頭がかゆい

強い紫外線のせいか、毎日汗をかくからか
2週間ほど前から頭皮がめちゃくちゃかゆくなってしまった。
なんか頭かゆいねん、と夫に訴え見てもらうと、
かきむしったせいで赤くただれている箇所がいくつかあるという。

夫に不調があると必ず、「病院行きや」と言うわたしだが、 こと自分のことになると、病院行くまでもない気がする…と市販薬で片づけようとする。

病院にかかるのが苦手なのである。

10年近く前だろうか、
ピアスの穴を1つ増やそうと思い立ち、
職場近くのクリニックを予約した。

そこは、都会のオフィスビルの中にあり、
一見何の問題もなさそうなクリニックだったのだが、足を踏み入れた瞬間、
「あれっ?なんかヤバいとこ来ちゃったかも。」という胸騒ぎが止まらない雰囲気を醸していた。

患者はいるのだが、どことなく院内の空気が重い。

恐る恐る受付を済ませ椅子に座っていると、40代くらいの看護師が何人かいて、なんとも言えない白んだ目でこちらを見てくる。

看護師の顔には、「やる気?あるわけねえだろ、バーロ」と書いてあるように見えた。

その気概でなぜ薄ピンク色のナース帽を頭に乗せていられるのか、片足重心で暇そうにしているその勤務態度と、ファンシーな見た目のアンバランスさが余計怖い。

様子を伺っていると、ピアスの穴は院長ではなく、看護師の一人に開けられるようである。
皮膚が薄く、膿みやすい体質だからこそ、自力で開けるのではなく、わざわざクリニックに来たのだ。
この看護師に、繊細なわたしの耳を任せることはできない!そう心が叫んだ瞬間、「また今度にします!」と言って立ち上がり、不信がる看護師の表情を背に、わたしは逃げるように病院を後にしたのである。

ネットでも最初の方に出てくるしHPもしっかりしているうえ、場所も一等地だし、信頼できそうだと感じたから予約したのに、ゾンビの館のような雰囲気のクリニックだった。

他にも、コンタクトレンズ購入の際に必ず併設の眼科を受診しなければならないという状況があり、
眼科に入ると、院長が白衣のまま「嫌だァァァァ!!!!」と絶叫しながら床に寝そべり
診察したくないと駄々をこねている場面に出くわしたことがある。

壁に掲示された、院長の立派な経歴を眺めながら、
なぜ彼がこの場所で院長であり続けていられるのかを考えてみたが答えは出なかった。
毎度情緒不安定な院長の対応に不信感を募らせていたのだが、この日の出来事が決定打となり、ここでコンタクトレンズを購入することを辞めた。

このような「ハズレ」の経験が、病院に対するわたしの警戒心を強めるきっかけになった。

病院を探すとき、わたしが確認しているのは以下3つの項目である。

①google mapでの評価

(浅い口コミコメントで良い評価しかないところは怪しい)

②ホームページの完成度

(業者に制作を完全に委託したような、写真素材を多用した綺麗なHPより、 多少手作り感があり、最新情報などが更新されている方が良い。 院長の顔写真などあると安心感があるが、あったとしても微妙なこともあり判断は難しい。)

③病院名単体で検索した際に出てくる口コミ

病院に行くのが苦手な理由は、診察が怖いわけではなく、行ってガッカリする経験をしたくないからなのであった。

皆さんはどうやって自分がかかる病院を探しているのだろうか。

友人知人から教えてもらう以外に、自分に合った病院を見つけるためのポイントなどあれば是非お聞きしてみたい。

そんなわけで、病院に行くことを渋っていたわたしであったが、市販薬でも2,000円近くするので家の近くの皮膚科を受診し、薬を処方してもらった。

朝晩2回、ローションを頭皮の赤くなった部分に塗るのだが、自分では見えないので夫に塗ってもらっている。

「奥さんの皮膚をこんなに見ることないな!」と言いながら、髪をかきわけ湿疹箇所を丁寧に探してくれる。

まるでお猿の毛繕いである。

病院に行きやと言ってくれて、
夜も朝もぶつぶつ言いながら薬を塗ってくれる夫のありがたさよ。

床に座り、夫の太ももに肘を置き、
かゆい頭を任せているのは
しみじみと幸せな時間なのであった。