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2022年、ちいかわにハマった30代男性の話

最初は、そこまで気になっていたわけじゃなかった。
時々Twitterで流れてくる、かわいい絵柄のマンガ。ちいかわ。名前だけは知ってる。流行ってるらしい。そのくらいの認識だった。
なんだったら、僕はいい歳して少し斜に構えてしまうところがあるので「あー今こういうのが流行ってるのね」なんて思ってたかもしれない。俺は安易に流行へは乗らないぜ的な。何歳ですかあなたはほんとにもう。

7月くらいだったかな。
リツイートとかでちょくちょくマンガは目にしてたから、なんとなくどういうキャラがいるかくらいは理解してた頃。
勉強熱心なシーサーというキャラがいることを知った。当時まだ詳しい設定とか背景は知らなかったけど、どうやら好きな仕事が続けられなくなるかもしれないという状況だけは理解できた。
ラーメン屋で働くシーサー。本来なら好きなお店で、好きな仕事をしているはずなのにその笑顔がどこかぎこちない。

引用元:https://twitter.com/ngnchiikawa/status/1544308311067021312?s=20&t=g5W6aAChv4EVxIa83atHCQ


僕はこの話を読んで、続きが気になってしまった。リツイートで流れる話をなんとなく見ていただけだったのが、公式アカウントをフォローして続きを待った。
ちいかわに対して漠然と抱いていた「かわいらしいキャラが出てくるなんかゆるい話」ってイメージが、変わりつつあった。
だって、あんなかわいらしいデザインのキャラクターが、あんな作り笑いを浮かべるなんて。でもさすがに、この後いい感じに話が転んでうまくまとまるんだよね?って思ってた。

甘かったんだッ……考えが……。
この後シーサーは無茶がたたって発熱し、倒れてしまう。さらに寝ている最中ですら、悪い夢にうなされ涙を流してしまう。
回復後、雇い主のところへ行き仕事存続の話を切り出すも感情が抑えられずにまたもや目に涙を浮かべてしまう。僕はそれを見て衝撃を受けた。
「なんでこんなかわいいキャラクターがここまで大変な目に遭う!?」
ていうか、世界観シビアすぎない?そしてそんな世界でキャラクターたちが真摯に生きてるのすごくない?30過ぎた人間の俺は休日家から出ずにごろごろしながらインターネットしてるのに!?
正直、この時点でだいぶちいかわにハマりつつあった。
でも「いい歳した大人の男が?」「あくまで子ども向けでは?」「流行に今さら乗っかる?」とか妙な言い訳で自分自身のイメージを崩すまいとしてた。知らぬ間に築いてた自分らしさの檻の中でもがいてた。本当はもう、内心次の話を楽しみにしているくせに。

そこから時間が経ち、12月。
気付けば僕はちいかわにどっぷりハマってた。どれだけ言い訳を用意しても、好きの気持ちはごまかせなかった。
今ではちいかわの公式アカウントだけでなくオンラインショップやグッズ販売店のアカウントまでばっちりフォローしてるし、部屋には着実にちいかわグッズが増えている。イベントのチケット発売日には時間ぴったりに更新ボタン押しまくって必死で券とってる。
ハマってまだ半年くらいしか経っていないけれど、その半年の濃度が濃すぎた。2022年は自分にとってちいかわの年だったと言っても過言ではない。

僕はあまり大きな変化を望まない側の人間だった。元々の性格かもしれないし、歳を重ねてそうなったのかもしれない。
だから部屋も昔から変わらずモノトーンを基調としたシンプルな部屋のままだったし、物はなるべく増やさないをコンセプトに長年モデルルームみたいな部屋を維持してきた。ごめんモデルルームは盛ったわ。簡素な部屋です。ただの簡素。質素。
それが今や、デスクの上にはアクキーを飾るケースが。ベッドにはぬいぐるみが。棚にはマスコットやクリアファイルが。ハンガーにはちいかわスウェットがかけられていて、今膝にはちいかわブランケットをかけている。
この数ヶ月で、部屋がだいぶ様変わりした。今友達を部屋に呼んだら「どうした!?」って言われるだろうな。半年前の自分が見ても同じセリフ言うもん。
大きく変化を望まないから、交友関係もそこまで広げなくていいと思ってた。新しい人間関係って疲れることもあるし、慣れた環境が楽だし。
でも今はTwitterで新しくちいかわ好きな人たちと繋がってる。情報やグッズを交換したり、イベントが被ればご挨拶をしたり。

この一年、ちいかわを好きになって身の回りが色々と変化した。いざ変わってみるとそれはそれで楽しくて。
20代の頃邦ロックにハマってライブ通いしてたんだけど、その頃の気持ちを少し思い出した。
チケットの当落に一喜一憂して、ライブ繋がりの友達と飲んで。今振り返っても楽しい日々だった。
まだ何かにハマれる熱量残ってたんだな。それに気付かせてくれたちいかわ、ひいては作者のナガノさん。
おかげさまで2022年の後半はとても活き活きと暮らしていました。本当に、素晴らしいコンテンツを生み出してくれてありがとうございます。うれシーサー。

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