよかったんじゃないですか?

神様がいるとしたら、なんと残酷なことをするのだろうと思わずにはいられませんでした。

義母の思い

自分のおばあちゃんが亡くなったことも知らず、生まれたばかりの娘はとても一生懸命に生きていました。
娘を「かわいい」と思うたびに「このかわいい娘を義母に見せたかった」という気持ちがあふれて、かわいければかわいいほど泣けて泣けて仕方なかったのを覚えています。

おばあちゃんがどれほど娘のことを好きだったか、絶対に娘に伝えなくてはいけない、とわたしは思うようになりました。

たとえ会えなくても「おばあちゃんの存在」が娘にとって身近なものであってほしい。
どうやって、おばあちゃんの思いを娘に伝えたらいいのだろうかと、考えているうちにたどりついたのが「絵本」でした。

絵本は神聖なものだから、わたしが入り込んでいい領域ではない、と思っていたけれど娘に思いを伝える手段として「絵本」がとてもしっくりきたのです。
わたしは、産後のぼんやりとした頭で構想を練りました。義母の愛情を伝えるにはどんなストーリーがいいか。どんな絵がいいか…。

「画用紙に描いて、製本して世界に1つの絵本をつくろう」と決意……。

しかし、産後の生活はゆっくりと絵本を描くような余裕はありませんでした。授乳による寝不足。やっと普通の生活ができると思ったら職場復帰。保育園に通う娘の体調不良の対応…。

「絵本づくり」はどんどん遠いものになっていったのです。

みいちゃんの絵本

娘が2歳半になったころ。わたしに1つの知らせが届きました。

おともだちの「はなもとみちかちゃん(みいちゃん)」がKindleで絵本を出版したというのです。

「わぁ。みいちゃんすごいなぁ。早速、娘と読んでみよう」
わたしはそう思い、娘にみいちゃんの絵本を読み聞かせました。娘はみいちゃんの絵本に夢中になり「もういっかい」「よんでよんで」と何度もおねだりしたものです。

わたしのともだちがつくった絵本を楽しそうに読んでいる娘を見ていると、ふとある思いがわたしのこころによぎりました。

「わたしが描いた絵本でも、こんな反応をするのかな?」

わたしが絵本を描いたとして、娘が一体どんな反応をするのかが気になったのです。
「見てみたいな…。喜ぶだろうか?何度も”よんでよんで”って言ってくれるかな?」

わたしは、娘の反応を見てみたくなりました。
そして、産後の忙しさですっかり熱が小さくなっていた「お義母さんの絵本」の存在を思い出したのです。

あぁ、そうだ、わたし…。お義母さんの絵本をつくりたかったんだった…。

こうして、かつて「絵本は神聖なものだから自分にはできない」と思っていたわたしは、義母の死と娘、そしてみいちゃんの絵本との出会いによって「絵本をつくりたい」と自然に考えるようになったのです。

母親がつくった絵本を見た娘の反応


娘が絵本を楽しんで読んでくれるうちに完成させよう。せっかくなら、わたしもKindleでつくってみよう。そう思ったわたしは2023年中に発売することを決めました。

娘が最近はまっている動物「うさぎ」を主人公にして、義母が実際にいっていた言葉をもりこんで…。
こうして3年の月日を経て「お義母さんと娘」の絵本が完成したのです。

発売は2023年の2月に決めました。娘が生まれた月であり、義母が亡くなった月。
完成した絵本を1番に娘に読むと、みいちゃんの絵本のときのように「よんでよんで」「もういっかい」と何度もいってくれました。

そして、何度も何度も読んでいると「これがおばあちゃんだね」「おばあちゃんも、いっしょよ」と、“おばあちゃん”を意識した言葉を次々に発してくれたのです。

娘は、まだ「死」がなんなのかは理解していません。
けれど、こうして絵本を通じて「おばあちゃん」を感じてくれたら、もうそれ以上のことはありません。

うんと昔のわたしが「絵本は神聖なもの」と思っていたとおり、絵本とは思いがうんとうんとつまった作品のことです。
愛情あふれる義母と、素直でかわいい娘のおかげでわたしにも「絵本」がつくれました。

絵本で思いを伝えたい相手はいませんか?

「自分にはできないな」と思っていることでも、誰かへの強い思いがあることで達成できるのかもしれません。

もし、あなたにも「絵本で気持ちを届けたい、でも自分には無理だなぁ」「自分の子どもに自作の絵本をつくるってすてきだけど、できないなぁ」という思いがあるなら「そんなことはない」と伝えたいです。

大切な人へ思いをこめているなら、描き慣れない絵だとしても、つたない文章だとしても価値のある作品に仕上がりますから。

今回の絵本にはわたしと同じように「絵本をつくってみたいけれど、どうやったらいいのかな」と思っている方に向けて「Kindle絵本のつくり方」を特典でおつけしました。

うんとうんと:特典『Kindle絵本のつくり方』

絵が描けない方や、文章が書けない方に向けて、サポートプランの案内もしています。
よければ、ぜひ手にとってくださいませ。

わたしが「娘に向けてかいた義母の愛」の絵本ですが、多くの方が自分のおばあちゃんや大切な家族への思いと重ねて読んでくださりました。
読んだ感想を、お聞かせいただけたらとってもうれしいです。


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