【u1w】初めてのゲームBGM制作
こんにちは。NaTsuです。
先月、サウンド担当としてUnity1週間ゲームジャム(unity1week)に参加する機会をいただき、人生初のゲームBGM制作に挑みました。
完成からだいぶ時間がたってしまいましたが、音楽の作り方から考え方まで、個人的に色々と刺激を与えてくれた出来事なので、振り返りも兼ねて記録したいと思います。
【1】u1wに参加するきっかけ
前の記事:ビートメイキングを始めた話 にも触れましたが、私は今まで、キャラクターの物語のワンシーンを切り取るようなビートをメインに作っていました。
そして、「ワンシーン」というのは基本的に、私自身の日常からインスピレーションを得て生まれたものです。
要するに、「自分軸」で作曲をしていたのです。
あくまでも趣味なので、ただただ自分の好きな音楽を作り続けることは決して悪くありませんが、違う音楽ジャンルに挑戦したいと思ったのは、作曲の振り幅に限界を感じ始めたからです。
そこで、ちょうどパートナーであるkugiさんがゲーム制作に携わっていることもあり、
「ゲームミュージックもいつか作ってみたいな〜」
という話をしていたところ、kugiさんが普段一緒にゲームを作っているチームメンバーに声をかけてくれて、ありがたく、今回のu1wで制作するゲームのBGMを担当させていただきました。
ゲーム知識がほぼゼロの私を受け入れた皆さんは本当に優しすぎます、、(泣)
【2】インプットは大事
今回のゲーム『Fxxxin’ Fashion Club』は、ステージからファッションアイテムを拾い集め、コーディネートを完成させてオシャレ番長を目指すオンラインゲームになります。
Fallguysの世界観に近いパーティーゲームなので、曲作りの方向性もFallguysのようなイメージで提示されました。
この時点で、Fallguysというゲームも初耳で、パーティーゲームもマリオパーティーしか知らないレベルの私でした。
「とりあえずいっぱい聴いて、インプットから始めないと!」
ということで、まずは知識不足を補うべく、Fall guys以外にも、他のパーティーゲームの音楽をひたすらYouTubeで聴きまくりました。
任○堂のゲームしか知らないというヤバさ。
【3】自分軸からの脱却
BGMなので、曲の長さや起承転結はそれほど重要ではなく、どちらかというとゲーム進行の流れに合う「パターン」を作ることが大切だと知りました。
このゲームで必要としたサウンドのパターンは以下の3つに分かれています。
①インゲーム
②マッチングタイム
③リザルト
本当は、曲のテイストがブレないために、ゲームの主となるインゲームから作った方が良いのですが、マッチングタイムは自分の中で比較的想像しやすかったのと、もともと落ち着いた曲風の方が得意なので、最初は②マッチングタイムのBGMから着手しました。
さて、本当の難題はここからです。
1週間という時間制限と、ゲームBGMとしての情報量を考えると、本来、3つのパターンをカバーできるように、一曲の中の異なるパートを上手くアレンジする方法が現実的でした。
しかし、インゲームがFallguysのような音楽となると、かなり音数が多くなるため、マッチングのBGMをそのままアレンジするのは難しく、全く別の曲を作る方向に変更しました。
ファッションがテーマのゲームなので、ファッションショーで流れるEDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)風の音楽なら面白そうじゃないかと思い、こちらの曲を作りました。
上の曲のデモをチームメンバーに送り、色々とフィードバックをいただいたのですが、
この曲は、インゲームのイメージとは少し違っていました。
ゲーム中は、ファッションアイテムをプレイヤー同士で奪い合ったり、他のプレイヤーを邪魔するような競争要素が多いため、
この曲はある意味で、「平和」すぎました。
そこで、
自分の作りたい曲よりも、ゲームが生きる曲を作らなくちゃ!
という、BGM制作にあたってものすごく大事なことを忘れていたことに気づきました。
Fxxxin’ Fashion Clubを遊んだことがある方ならご存知かもしれませんが、この曲は、最終的にタイトルとリザルトで使われました。
当初インゲーム用として作ったものではありますが、実際にゲーム内で聴いてみると、タイトルやリザルトにぴったりな曲だったので良かったです。
【4】インゲームとの戦い
以上のことから、今度は「競う」というゲームの要素に着目して、スプラトゥーン風の曲を作ってみました。
この曲は、インゲームのBGMとして最初は採用されていたのですが、ゲームに取り込んでみると、言葉では表せない違和感がどこかにありました。
原因が分からないままにしたくないのですが、そもそもどこを修正したら違和感がなくなるのかも全く思いつかないので、妥協をしてしまいました。
その時、まだ〆切まで2日の余裕があるので、チーム内でメッセージを投げてみたら、
よーし、作るぞぉぉぉぉーーー!!!!!
そこから、インゲームのBGMをどう作るか、
2日間煮詰まりました。
有名なパーティーゲームの音楽を参考にしたものの、真似をしすぎるとパクリっぽいものに仕上がるので、「インスピレーション」と「オリジナリティ」との塩梅をとらなければなりません。
考えてもずっとアイデアが思い浮かばないのもしょうがないので、もう一度原点に戻り、前述したパーティーゲームの音楽を聴き直しました。
ただ、今回はただ聴くだけではなく、それぞれの曲で自分がいいと思ったところを一つ一つ書き出しました。
マリオカートの出だし、Fallguysのコード進行、スプラトゥーンのドラム構成……などなど、既成の曲のいいとこ取りをしながら、さらに自分オリジナルメロディーを載せた結果、今のFxxxin’ Fashion ClubのインゲームのBGMが誕生しました。
後押ししてくれたリーダーのnattuhanさんには、感謝しかありません。
【5】勉強になったこと
初めてのゲームBGM制作で一番難しいと感じたのは、自分の曲作りに対しての固定概念を捨てることでした。
料理で例えると、
今までビートメイキングで作った曲がメインディッシュだとしたら、ゲームBGMというのはメインに添えるソースみたいなもので、決して目立ちはしないけど、料理の味を左右するほど不可欠なものです。
メインになる食材を知らなければ、合うソースは作れないのと同じで、
ゲームの特徴を知らなければ、ゲームシーンに合う音楽は作れないのです。
最初、ゲームに合わない曲を作ってしまったのも、どうしても自分の好みや想像が先行してしまい、ゲームを知るプロセスが疎かになったのが一つの原因でもあります。
一方、良かった点としては、
チーム制作の楽しさを経験できたことです。
曲を作る過程はもちろん一人作業にはなりますが、「良いゲームを作る」という同じ目標に向けて頑張っているチームメンバーが居ることで、自分のモチベーションにも繋がりました。
次の機会があるかまだ分かりませんが、これからの音楽制作においても今回の経験を活かせたらと思います!
私が担当したBGM部分は、ゲームの中でもほんのちょっとしか占めていないので、ゲームを作った他のチームメンバーは私よりもずっと大変です。
本当に本当にお疲れ様でしたっ!!
(もう1ヶ月経ちましたが)
関連リンク
ゲーム“Fxxxin’ Fashion Club”のリンクはこちらから↓
BGMのフルバージョン(イラストMV付き)は個人のYouTubeチャンネルにもアップしていますので、良かったらぜひ聴いてみてください↓
また、ゲームについては、nattuhanさんとジュンさんの記事で詳しく書かれていますので、気になる方はぜひチェックしてみてください↓
それではまた!
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